勇者、魔法使いに勝手に金を使われた挙げ句起こされる
このイラストの次のページには、先程の話の続きが書かれている。
まだまだページがあるという事に、俺は呆れそうになる。
しかも、これだけで終わりではないのだ。
結局、ここも読み進める事にした。
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そして、宿屋の一室での夜。
「おい、茶髪! 安静にさせた方が良いだろ!」
「確かに、無理に起こすというのもどうかと……」
ジャマクセーノとテキトーネが、必死にドウコウの身体を揺らすテヌキーニョスを止めようとする。
「そんな事はどうでもいい! とにかく、ドウコウを起こすしか無いんだよ!」
「それが余計なんだろうが! 何回言えば分かるんだ!」
「余計じゃない! ドウコウがいないと、私もここにはいなかったかもしれないから!」
「確かにそうだ、俺も酒場の酔っ払いのままだったと思う。 ただ、それがその行動に至る切っ掛けにはならないだろ!」
彼は、彼女を説得しようとする。
「疲れているだけだと思うわ。 ジャマクセーノの言う通り、安静にさせてあげなさい」
「……分かったよ」
しかし、サボテンノに言われると、テヌキーニョスは勇者を起こすのをやめた。
彼女は、2人より早く眠りについた。
「サボテンノさんが寝たので、あなたたちも静かにしてくださいね」
テキトーネは、自らの口の前に人指し指を立てながら囁く。
すると、数分で2人は寝た。
その直後、彼女も眠りにつく。
そして、翌朝。
しかし、ドウコウは起きない。
すでに起きていたテヌキーニョスが、またも起こそうとし始める。
他の2人は、この様子を無視した。
その数十分後の事だった。
「ふああああ……あ?」
あくびと共に、彼は目を覚ました。
そこに飛び込んだのは、身体を揺すり続けていた魔法使いだった。
「く、苦しい……」
「やっと……起きましたね」
「何があってここに……?」
しかし、勇者は自分の居場所を知らない。
「あの戦闘の後、倒れていたんですよ」
「それでテヌキーニョス……だっけ? とにかく、この子があんたの金を勝手に使ってこの宿屋に泊まらせたのよ」
そこに、1人と1体が説明に入る。
「……そうなのか。 大変だったんだな……」
「本当に大変だったんだから!」
「もう話はいいだろ。 そろそろ出るぞ」
ジャマクセーノは先に宿屋を出る。
その後、3人が宿屋を出た。
その先には、数人程のカンタラの住民が。
「洞窟攻略、おめでとう!」
「ありがとうございます!」
住民達はドウコウを取り囲むと、感謝と思われしき事を喋り始めた。
「あ、ああ……」
本人は少し嫌がっているようだった。
精は住民に対し、呆れ気味にこう言う。
「甘くしすぎるとこれですからね、この人」
ドウコウが、そこへ優しめに頭を叩く。
「それは余計だ。 とにかく、次の町に行くぞ」
「はい」
そう言って、ドウコウ達はカンタラの町を去った。
東カンタラ洞窟の魔王軍の勢力を一掃した、という功績を残して。