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大罪と美徳  作者: 秋雨
閑話集
118/130

小ネタ バレンタイン

「――おはよー、ユウ兄ちゃん」

「ああ、おはよう裕香」

「はい、チョコレート」

「おっ、サンキュ……って、なんでいきなり?」

「今日バレンタインでしょ」

「え? ……あっ、そっか。今まで縁がなかったから、すっかり忘れてた」

「……さて、女の子の扱いがへたくそなユウ兄ちゃん。宇佐美ちゃんに怜奈さんから、チョコレート貰うだろうから言っとくけど」

「お前な――女の方が早熟、とは良く言ったもんだよ。ったく、可愛げのない」

「がぶーっ!!」

「――? 何やってんだお前?」

「噛みついてるんだから、少しは痛がってよ!」

「? ……ああっ――いたたたたたたたた」

「…………自然災害でも死なないような人に、バカな事言っちゃった」



「――てな事があって、こっち来た」

「……流石に、漫才になるのはユウらしいけど。まあ確かに、ユウには縁のない事だよな」

「月が居るからって、余裕だな」

「そんな事よりは良いけど、また宇佐美に」

「いや、裕香にも散々言われたんだから」

「……またしばらく徹夜か」

「おい!」



「――という訳で、バレンタインのチョコを用意した訳だけど」

「……ユウさん相手ですからね」

「……気にせず行ってあげようよ。どうも女の子の扱いへたくそみたいだから」

「ですですー。りかいしてあげるというのも、1つのてですよー」

「……そうね。今日という日を無事に迎えられたのも、ユウのおかげだもん」

「ふふっ、微笑ましいですね」

「あっ、怜奈さん。怜奈さんも、ユウにチョコレートを?」

「はい――実を言うとワタクシ、殿方に贈り物をするという事は初めてでして」

「へえっ、そうなんですか? ――考えてみたら、慈愛に男性って少ないらしいから、無理ないですね」

「それに蓮華ちゃんも、近づける事を良しとしていませんでしたから」

「大事な象徴だから、毒牙が及んでは大変……という事だったんでしょうね」

「あっ、月さんも。光一にですか?」

「そうよ。私の胸で型をとったおっぱいチョコを」

「「「「「ぶっ!!」」」」」

「というのは冗談で、ちゃんと色欲自慢の農場産のカカオに砂糖を使ってね」

「「「「「そこから!?」」」」」

「そうよ、だって美味しく食べて貰いたいからね」



「――というわけで、はい。今年はガナッシュトリュフよ」

「ああ、ありがと」

「それじゃ、食べさせてあげる」

「……まあ今日くらいは、お言葉に甘えて」



「「「「「……」」」」」

「? どした?」

「いや、思ったより普通だなーって」

「宇佐美の言う事もわかるけどね。それより、歩美は行かなくていいの?」

「いえ、後にします――入り難いし」



「――やれやれ、光一も罪作りな男だなあ」

「それより、ユウ」

「ん?」

「はい。チョコレート」

「では、ワタクシも」

「おっ、ありがと。へえっ、美味そうだ。早速食べていい?」

「良いわよ」

「――どうぞ」

「もぐもぐ……うん、美味い」

「そう?」

「よかったです。チョコレートは初めてだったもので、不安でしたから」



「――ご馳走様……そうだ、何か欲しい物とかある?」

「え?」

「いや、お手製で何とかなるなら作ろうと思ってね。修行中の身とはいえ、鍛冶屋だし」

「うーん……その時はお願いするわ」

「ええ。そのお心遣いだけで十分です」

「そう?」



「――今回は怒らせずに済みそうだな」

「……さーて、どうかしらね?」

「……やめて欲しい」



「――アタシ達完全に蚊帳の外ね」

「ですですー……いっそみやちゃんたちもなかまいりしますかー?」

「――そうだね。上級系譜以上って、重婚許可されてるらしいし」

「それはそれでおもしろそーですー!」


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