塔を抜け出して
この次のページは、「緑の人外」の紹介になっている。
構図はほとんど同じだ。
緑色の肌、様々な形の触手等が描かれている。
その名前は、よりにもよって「ん゛」。
当時の俺が、それほどふざけてノートを書いていたという事だろうか。
他の情報は一切書かれていない。
タラタラとその仲間以外の敵が手抜きという事か。
この挿絵の次のページは、話の続きが書かれている。
この男? を倒した後の話だと思われる。
ここまで、40ページは読み進めた気がする。
しかし、ノートは72ページまで。
ただ、このノートの最後の内容は覚えていない。
――――――――――
敵を倒したドウコウは呟いた。
「……やったな」
その仲間はというと、脱出方法でのやり取りを繰り広げていた。
「とりあえず……どうする?」
「転送魔法くらい、使えるはずよね?」
「私も、魔法使いではあるけど……」
「どうするんだよ、階段を下るのか!?」
「ごめん、それしか選択肢が無いんだよね……」
「……いや、みんなを覆う球体を生成する魔法なら使えたかも」
「最初から言いなさいよ!」
「それで降りるのか?」
「そんな感じかな」
「何の話だ?」
ドウコウが会話に入ってくる。
「どうやってここから出るか、って話」
「あ、ああ」
「テヌキーニョスが魔法で生成した球体にみんなで入る、という事になったのよね」
「……そうなのか?」
「私は飛べるので、あまり関係は無いですね」
テキトーネはそういって、先に1階へ向かう。
「ここは確か、階段が塔の壁沿いだったから……行けるかもしれない」
少し階段を降り、テヌキーニョスは魔法を唱える。
「そんじゃ、いくよ。 球水!」
生成された球水は、4人を包み込んだ。
「これ、叩いてもいいのか?」
「叩きすぎると割れるから、気を付けてね」
「それにしても、どうやってこの魔法を覚えたわけ?」
サボテンノは、テヌキーニョスに話を訊く。
「街並みは古くさいのに、何故か銃やホバーボードが普及している国の魔法使いに教えてもらったんだよね」
「そんな国があるのね……」
「その国は、ランダム国からも転送魔法とかで行けるはず。 キマグレ王国……だったかな?」
「へぇ……」
このあと、包み込んだ球体は1階に。
そして、球体は音を立てずに破裂する。
「……着いたな」
「そんじゃ、行こうぜ!」
塔を攻略したドウコウ達。
次は、何処を目指すのだろうか―――――。
キマグレ王国の魔法使いについては、一部他作品から参考にさせて頂いた箇所があります。




