忘れんぼとの遭遇
そんな中、カンスケ達は―――――。
「……長い」
長すぎる一本道を歩いていた。
これも場所から場所への唯一の手段だ。
しかし、道を1時間ほど歩いていると―――――。
いきなり目の前に、髪がピンク色のツインテールで背には異様な形の翼の生えた少女が立ち塞がるように現れた。
「いきなり目の前に!?」
カンスケは思わず驚いてしまう。
「誰だー? 誰なんだー?」
少女はカンスケを知らないようだ。
「……邪魔」
「リミさん、初対面の人にそういうのは……」
「ところで、あなたは一体……?」
「あたいかー? ザッツェディスとかそんな感じだったっけなー」
カンスケが話を訊くと、少女はザッツェディスと名乗った。
しかし、自分の名前すら覚えていなさそうだった。
「ところで、どうして翼が……?」
「確か……フヨーロン族固有のやつ」
「フヨーロン族?」
「ここの一本道の先にある、ムノーとかいうとこに住んでる種族……いや、違ったかー」
ザッツェディスは記憶がはっきりしていないのか、どこか言葉が曖昧だ。
「正直名前とか一切覚えてないけど、多分この道行ってたら着く……はず」
「どちらなのかを、はっきりしてください……」
「仕方ないとこもあるんだよなー、ほとんどの記憶が曖昧だし」
「ところで、僕達は旅をしているのですが……」
カンスケは話を切り出し、ザッツェディスを仲間に誘おうとする。
「無理無理、あたいなんか力になれんだろうしなー」
しかし、簡単に断られた。




