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大罪と美徳  作者: 秋雨
第1章 物語の始まり、動乱の幕開け
9/130

間話 改訂済

今回は短めです

契約者による戦場の――もとい、戦場“だった”とある一角。


「あれは……“勇気”を確保したか。“憤怒”」


辺りに契約者が倒れ、合成獣キメラの死骸やパワードスーツの残骸が散らばる中でただ1人、まるで星を見上げる様に空を見上げていた。

――手を返り血とオイル等で濡らしている以外、肌や衣服に汚れが見当たらない無傷な状態で。


「――しかし、先ほど感じた力……どうやら、新しき勇気が生まれたようだな。となれば……さて、ここからどうしたものか?」

「随分と余裕だな、“傲慢”」

「生憎と、余裕のない状況というのは、遭遇した事がないのでな。“正義”」


正と負。


正が人の美徳をつかさどる物ならば、負は人の欲望をつかさどる物。

それは光と影、表と裏、白と黒……それを現すかのように、美徳と大罪には対となる力が存在する。


勇気と憤怒、嫉妬と友情、暴食と知識、色欲と慈愛、怠惰と希望、強欲と誠実、傲慢と正義。


「――勇気はどうやら、新たな主を得たらしい。そしてそれは憤怒の手に渡った……が、お前のことだ。まだやる気だろう?」

「当然だ。貴様を殺し、我が勇気を憤怒の手から救い出すまで」

「――その姿勢は私自身も、感服しているがな」

「妥協、後退、躊躇――正義にそれらは一切許されない」

「それでこそ――と言いたい所だが、私も暇ではないのでな。早急に片付けさせてもらうぞ、正義の契約者、北郷正輝」

「ぬかせ! 傲慢の契約者、大神白夜!」


白夜がギリっと拳を握りしめ、正輝が足を半歩前に。

そして、どちらからともなく駆けだし……。


白夜の拳と正輝の蹴りがぶつかると同時に、何かが砕ける音が盛大に響いた。


「ふんっ……どうやら、今回も決着はつきそうもないな」

「忌々しいが、我が能力と貴様の能力では打ち消し合う以上、能力戦に意味がない」

「あいにくだが、能力に頼る私ではない――肉弾戦においても、私は最上位に位置する」

「ぬかせ!」


2人は一旦距離をとり、間合いを測る。

そして再度駆け出し、交差――


「おっとおっ! これ以上はやめて貰いたいですなあ!」


は、突如遮られた。


「何の真似だ、“暴食”?」


白夜は割り込んできた男に問いかける。


スキンヘッドに、耳まで裂けた頬にファスナーを取り付けた顔。

それに加え腕が左右で2対あり、一方は人間の掌でもう片方は手首から先が歯を剥き出しにした口となっている、と言う特徴的すぎる男だった。


「“何の真似だ”じゃあないでしょう? この街は小生、“暴食”の契約者こと明治我夢のナワバリ、これ以上好き勝手にやって貰っちゃたまらない」


警察機関などは基本的に、契約者と友好関係を築き、装備や戦力を提供されなければ契約者を取り締まる事は出来ない。

故に契約者の組織は、自分達のナワバリとする事、あるいは自分達の研究のための場所と資金を提供する事を条件に、秩序安寧の為に名を貸す事や友好関係を築く事も珍しくない。


特に大罪、美徳のナワバリともなると、秩序安泰が約束されているどころか、その研究の恩恵に預かれると、良い事尽くめである。


例えば合成獣キメラ

戦闘用の合成獣キメラばかり研究している訳ではなく、食材や愛玩用と言った用途。

科学技術にしても、契約者のナワバリによっては数十年の開きがあったり、一部に特化して進歩していたり、と言う事も多々ある。


「それで、どうします? 大罪側なら、ある程度の交渉が通じる相手とみなしますが……」

「……ここまでか――引き上げだ!」」

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