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大罪と美徳  作者: 秋雨
閑話集
116/130

閑話 勇気の成長、憤怒の失態(?)

さすらいの旅人さんのリクエスト――をもとに、ちと改編した閑話です。

もちろん、もう少し間をあけたうえで、もう一度チャレンジです。

“勇者”

一条宇宙のもう1つの呼び名であり、今は勇気と共に自分が受け継いだ称号。


兄がそう呼ばれている事に関しては、ただただ誇らしかった。

しかし今は、自分がその名を継いでいる


――勇者である兄から、その意志と力を受け継いだ者として。



「――“鬼蜘蛛”」


ユウの背から、マグマが噴き出す。

その噴き出したマグマは6本へと収束し、まるで蜘蛛の足の様な形状をとる。


その先に、6本の日本刀を握りしめて。


「“噴火七刀流”」


背の6本のマグマに、6本の太刀を握らせ、自身の手には1本の打刀。

――全部、訓練用に刃を潰し、殺傷力をなくしてあるといえど、それでも骨折程度は十分与えられるシロモノ。


「――あの」

「そろそろ、次のステップ踏んでもいいかなって思ったから」

「普通に剣2本どころか、1本でも相手になってないんだけど!?」

「それじゃ、行くぞ」


ユウにしては珍しく、問答無用という形で駆けだす。


「宇佐美さーん! 頑張ってー!」


今日はみとり稽古という意味で、リディアも連れてきている。


「――!」


背に声援を受けた宇佐美は、奮起する。

――リディアに情けない所を見せられない、と。


「――良い顔だ」


にっと口元に笑みを浮かべ、ユウは刀を握る自身の手にぐっと力が入る。

宇佐美も、それにこたえる様に握りしめる拳に、力が入り――


気がつけば、我先にと飛び出していた。


「はああああああああああああっ!」


風を纏う拳。

ユウの懐に飛び込むが否や繰り出すそれは、上級系譜なら一撃で殺せる威力を持ち、ユウに襲い掛かる。


ガギィっ!


ユウの背の2本の太刀に、それは阻まれた。

それと同時に、宇佐美の背、横、上から、縦横無尽に剣が襲いかかる。


「!」


宇佐美は後ろに飛びのき、起動を変えた剣の上から襲ってきた1つを蹴りで撃ち払い、思い切り風を使い飛翔。


「――“夜叉舞”」


背の6本の腕が、渦巻きを連想させる様な構えをとり、ユウ自身の腕はその中心で居合の構えをとる。

そして足には、グラグラと煮え返るマグマが纏わりつき――


ドゴンッ!


その次の瞬間、脚のマグマが爆発。

ユウがその爆発力を利用した加速で、距離を詰めてきた。


「!?」


意外な行動に宇佐美は、一瞬判断が遅れた。

その次の瞬間――


鬼蜘蛛による6手1体の攻撃と、それに追随させた居合の一撃。

宇佐美はそれをまともに受け、吹っ飛ばされ――


「――やっぱりダメだった」

「何言ってる? 普通に考えれば、上出来の部類だぞ? 最初の攻撃だって、上級系譜じゃ絶対対処できない様に仕掛けたっていうのに」


宙に舞った宇佐美は、地面に激突するかと思われたが――

間一髪で、ユウに抱きかかえらら、お姫様だっこの形となっていた。


「――わあっ」


そんな光景を、リディアが顔を赤くしながら魅入っている。

漫画の類でしか見ないそれに、少々憧れと驚きの二重奏を奏でつつ――


「どした、リディア?」

「――お姫様だっこなんて、初めて見たので」:

「え!?」


宇佐美が先ほどまでの状況を理解し、ボッと顔を赤らめた。


「お姫様……って、いや、そんなつもりはなかったんだけど」

「でも、アイドルをお姫様だっこなんて、普通にできる事じゃないですよ?」

「だよなあ。貴重な体験は出来た訳だし、ここは喜ぶところか」


その割には、ユウからはあまり喜びとかそう言う感情自体が、あまり感じられなかった。


「――なんか、感動少なそう」

「いや、抱きかかえた感想がどうとかって、さらりと言える訳ないだろ!」

「強いて言うならって言うのはないんですか?」


顔を赤らめてる宇佐美を余所に、ワクワクと祇園が出そうな興奮した雰囲気で、リディアが問いかける。


「強いてって――思ったよりやわ……じゃない。重かったって事くらい?」


ドッカーーーン!!



「おかえり――って、ユウ兄ちゃん、どうしたの?

「いや……ちょっと言葉の選択間違えただけだ。裕香は気にしなくていい

「…………」

「…………」

「?」


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