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大罪と美徳  作者: 秋雨
第4章 DEUS EX MACHINA
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第76話 エピローグ

その日


「うわあああああああああっ!!」

「ぎゃああああああああっ!!」


幾多もの断末魔と、轟音が世を包み……

幾多もの命がかき消され、呑みこまれていく。



その中心で……


「…………!」


引き裂かれる次元に呼応する様に地面が隆起し……


「…………」


その隆起が、炎の翼によって溶けるように消え去って行く。

声も音も全てはかき消され、ただひたすらそのぶつかり合いを起点に、世界は壊れて行く。


過ぎた欲望は身を滅ぼす。

それを現す様に……


「……」


2人が力を振るう度、世界は壊れ……

2人の心身共に、壊し続けていた。


「はぁっ……はぁっ……」

「くっ……ふぅっ……」


衝突がやみ、2人は息を切らし佇む。

骨は砕け、肉は裂け、血は滴り落ちている、満身創痍の状態で。


「……そら……ごめ……ん」


ユウの右腕に風が集まって行き、燃え上がる。

ユウの身体を上回る大きさのそれは、瞬く間に数百メートルもの大きさの、太陽を連想させる火球へと変貌した。


「おれ……まだ……い……ない……さみ……のや……くが」


朦朧とした目で、白夜へと矛先を向け……


「……まだだ」


それに対する白夜も、寧ろユウより重傷の身体を奮い立たせ……

空間を引き裂き、“凶座相グランドクロス”を発動。


太陽と光がぶつかり……

世界は裂け、人の文明の大半が崩壊する事となった。



その崩壊した世界で初めての動き。

それは……


「いてて……」

「大丈夫ですか、宇佐美さん?」

「ええ……なんとか」


宇佐美と怜奈、そしてシバの無事である。


「こりゃ、予想以上だな……さて」

「「?」」


シバは砂を集中させ、“砂漠デザート処女メイデンを展開。

それを……


バキッ!


「え?」


最も花としての形を取っていた個所をへし折り、地割れへと投げいれ黙祷。


「――意外か?」


呆気にとられていた宇佐美に、シバが問いかける様にそう呟いた。


「……正直」

「良い事教えてやるよ――人は常に罪を犯し、業を背負っている。その事を自覚できるか出来ないか、はたまた自覚しようとしないかで、人か悪人か外道かに分かれる」

「――大罪って、そう言うの好きね」

「生半可な欲望や理性じゃ、大罪や美徳のブレイカーとは決して契約は出来ない。だからこそ強過ぎる欲望、あるいは理性を制御するための美学、あるいは持論を持ってんだ」

「あ、そっか。大罪が好き勝手振る舞えば、戦争が絶え間なく起こってるだろうからね」

「そう言う事。恥や間違いを自覚しようとしない奴ほど、理を悪用したがるものなんだ……っと、ここまでにしよう。ナワバリがどうなってるか気になるし」

「あっ……!」


そこで宇佐美の脳裏に、親しい人たちの顔が次々と浮かんでいく。


「歩美、さやかさん、みやちゃん……大丈夫かな?」

「蓮華ちゃん、皆……」


怜奈も同様で、そわそわし始めた。


「そうと決まりゃ、行くか。お前らの旦那と、オレの同盟相手を保護しに」

「「旦那じゃない(ありません)!」」

「いや、水鏡の姉ちゃんは説得力ないぞ? あんな大胆発言しといて」

「ただあの戦争後、ワタクシの身柄を預けた事を伝えただけです」

「……ごめんなさい、あたしもそうは聞こえなかった」

「――やれやれ」


3人はそんな会話を交わしつつ、一路ユウと白夜の交戦地点へと足を運ぶ。


「……すっげ」


近づくにつれ、幾多もの地割れやクレーター、抉れた地面が酷くなって行く様は、世界に与えた惨劇を物語っていた。

他にもあちこちで焦げくさいにおいと、異様な暑さが鼻と肌を刺激する


「……これが、真理の力」

「まるで、核爆弾を何度も撃ち込みあった様です」

「さて、この辺りが中心か……どうやって探した物か?」


ボコっ!


「……ユウ!?」

「……残念ながら、ハズレだ」

「大神、生きてたか」


地面が盛り上がった場所。

そこから出てきたのは、血だらけで傷だらけの白夜。


「……そんな!」

「――やっぱ生きてたか」


宇佐美の声を遮る声は、そのまま白夜の前に歩み寄る。


「当然だ。貴様もよく生きていた」

「宇宙に追い返されてきた。まだ来るなっつっでえッ!

「ユウ!」

「朝霧さん!」


グギッ!


「あーあ……あの2人に抱きつかれて、しかも水鏡のお姉ちゃんの胸で窒息って、羨ましい筈なのにそうは見えねえ」

「武田、ここからが始まりだ……わかっているな?」

「当然だろ。この先に何が待っていて、どんな物と巡り合い手に入れ、愛でるか……今から楽しみでしょうがねえ――だが、この終焉と始まりが何を意味するか」

「それを決定づけるのは、これからだ――さて、まずは北郷か」

「なんだよ、返すのか?」

「場合によってはな――世には勇者ではなく魔王が、救いではなく破滅が必要とされる事もある」

「違いないな。この破滅でわからんようなら、人は滅亡したほうがいい」


世界崩壊の日。

または、審判の日とも言われるその日。


世界は崩壊した。

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