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2.ドS毒舌巫女様

 そんなこんなで何故だか、俺は王宮の最奥にある巫女様御告げの間、という長い長い名前の部屋にいる。……いや、本当に何故だっ!? わっしょいわっしょいと、ベッドごと胴上げされたところまでは覚えている。


 ーーそこからの記憶は、曖昧だ。地獄を見たような気がする……覚えてないけれど。でもきっと、ベッドごと胴上げなんて、大胆な移動方法を僕以外に体験した人なんていないんじゃないだろうか。

 いたら、ぜひ乗り心地の悪さを語り合おう。それで最終的に、この国の法律にでも取り上げてもらえればいいな。あまりの乗り心地の悪さに、食べてもいない朝ご飯をリバースするところだったじゃないか……。


「うぇっ…思い出しただけで吐き気が…」

 朝からこんなひどい仕打ちをうけたせいで、俺のHPはもう失くなる寸前。赤でチカチカしてるぜっ。にも関わらず、更にこれからHPすり減らされそうだから嫌になる。


 ーーそうだな、とりあえず朝ご飯をくれ。あぁ、ダメだ。さっきのおっさんの口癖が……。でも今日は疲れたし、朝ご飯はホットケーキが良いなぁ。と、呑気に朝ご飯の妄想に浸れたのもつかの間。

 さっきまで僕だけだった部屋に、巫女様らしき人と王様が入ってくる。そっか。忘れかけていたけど、ここは巫女様…………。巫女様…………。

 ……本当に忘れた。おかしいな、記憶力にはそれなり自信があったはずなのにな。ま、まぁ、部屋の名前なんてどうでも良いよね! 王様は部屋の立派で神々しい椅子にゆっくりとした動作で座り、その傍らに巫女様は立つ。


 んん……? おかしいな。なんだか構図がおかしいと思うのは俺の気のせいかな? もう一度、よく自分たちの構図を確認してみる。王様は立派で神々しい椅子に座り、巫女様はその傍らで立っている。そして、俺はーー部屋の中央で正座している。何度でも主張しよう。俺は正座だ。こんなところで庶民派の癖が出るとは……っ! 無念!

 今更、座り直せる雰囲気でもないし、座り直したところで正座以外の選択肢はほとんどない。せめて、ボロい椅子でも良いから用意しておいてくれよっ!


 俺の心の抗議はすべてスルーされ、王様と巫女様はなにやら話し出す。あ、なんか疎外感。なんて思って気を抜いていると、奴が襲いかかってくる。


「ーーっ!? 足がっ……足がぁあああ!」

 しびれました。うっかり正座を長時間続けてたことを忘れてた。仮にも王様と巫女様の前なのに恥ずかしい……。しかし、目の前でもがき苦しんでいる俺に全く反応もせず、巫女様と王様は話を続ける。


「うぉお……しーびーれーるーぅ! 助けてぇ」

 反応されたら恥ずかしいけれど、されなかったら更に恥ずかしいし寂しいので大声で叫ぶ。痛いのは本当だし、助けてほしいのも本音なので嘘は言っていない。


「いーーたーいーーいーたーい」

「……ちっ」

 え。叫んでいると、本当に小さくだけど舌打ちが聞こえてくる。聞き間違いだと思いたいけど、巫女様の方からのようだ。


「はぁ……本当によく鳴く豚ですね。待ても出来ないんですか?」

 盛大なため息と共に吐き出される、辛辣すぎる言葉。王様なんかは慣れているようで、普通にスルーしているが俺は違う。巫女様の顔に似合いすぎてなくて、言葉を理解するのに10秒以上かかってしまった。


「はぁあああああ!?」

「うるさいです、黙ってください」

「あ、はい。すみませんっした」

 理不尽だ……物凄く理不尽な扱いを受けている。あまりにも理不尽すぎて、足の痛みも忘れたよ……ショック療法かっ! 半ば無理矢理に連れて来られて豚とか言われたらもう俺、立ち直れない……。


「まぁまぁ、カルル。そこまでにしなさい、これからの勇者様に失礼だ。」

「私は別に何もしてないですよ?」

 真顔でサラッと嘘吐いてんじゃねぇっ! あ、思わず本音が……漏れてなくて良かった……。


「ま、まぁ良い。そろそろ本題に入ろうではないか。確認のために聞くがーーそなた、名はなんと申す?」

 王様に若干のシンパシーを感じつつ、問いに答える。


「レイル=ルミエールです。俺は何故ここに連れて来られたのでしょうか?」

「貴方に選択権はありません。必要なこと以外で今度口を開いたら、禁口魔法(スキル)かけますよ」

 きっ、禁口魔法(スキル)って。ひでぇ、ひどすぎる……。仮にも客人のはずなのにっ!


「カルル、そんな風に魔法(スキル)を使うんじゃない。……しかし、聞いたかね?」

「ご安心を、別に脅したまでなので。本当にわざわざこんな豚に魔法を使うわけないじゃないですか。」

 うわー……。なんていうか、ここまでひどい人だとは思ってもみなかったよっ! 豚ですか! 豚。どこまでも豚を推してくるんですね……。王様も王様で質問をスルーされてるし。国際会議で一度、うちの国の巫女様が恐ろしすぎる件について話し合うべきだと思うんだ……。


「カ、カルルーー」

「大丈夫ですよ、王様。確かにこの耳で確認いたしました。まぁもとより、この豚ーー少年が勇者だという確信はありましたが」

 王様の声を遮り、僕を指差しながら応える。この国の王様って何だろうね、一体。


「う、うむ。ではカルル。わしはそろそろ公務に戻る。あとはお前が説明やら、なんなりとするが良い」

 言いながら、いそいそと部屋から出て行ってしまう王様。えぇ……やめて、おいて行かないで! 言い方悪いけど、逃げたよね!? 逃げたよね!?

 めんどくさい巫女様を俺に託して逃げた……しかも、投げやりだぁああ。ひどい、何度も言うがこれはひどい。それこそ、豚豚言われるよりもひどい気がする。


「そんなに悲痛な顔しないでください。私といるのがそんなに苦痛ですの?せっかく、私といるのだからもう少し嬉しそうな顔で鳴いてください」

 前言撤回。やっぱり豚扱いされるのは胸に突き刺さるものがある。この人、本当に巫女様だよね……? 女王様とかじゃないよね?


「あ、もう話してもらっても良いんですよ? 貴方()で遊ぶのも飽きましたし。キチンと事情も話しましょう」

 ダメだ……本格的にダメだ、この人。遊ぶの飽きたとか言い出したよ、俺のHPをこんなにも減らしておいて。人のこと豚豚と罵っておきながら……。

 とりあえず、ツッコミ入れる気力もなくなったんで、誰かこのボケ巫女様にツッコミを入れてっ!!


「1人でボソボソ呟かないでください。気持ち悪いです。せっかく、私がキチンと話をしてあげると言っているのですから、それ相応の態度をとりなさい」

 先刻まで、王様が座っていた立派な椅子に腰掛けて、足を組んで話し出す巫女様(女王様)

 で、出たぁあ。さっそくだよ。さっそく誰かツッコミ入れるところだよ!

 くそぅ……誰もやらないなら、もう良い。他人任せはやめだ! 俺が相手になろう。そうだ、ここでやらなきゃツッコミ担当じゃねぇ! 巫女様のボケだろうが、何だろうが受けて立つ!


「失礼極まりない態度、すみませんでした。改めて、何故俺はここに連れてこられたのでしょうか?」

 はっ……!? 気付いたら土下座で何を口走っているんだ、僕は。さっきまで殺る気満々、ツッコミ用意万全だったじゃないか。

 む、無意識に身体が動くなんてっ……。 気付かないうちに、巫女様からトラウマになるくらいダメージ受けてたんだな、俺って……。防衛本能って恐ろしいわ。いや、それ以上に言葉だけでここまでトラウマつくれる巫女様の方が恐ろしいんだけれど。


「ふむふむ、まぁ頼み方としては及第点ですね。良いでしょう、質問に答えてさしあげます。というよりも……本当に何も知らないんですね。国中がこの話題一色だというのに」

 そんなに哀れな子のようなに見ないでほしい。もうこの際、巫女様の高飛車ボケはスルーだ。僕程度のツッコミじゃさばける相手ではない。

 しかし、困ったな……。世間一般の話題には弱いんだよな。確か、昨日は1日中寝ていたし……。


「いえ、昨日は1日中寝ていたので存じ上げておりません。何のことか、教えていただけますか?」

「まぁ、そんなことだとは思ってましたけど。実は貴方のことを、少し調べさせてもらいました。……そんなストーカーを見るような目で、こちらを凝視しないでください。豚のくせに汚らわしーーごほんっ。」

 最後に自重ーーなのかもすら怪しいーーをしたのか、咳払いをひとつして言葉を濁らせた。

 あぁ。最後の自重が、焼身遺体に対する人工呼吸くらいに手遅れだってことに巫女様は気付いているんだろうか……。

 しかし、これまた理不尽。理不尽でしかない。急に貴方のことを調べたとか言われたら、ストーカーかと思うに決まってるじゃないか……。


「話が逸れてしまいましたね。すみません」

 誰が逸らしたと思って……って謝った!? 巫女様が謝るなんて……。あって数分しか経っていないけれど、相当珍しいことなんだろうな。それとも、意外と仕事はキチンとするタイプで真面目なのだろうか?


「いや、ですね。……何だかレイルさんを見ていると、とてつもなく罵りたい衝動に駆られてしまっーーけほけほ!」

 本当に咳き込んでいるのかは不明だが、肩を震わせて最後の言葉を濁らせる。


 再度の前言撤回。真面目でも何でもないじゃないか。 ツッコミたいところは山ほどある。というかありすぎて逆にツッコめないし、呆れてもう声も出ない。 あと正直、キャラ濃すぎてついていけない……。


 とりあえず、本当の本当に一言だけ言わせてもらえるとするのならば。


 ドS毒舌巫女様とか! どんな属性だよっ!!


こんにちは!

少し付けたしました。


魔法です、ファンタジーです。

その類いが好きです。

巫女様すっごく毒舌です。巫女服を着てても毒舌な人は毒舌なんですかね。

意味わかんないですね…。


レイルが豚と言われていますが、実はこれ。私の経験談です(イジメられてたわけではないです)

中3くらいの部活で毎日ぶー・豚と呼ばれてましたwちなみに2年のとき、生徒会でのあだ名はドMでした(変態ではありません)


そんなこんなで長くなりましたが。

それでは、また機会があれば!

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