塔の人外
「クソっ……ダメか……!」
「この程度で、我がくたばると思うか?」
ドウコウは倒れる。
ほとんど瀕死の状態。
その時だった―――――
「食らいなさい!」
「なんだ?」
「火弓矢!」
サボテンノの攻撃は、敵の弱点を突いた。
しかし、倒れそうにない。
「助!」
「おらあああああ!!」
仲間達が、ドウコウのために戦っている。
テヌキーニョスの魔法は、ドウコウを回復させる。
「みんな……」
ドウコウはそう囁き、目を開けて立ち上がる。
「死んでいなかったか。 面倒な奴だな」
そう言って、敵は棒立ちになる。
「死んでなかったのですね……。 よかったです……」
「この程度で死んで……いや、ここで旅を終わらせて、何になるの!?」
ここで、テヌキーニョスが説得しようとする。
「お前……」
「最終的に追放沙汰にはなったけど……あの時、私が必死に君を庇ったのはなんだったの!?」
「……」
「テヌキーニョスさん……」
この説得は更に続いた。
「君って、勇者だよね? 本当にそうだよね!? なら、もっと頑張ってよ!」
「……ああ」
「ここで死んで、私達だけで魔王を倒しても、残るのは君がいないという虚しさだけ!」
テヌキーニョスの目からは涙が流れ始める。
「君はまだ、一人じゃない!!」
最後に、泣きながらこう言った。
「最後まで諦めない! その心こそが、いつかは勇気に変わるから!」
ここで、ドウコウの目にも涙が。
「そうだな……!」
しかし、テキトーネが忘れられていたようだ。
「ひ、一人じゃない? あの、私は……?」
「あっ……」
「ただ、確かに仲間がいる事は事実です。 一部間違ってるというか、方向がおかしな所もありましたけど……」
「とにかく、ドウコウさんがあの状態ですし、説得は成功という事で……」
「そ、そうだね」
そのドウコウは剣を握り、自分の限界の勢いで敵の方へと走り出す。
「うおおおおお!! 奥義……テッタイ!!」
まるでその限界を簡単に踏み越えていくように、奥義を繰り出したドウコウ。
大きな剣の波動が大量に発射される。
実質的には「ニゲロ」の強化版だ。
先程まで余裕のあった敵も、この奥義を食らった後にこう言い、消滅した。
「バカな……」
「これで……モザイク塔を攻略だ」
「良かったですね、最後の敵が棒立ちで」
「うっ……」
倒した後のテキトーネの一言は、ドウコウの心をえぐったようだ。
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