魔王城突入
その城内は、管理が行き届いているようだった。
薄紫の壁や廊下は、反射するまでに磨かれていた。
ドウコウ達が魔王城を歩いていると、そのきっかけが明らかになる。
「どういう事なんだ……?」
たまたま通りすがろうとしていた魔王の手下らしき女性がドウコウの独り言に反応し、こう説明する。
「この城では、清掃係が存在していて……」
「えっ?」
「……ここだけの話し、清掃係というのはあくまでも名目で、実際は誘拐した人間等に城を掃除させているのです」
清掃係という名目で、誘拐した人間を働かせているという。
「ところで、貴方も人間なのよね?」
「何故かここにいたのは確かですが……。 どうして来たのかは……」
「あやふやにしてんじゃねえぞ!」
「ひいっ!?」
ジャマクセーノが、右手で手下の胸ぐらを掴む。
「やめなさい。」
「本当に血の気が多いからなぁ……」
ドウコウとサボテンノがジャマクセーノを必死になって制し、掴んでいた手下を放す。
「ところで、その黒い本は……?」
「これか?」
手下は突然、ドウコウが本を持っているのを見て話を聞く。
ドウコウは黒い本を手下に見せる。
「それです」
「ここまでの道の脇に落ちていたんだ」
「その本ですが、ナントカカントカヌス様の前でかざしますと……」
「ん?」
「いえ、なんでもありません」
この良くわからない手下の発言の後、ドウコウ達はナントカカントカヌスの居る場所に近付く。




