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大罪と美徳  作者: 秋雨
第6章 絶望と憎悪の宴
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第92話

ブレイブクローン、ブレイブトレース。

そして、四凶を模した4身体の巨大ヒュージ合成獣キメラ


「…………」

「…………」


それぞれ傲慢、強欲、暴食、怠惰のナワバリに現れ、契約者、一般人問わず喰い荒し、今はそれぞれの大罪と対峙し……睨みあいとなっていた。


それは、傲慢のナワバリでも行われており――


「……」


睨みあいの最中、巨大ヒュージ合成獣キメラの雰囲気から、白夜は推測する。


合成獣キメラは、基本的に創られた存在、

如何にライオン、虎と言った肉食動物とて、最初からそうであったわけではない。


――狩りを覚え、そして徐々に経験を積む事で、肉食動物としての立ち位置を確立させる。


それは合成獣キメラとて例外ではない。

食用、愛玩用の場合は必要ないが、戦闘用としての場合はそうはいかない以上、合成獣キメラ使い達による様々な手法が模索、実験をした上で――先人と言える存在を創り上げたにすぎない。


――だからこそ、この睨みあいは通常を考えればあり得ない。


更に言えば、巨大ヒュージ合成獣キメラのこの立ち振る舞いは、明らかに自分との力量を見抜き、そこから導き出す最良の手段を模索する物。

しかし、これほどの巨大ヒュージ合成獣キメラが、これほどの経験を積む事自体が明らかに不自然な事。


機械的な知識――にしては、明らかな違和感を感じる。


「……」


考察が終了後、その沈黙の均衡は崩された。

それは、攻撃でも牽制でもフェイントでもなく――


白夜が睨みあいの最中で、よそ見をする事で。


『!』


睨みあいをしていたコントンは、明らかな激高を表に出し白夜に襲い掛かる。


「――プライドを持っている、か」


眼前に迫る、人の血肉臭が残る牙。

それが――


ガチっ!!


「!?」


カラ振りをした。

ガチっと歯がかち合う音が響くと同時に、コントンは飛びのき白夜から距離をとる。


「…………」


白夜は動いていない。


「ぐるるるるるっ!」


コントンは再度飛びかかろうと、唸り声をあげながら身体を沈め白夜を見据え――。


「ウォオォオオオオオオオオオオオオッ!!!」


いざ飛びかかる――と思いきや、周囲の建造物今でびりびりと響くほどの大音量で吠えた。

それと同時に、コントンは前足を振り上げ、白夜に向けた振り下ろし――。


「――良い攻めだ」


空振りした次の瞬間、コントンの眼前に白夜の姿があった。

――4メートルはある大剣を振り始める体制で。


ドゴオッ!!


「!?」


コントンのこめかみに、大剣のみねうちがブチ込まれた。

衝撃でコントンはひっくり返り、痛みにのた打ち回る間に、白夜は着地。


「……」


白夜は痛みにのたうちまわるコントンに、ゆっくりと歩み寄る。


「ぐあるぅああっ!!」


ある程度まで近づくと、急にコントンが口を開き白夜に喰らいつこうとする。


「――やはり機械的ではなく、明らかに経験を積み重ねた本物」


しかし今度は牙を掴み、力でコントンの顎の力に勝る事を示し、押していた。


「――本当にテロリストの物なのか?」


不自然に完成度が高過ぎるシロモノ。

故に白夜は、ある予感に似た物を確信していた。


「――予定を書き換える必要が出来た」


――薄らと、口元に笑みを浮かべながら。



――時はさかのぼり


『うわああああああああっ!』

『ぎゃああああああああっ!』


四凶の巨大ヒュージ合成獣キメラによる、大罪のナワバリ襲撃。


「ふはははははははっ! 見ろ、負の家畜どもが喰い散らかされてやがる!」


監視用の小型カメラから送られてくる映像を前に、心底楽しそうな笑い声が幾つも響き渡る。


『……楽しそうだね』

「おおっ、ドクター東城。よくやってくれた、君のおかげで

『なあに、僕は北郷様の意思を受け継ぐためにやったまで』

「ああっ、お前の様な部下を持てて、北郷さんは幸せだろうよ」

『そう言ってくれると嬉しいな――では』


ブツッ!


「え!?」

『――もうお前らに用はない』

「これは何の真似だ!?」

『何の? ――決まっているさ』


「ぐるるるるるるるるるっ!」


「え!?」

『正輝の正義は世界に否定された……これはまだ良い。善だ悪だと言った所で、所詮敗者こそが悪で、勝者こそが正義なのだ!』

「何を言って……?」

『敗者に未来はない――しかし奪われた未来を、貴様らの様な欲望を自重も出来ん身勝手だらけのゴミどもに、我が物顔で喰い散らかされ、口惜しくない訳がない!! ――だからこそ僕は、僕の未来を奪った世界に……』


グジュッ……!



『うっ、うわあああああああああっ!』

『ぎゃあああああああああっ!!』


「抗議しているだけさ――省みろとも、同情しろとも言わない……でも、僕達から意味を奪っておきながら、無意味な物で終わろうとするなと――うっ……うぅぅっ……ぐすっ……うぅぅうううああああああああああああぁぁあぁああああ!!」


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