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大罪と美徳  作者: 秋雨
第4章 DEUS EX MACHINA
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第72話

ユウの斬城剣(縮小状態)と、白夜の“異界物質ダークマター”の大剣。


「真理を手に入れ、一体何をするかと思えば……」

「この世界には滅びが必要だ」

「ゲームじゃねえんだぞ!」


それがぶつかり合い、火花を散らす。


「ゲームじゃない……それを理解している者が、どれだけいると思っている?」


剣戟を繰り返し、その中で白夜は横なぎに大剣を振るい、ユウの斬城剣を払う。

そして剣を振った勢いをそのままに、拳をユウの顔面にブチ込んだ。


その拳を掴み、斬城剣を地面に突き立て胸ぐらをつかみ、白夜を背負い投げでブン投げる。

なんの抵抗もなく投げられた白夜は、着地すると同時に追撃して来たユウに向け、大剣を構え駆けだす


「“鎌鼬”」

「“蛟”」


そのユウの背後から、怜奈を抱えて風を使い空へと飛び上がる宇佐美達の援護攻撃。

宇佐美が脚に風邪を纏わせ“鎌鼬”を放ち、怜奈が長刀の刃に水を纏わせ“蛟”を放つ


「すぅっ……はあっ!」


突然の不意打ちにも関わらず、白夜は大剣を振るい風の刃と水蛇を薙ぎ払い、その勢いで身体ごと一回転させユウに一閃。


ガギィっ!


その一閃を、ユウは斬城剣で受け止めると同時に手放し、焔群を抜き一閃。

大剣に勢いを取られた事もあるが、白夜は何とか回避するも……


ツッ……!


「……」


頬に、一筋の赤い線が走る。


「剣戟で俺を倒そうなんて舐めてるのか?」

「流石は、負の勇者と呼ばれるだけの事はある。ならば……」


白夜が今持っている大剣を手放すと同時に、その大剣は崩れ消滅。


「大罪としての、本気を出そう」


パキパキと両手を鳴らし、白夜は纏う雰囲気を一変させる。


「……! 2人は下がれ!!」

「安心しろ」


ユウが叫んだその次の瞬間――


「……あの2人に今、用はない」

「っ!」


眼前に白夜の拳が迫り、ユウは殴り飛ばされた。


「早い……いや、今の妙な違和感は?」

「呆けている時間はないぞ?」


距離をとったユウを追撃すべく、白夜は両手を突き出しぐっとにぎりしめる。

にぎりしめた拳が引き裂き……


「“凶座相グランドクロス”」


その引き裂かれた空間から十字の光が、ユウめがけて放出される。


「“迦具土カグツチ”!!」


ユウも六連を抜き、6本の刀を牙とした溶岩竜を光撃にぶつけ――相殺。


「――!」


その次の瞬間白夜が大剣を手に飛び出し、距離を詰める。


「氷刃円舞!」


それを怜奈が援護で、氷の大刃を形成し白夜めがけて振り下ろした。

白夜は再度大剣を取り出し、薙ぎ払って破壊してその勢いのままユウに振るう。


「“灼熱イフ剛腕リート”」


ユウの腕がマグマに包まれ、そのマグマごと焼き尽くすかのような炎に包まれた。

その燃え上がるマグマの腕を振るい、白夜と交差。


「……ほおっ」


白夜の大剣は溶かされ、剣としての機能は失われたのに対し、ユウの方は無傷


「いつまでも剣一本で通用すると思うな!」

「ならより強い剣を出すまで」


白夜が空間を叩き割り、そこからまたもや“異界物質ダークマター”で構築された、雪のように真っ白な大剣を取り出す。


――しかし先ほどまでの大剣とは異なり、禍々しい形状をとった刀身は、白夜の2倍以上の長さを持っていた。

その大剣を振るい……。


バキャアっ!!


「なっ……!?」


ユウの“灼熱イフ剛腕リートを、一撃で破壊。

それに続く様に、斬城剣を手に取ったユウめがけて振り……


「ぐぅうっ――うおおおおぉおおおおおおおおおお!!」


斬城剣を両断。

それにとどまらず、ユウの右肩から左わき腹にかけて、深い傷を刻み込んだ。


「朝霧さん!」

「ぐっ……舐めんじゃ、ねえええええええええええええっ!!」


ユウは吠え、炎熱で増幅した治癒で傷を塞ぎ、折れた斬城剣を手に駆けだした。

迎え討つ白夜は大剣を捨て、空間を破りとりそれを千切ると――。


ドゴっ!


「っ!」


その次の瞬間、ユウの先ほど塞がったばかりのわき腹に激痛が走る。

――まだ距離があった筈の白夜の拳が、そこに食い込み……


「ぐっ、あぁぁああああああああっ!!」


その衝撃で傷が開き、血が噴き出した。


「…………」


その様子を、白夜は表情を変えることなく見つめる。

その眼には喜びや哀れみもなく、罪悪感や中傷すらもなく……。


ただ、当然の光景。

白夜に言わせれば、ただそれだけのことだった。


「そんな……ユウが、あんな一方的に」


その光景に唖然としている宇佐美を余所に、白夜はユウに向けて歩み寄る。


「勝負ありだ」

「まだ……だ……」

「……ここまでになってなお、まだ意思で負けていないとは」


白夜はふぅっとため息をつき……


「――まあいい」


白夜は複数契約中継演算装置“ブレイクハート”

そして、北郷正輝から奪った、正義のブレイカーを取り出し……


「ユウ!」

「朝霧さん!」


怜奈と宇佐美が、ユウを抱え白夜から距離をとる。

しかし白夜は……。


「……」


意にも介さず、複数契約の準備に入り始めた。


「はぁっ……はぁっ……」

「朝霧さん!」

「ユウ!」

「ゆさ……み……」


――これを託せるのは、宇佐美だけなんだ。そして任せられるのも……お前だけだ。


「――ごめん、宇宙」


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