いざ行かん、魔王の潜みし城へ
宿屋で休んだドウコウ達は、一度旅の仕度をする。
そして、ドウコウは宿屋を出てこう言い、里を去った。
「魔王を……どうにかしてみせる」
「頑張れ」等といった住民の応援を背負い、一行は魔王城を目指して歩き出した。
それから数十分―――――
あの騎士が、ドウコウ達の前に現れた。
「貴様等……!」
タラタラだ。
「どうした?」
「ここで貴様等を殺し、我が真の騎士となる!」
「ふざけた事を!」
「ちょっとは落ち着いて!」
タラタラの発言にジャマクセーノが怒り、それをテヌキーニョスが制しようとする。
「貴様はここで……死ねエエエエエッ!!」
タラタラはドウコウに剣を向けて突進してきた。
謎の強い衝撃波が、仲間を吹き飛ばして寄せ付けない。
「うわっ!」
「クソッ!」
「きゃあっ!?」
「俺は……こんな所で簡単に死ぬわけにもいかないんだ!」
ドウコウの剣も、タラタラに向けられる。
突進するタラタラ、構えるドウコウ。
しかし、攻撃を受けたのはタラタラの方だった。
「ば、馬鹿な……」
倒れかけのタラタラを見て、ドウコウは吐き捨てるようにこう言い、魔王城へと歩き出す。
「お前は騎士なんかじゃないんだ。 自分本位で人を殺している時点で、騎士を名乗る事はできない!」
「黙れ! 貴様こそ、勇者という身分である以上は言動や行動に気を付けないといけないはずだろう!」
「あっ……」
タラタラの反論にも、ドウコウは思わず口を開ける。
既に虐殺の前科を持っていたはずのタラタラの発言が、まるで鋭い弓矢のようにドウコウの心に刺さったのだ。
<泥棒は勇者の特権! だろ?>
当たり前のように浮かぶ、忘れたい過去の記憶。
言われる事に抵抗はなくとも、結局は前科として残り続けるのだ。
「とにかく、俺はナントカカントカヌスを倒してみせる!」
「結局、考えは変えないのか。 その意思を貫くのであれば、今すぐ魔王を打ち砕け……!」
「ああ!」
こうして、ドウコウ達は魔王城へと向かった。




