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大罪と美徳  作者: 秋雨
第5章 肯定する者、否定する者
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第86話

会議から1週間が経過。


「ヴォオオオオッ!!」

「ギシャアアアアアアッ!!」


テロは拡大する一方だった。


元々テロ自体、サイボーグやロボットを主体とする一般人派閥。

そして正と負の区分けがある物の、レベル4以下の契約者達がフォールダウンなど、非合法組織を取り込んで決起した、契約者派閥が存在する。


合成獣キメラ、サイボーグ、ロボット。

そして最近になり、量産人工知能を埋め込んだゾンビなどが、確認されるようになった。


「これからはこの、俺達人間なら誰にでも使える兵器、起動兵器の時代だ! テメーらバケモノは用済みなんだよ!!」

「広大なる大地の肥やしとなれ! コイツ等ゾンビに食われてなあっ!!」


そして、一般人派閥で頭角を現したのは、前々から存在していた反契約者“宗教”団体“大地の賛美者”


“契約者は人である事を捨てた外道。その存在意義は人間に恩恵を差し出す奴隷であり、広大なる大地にその鮮血を与える肥やしにすぎない”


そう思想の元、契約者の血を大地への生贄とする事を旨とした、宗教団体。

実は政府側にもこの考えに感化している者は多く、会議の際に捕らえられた者達はこの団体に与していた。


「……なあサカイ、こいつらナニイったかわかるか?」

「うぃ~っ……さあ? ゴミクズ語で話されてもわからん」


それらは変わらず、暴食のビオトープや色欲と慈愛のピュアプラントを始めとする、世界の主要個所に執拗な攻撃を加えていた。

正と負、一般人のテロ派閥と、それぞれ意見は違えど――正負友好反対を掲げて。


「ぎゃあああああああああああああっ!」

「うっ、うわあああああああああっ!」


しかし世界の主要部には、テロ対策もあり上級系譜が出張るようになっていた。

組織の機能低下が否めない事ではあるが、落とされたと同時に世界が終る……と言う可能性を秘めた場所を、大罪も美徳も抱えている故に。


決して、看過できる問題ではない物を、誰もが抱えていた。


「キリがねえな」

「うぃ~……だなあ、何か決定打でも欲しいもんだ」

「ケッテイダなら……あーっ」

「ひっ!」


グシュッ!!


「ギャアアアアアアアアアアアアアアアアっ!!」

「オレサマがテロリストをクってやろうかね? こんな風によ」

「ひっく……やめとけって。逆に刺激すんぜ?」

「ああそうかい……ハヤくドンからのシュツゲキメイレイコねえかねえ? シュビニンムなんざ、タイクツでいけねえ」



「……こんな所に、こんな場所が」


――所変わり、今は白夜のナワバリとなった正義のナワバリ。

北郷正輝を失った正義の軍勢は、正負友好表明後、傲慢の傘下加入を余議なくされていた。


そこで妙な場所が見つかったという報告があり、白夜は単身赴いていた。


「……ブレイブクローンと、ブレイブトレースの製造工場か? データ自体は、既に持ち去られているようだが」


ブレイブクローン、ブレイブトレース

乱世において、正義の軍勢が使用していた、前勇気の契約者にして正の勇者と呼ばれた男、一条宇宙のクローンを改造し、造り上げた生体兵器。


クローンは投薬と強制学習装置により、正義の系譜“忠誠”を使用した上での、量産上級系譜として造られた存在

トレースはサイボーグ化し、正義独自の技術を駆使し造り上げた兵器。


本来なら、これらにブレイブキメラ。

一条宇宙のクローンを媒介にした合成獣キメラ人間が加わる予定であった。


いずれにせよ、非人道的な研究である事は間違いないが……。


「……使えそうなものは」


白夜にとっては、どうでもよかった。


使える物は、非人道的な物だろうと進んで取り入れる。

それが彼の方針であり、彼の元には他に行く先もない思想に問題がある者達が、数多く存在しており、結果を出した物には相応の高待遇を約束されている。


――その代わり規律は厳しく、任務失敗や規律違反には自分すら例外としない、地獄を超えた地獄と称される程、厳しい罰を与える為の懲罰房すら存在する。


しかし、他に居場所がない事を差し引いても、殆ど出て行く者は少ない。

――彼自身が、そのすべてを従えているが故に。


「……ん?」


一条宇宙のクローンが入っていたと思われる、稼働されていない人工子宮。

それが立ちならぶ中で、白夜はその先に扉を見つけた。


バギャアッ!!


そのぶ厚い重金属の扉を腕力で引き剥がし、投げ捨てその先へ。


「……? なんだ、ここは?」


そこは広大な場所だった。

地下だと言うのに、まるで巨大生物を格納しておくかの様な……それ程までに、広大な空間な。


「……暴食の生物巨大化技術の実戦でもしていたのか?」


暴食独自の技術、生物の巨大化。

しかし暴食自体その技術は未だ持て余しており、現状ドラゴン以外では使えていない。


白夜は周囲を見回すと……


「……端末はあそこか」


ゆっくりと歩み、端末室へと。

そこは荒らされた形跡はなく、端末を操作し。


「……これが事実なら――成程な」


ボンッ!


「岩崎か……ここはブレイブクローン、ブレイブトレースの製造工場だ。危険はないが、何者かに荒らされた形跡がある。調査を行い、追跡しろ」

『了解しました』


端末をたたき壊し、白夜は携帯を切って――


「――ブレイブクローン、ブレイブトレース」


先ほど、製造工場で入手したディスクを握りつぶし……


「――私にこんなものは必要ない」


空間を叩き割って、それを放り投げた。


「……さて」


こじ開けた扉の個所に来ると、白夜は空間を叩き割り大剣を取り出し……


「ここも必要ない」


ドガアンッ!!!


「……どの道意味はない」


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