プロローグ
中学2年生―――――
それは、誰もが「何か」に目覚める学年。
一部では、「厨二」とも揶揄される。
アニメやゲームに影響を受け、「ダークファンタジー」をノートに書き記したりしたものだ。
それで数年後、大掃除や引っ越しの際の整理の途中に見つかり、親や兄弟に中身を見られて恥ずかしくなる。
これを、人は「黒歴史ノート」と呼ぶ。
(※人によっては異なります)
これは、青年が年末の大掃除の際に見つけた黒歴史ノートから全てが始まる物語である。
――――――――――
俺の名前は「南砺勘助」。
今となっては古臭いようにも見えるだろうこの名前の名付け親は、今はもうこの世にいないひい祖父ちゃんだ。
いつもは「蜉蝣学園大学」に通っている。
頭はお世辞にも良いとは言い難いらしい。
そんな俺も、年末の大掃除の季節に入ったのだが―――――
ほとんどサボっていた。
「おーい、掃除は? 丸投げにするつもり?」
掃除の手伝いに来てくれた幼馴染みが、俺に掃除をやらせるつもりだ。
「……やるか」
しかし、言われたからには手を抜く訳にはいかない。
「本当に極端だなぁ……」
手伝いもあり、ゴミの散乱していた部屋はどんどん綺麗になっていく。
しかし、その途中―――――
押し入れの中を整理していた時の事だ。
「なんなんだよ、これ……?」
段ボールの中には、「†聖なる書†」と書かれた色とりどりの7つの「collage」のノート。
「Ⅰ」から「Ⅶ」を一直線に並べていくと、虹のようにも見えるだろう。
左下にはローマ数字でのナンバリングが、タイトルの下にはサブタイトルが黒の油性ペンで書かれている。
「珍しいね、南砺君が怖がるなん……」
いつもは活発な幼馴染みも、タイトルを見ると言葉を失う。
「どうすれば良いんだ……?」
俺は、戸惑いを隠せない。
「まずは読んでみないと……」
「つまり、読んでから……」
「捨てよう」
1つの言葉が、2人の口から全く同じタイミングで発された。
「それじゃ、読むぞ……」
俺はゆっくりと、「†聖なる書† Ⅰ ドウコウの伝説の始まり」と書かれた薄い赤色のノートの最初のページを開く。
ここから、物語は始まるのだった―――――
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