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大罪と美徳  作者: 秋雨
第1章 物語の始まり、動乱の幕開け
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閑話 キメラ牧場(?)物語

ビオトープという施設がある。

これは合成獣キメラ開発のための、契約者のナワバリにのみ存在する施設であり、ここでは日夜生態研究がおこなわれていた。


それは憤怒のナワバリにも存在する訳で……


「と言う訳で、やってきましたビオトープ」


宇佐美が手術を終え、現在療養中の中。

ユウ率いる一団、裕香、歩美、京、さやかはビオトープに来ていた。


「もうっ、ユウ兄ちゃん。普通晩御飯の食材調達のためにビオトープに来るなんて、あり得ない筈なんだけど?」

「ココは俺の設備だろ。使って何が悪い?」

「……管理は光一さんがしてるっぽいですけどね」

「……うんうん、それ以外に考えられないよ」

「……ですですー」

「うぉいっ!?」


すっかり名目上のリーダーと言う認識をされてるユウだった。


「自業自得だよ。もし光一兄ちゃんが愛想尽かしたら、絶対破綻するよ?」

「うっ……修行の合間に、少しは事務作業をするべきか」

「普通はユウ兄ちゃんが決断すべきことばっかりなんだからね?」


余談だが、合成獣キメラのビオトープに“一般人が”行くともあり、ユウは武装していた。


ごつい布地の黒いシャツにカーゴパンツ、首には二巻きもしてると言うのに端が足元に届くほど長い深紅の布を巻き、手には一振りの打刀と言う部類の刀。

それを固定するベルトからサスペンダーの様に、から後ろまでなっており、それに付随する様に腰の部分に六振りの太刀があった。

普段はバンダナで隠してる左目も、今はしっかりとレザーの眼帯で覆われている。


「……なんでそんな大仰な?」

「ビオトープ見たいって言うから、万全を喫するためだ。それと駆動鎧パワードスーツ用意させてあるから、すぐに着けて」

「「「え……?」」」

「ビオトープは一般公開なんて考慮してない。普通立ち入るのは合成獣キメラ使い、もしくは俺と光一だけ」


契約者の中には、合成獣キメラを使う能力に特化した、合成獣キメラ使いと呼ばれる部類の契約者も存在する。

そう言った面々がキメラを管理、飼育し研究者たちがデータをとりまた作製。

と言うのが、ビオトープにおける活動の大まかな説明。


「これ、警察が使ってる物とは違いますね?」

「この前出来た試作品を(光一に)回して貰った。3体しかないから、裕香は留守番頼む」

「ユウ兄ちゃん、3人に傷つけたらご飯抜きだからね!」

「はいはい」


と言って、メニューの説明を受ける横で、3人はパワードスーツを手伝って貰いつつ装着し、いざビオトープへ。


隔壁で覆われた先は、大自然。

澄んだ空気に、辺り一面に茂る森林。

どこまでも自然のままにされているだろうそこは、一見すればピクニックや森林浴にはもってこいの場所だった。


……駆動鎧パワードスーツをまとっている事と、武装している憤怒(最強)さえなかったら。


「えーっと、今日はトンカツにカルパッチョで、こっから持ってくのはブタとタコ……ブタはスタンプブルで、タコは大王蛸」

『……あの~、なんか物騒なイメージがわく名称言いせんでした?』

「そりゃ合成獣キメラだから」

『『『…………』』』


顔を見合わせて、これからどうなるんだろうと3人は正直後悔していた。


「えーっと……この辺りだな?」


地図をしまい周囲を見回し、ユウは息をひそめ始める。

それからそっと木の陰に隠れ……


「ぶふっ!」

「ぶごっ!」


その先に居るブタの群れを観察し始めた。


『……あれ、ホントにブタなんですか? 見るからに引き締まってるっぽいんですが』

『……鼻が大きい上に硬そうだし、牙も生えてるね』

『……うーん、おそわれたらひとたまりもありませんねー』


当然普通のブタのわけがなく、戦闘用の試作品として作られた合成獣キメラである。

そんな事を話してる間に……。


ガサっ!


「「「ぶひっ!?」」」


ユウが一番体格よさそうなブタに駆けだし……


「ぶぎぃぃぃいいいいいっ!!」


首に向けて一閃したのち、脳天に刀を突き立てた。


「ぶごっ!?」

「ぶいっ! ぶいっ!」

「ぶぎいぃぃいっ!!」


突然の襲撃と仲間がやられた事で、群れに動揺が走る。

その間にユウは仕留めたブタを担ぎ、さっさと3人と合流しようと……。


「ぶぎぃぃぃいいいいいいっ!!」


激怒したブタが一匹、ユウに向けて突進。


「お待たせ」


ユウはそちらに目を向けもせず、担いだブタを降ろし……


「とりあえず、二匹もいれば足りないって事はないだろ」


刀に手をかけた瞬間……。


ズズゥゥウン!!


ブタが前触れもなく首から血を噴き、その場に倒れ伏した。

三人が唖然とする中、ユウが首に巻いてる布で刀を拭った後、鞘に納め……


「……失せろ」


睨みつけ一言。

それだけで……


「「「ぶぎぃいぃいっ!!」」」


ブタ達は我先にと、その場から逃げだした。


「さて、と……」


ブタの血抜きをやった後に、一路湖の地域へ。


『……なんで蛸まで居るんですか?』

「研究の為だって。さて……大王蛸捕まえれば、しばらくたこ焼き食い放題。気合入るねえ! はっはっは」

『『『…………』』』


本日何度目かの絶句。


『あのー、ちょっとよろしいですかー?』

「ん?」

『ユウさんはー、いったいどんなのうりょくつかったんですかー?』

「いや、ただ居合で斬っただけで、能力なんて使ってないよ。大体ここを破棄に至らせたら、光一に怒鳴られちまう」

『『『……そう言えば、光一さん(久遠君)(こういちくん)より強いんだよね(ですよね)この人』』』

「? どうかした? もしかして、蛸嫌い?」

『いえ、そう言う訳では……』

「っと、ついた」




――所変わって


「……地獄を味わったわ」

「御苦労さま。明日の朝には捕りつけた送受信装置が身体になじむ筈だから、ブレイカーと本契約を結ぶための同調はそれから」

「そう……ねえ、歩美たちは?

「ビオトープ見たいっつーから、ユウが連れてってる。何かのはずみでビオトープふっ飛ばしたりしないかが心配だ」

「……あのさ、あたしその対になるんだから、そう言う発言やめてくれない?」

「ああっ、悪い悪い。さて、リンゴ剥けたぞ。はい、あーん」

「あーん」


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