洞窟の最深部
その後も、ドウコウ一行は敵を倒しながら進んでいく。
そして、最深部へと到達した。
「まさかな。 人間がここまで到達するとは、思ってもいなかった」
そう言うのは、洞窟のボスと思われしき男。
ドウコウとボスが、最深部で対峙する。
「俺はお前を倒して、カンタラを魔物の脅威から救ってやる」
「強気だな、小僧。 我を、アイウエオスを、倒せるものなら倒してみろォ!!」
「ぐはっ!?」
「うっ!?」
「きゃあっ!」
3人の仲間は、敵の展開したバリアの前に吹き飛ばされる。
「フフフ……ハッハッハッハッハッ! 勇者であるならば仲間などに頼らず、己の力のみで正々堂々と戦うがいい!」
「あ、あれ……?」
何故かテキトーネは吹き飛ばされず。
これを確認したドウコウは、アイウエオスにキレる。
「終わったな、アイウエオス! 1体が吹き飛ばされていない!」
「本物の虫ケラが残ったところで、実質的な戦力としては1対1と同然だ!!」
そう言って、360度に波動を放つ。
「ま、まずいな」
避け方がわからなかった勇者は、その波動を直接受けてしまう。
「ぐっ!」
「だ、だ丈夫……ですか?」
「まだだあ丈夫だ、俺は奴を倒す!」
「ほう……? 面白い、攻めてみろ」
からかうように話す敵。
その挑発に乗るように、ドウコウは剣を握り、敵に向かって走り出す。
「はあああああ!!」
叫びながら、必死に剣を振り回す。
「確実に効いてます、その調子で!」
その後も、彼は必死に剣で攻撃した。
しかし、アイウエオスが受けたダメージは10がほとんどだった。
そこで、ドウコウはある技を使った。
「剣技・ニゲロォォォォォ!!」
腕には、いつもより強い力が入る。
様々な方向からその力で何回も剣を振り回し、切りつける。
それが、彼の技の一つ。
「剣技・ニゲロ」だ。
「なんだと……!?」
この技で強力なダメージを受けた敵は、その場で吹き飛ばされた。
450Meを拾ったところで、彼は倒れそうになる。
バリアが解かれ、仲間たちはすぐにドウコウのもとへと走った。
肩や腕を掴む。
「おい、ドウコウ! 大丈夫か!?」
「ああ、なんとかな……」
その声からは、戦闘前の勇気のような何かを感じなかった。
「きっと、気力を使い果たしたのよ。 あんな状況で技なんか使ったから……」
「どうするの? 担いで脱出?」
「……今はそれしかないだろうな。 任せてくれ」
ジャマクセーノは、ドウコウの身体を右肩に担ぐ。
そして、一行は洞窟を脱出した。
「どこかさぁ、宿屋とか無いの?」
「確かに、ドウコウさんの身体が心配ですからね……」
「……そうね」
カンタラの町に戻った4人は、まず宿屋へと向かった。
「いらっしゃいませ、今日は何人で?」
「うーん……4人で」
「200Meになります」
テヌキーニョスは、ドウコウの袋の中の200Meを勝手に取り出し、宿泊代を支払う。
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この次のページには、アイウエオスのイラストがある。
髪も肌も青色の、俗に言う「人外」だ。
左手の横には、謎の緑色の丸。
これがバリアになっていたのだろうか。
しかし、技名や二つ名が書かれていない。
イラストの他には、右上に名前が書かれてあるだけだった。