閑話 ピュアプラントの一時
「――ん?」
――世界崩壊からまだ1年ともあり、高層ビルと言った建造物自体まだ存在しない。
そもそも世界崩壊で死んだ人間も莫大な数の上に、テロが横行する現状で、そんな大型建造物自体がまだ必要ない以上、人が住む場所は基本的に簡素な一軒家やアパート。
寧ろ、生活を支えるべき契約者の施設の方が優先されていた。
植物性食料生産施設“ピュアプラント”や、合成獣開発施設“ビオトープ”
食料に環境、住居に物資、そして生活水準に治安維持等、世は問題が山積みである
「えーっと……」
そんな中で、憤怒の上級系譜、久遠光一が目を覚ました場所――そこは、ピュアプラントの仮眠室。
毒物を混入しようとした男がいるとの情報を受け、警備責任者として顔を出しに来た次第である。
――結果は、大地の賛美者によるテロ工作。
一般所員の1人を攫い、徹底的にむしり取った生体データを使い、潜入したとの事。
「――どこまで行こうと、人は人なのかね?」
魔王勢力の台頭以来、表立ったテロは殆ど起きなくなった。
――それに反比例する様に、こういった水面下での活動は活発になっている。
「――5時か」
ボリボリと頭をかき、周囲で寝てる人達を起こさないよう、そっと外へと出る。
「――ふぅっ」
コーヒーを一口飲み、一息。
ピュアプラント稼働から、こういった物も普通に普及されるようになったため、生活水準自体が徐々に元へと戻りつつある。
「――いきなり蔦で絡め取ろうとするの、いい加減やめてくれないかな?」
ふと漏らした言葉。
「――なんだ、気付いてたの?」
少し離れた所で、自分の腕の2倍の長さはある長い袖の白衣を羽織り、その腕を光一に向けて突き出してる研究者らしき女性。
色欲の契約者、花柳月が残念そうに腕を降ろした。
「――カンで言っただけだけどね。そろそろかなーって思っただけ。何か飲む?」
「じゃあ、ストレートティーで」
「ん」
備え付けられたベンチに2人で座り、それぞれ飲み物を一口。
「――稼働はどう?」
「何もなければ、順調に食料問題解決に前向きな意見が出せる――と言いたいけどね。今回の事件の所為で、一般人の所員が皆怯えてるのよ」
「――あれは酷かったもんなあ。一般所員用の生活スペース作るべきじゃないかな? 流石に全域に量産型クエイク配備するのは無理だ」
「考慮しておくわ――事後処理で大変だったのよ私も」
と言って、コツンと頭を光一の肩に乗せる。
「――おかげで徹夜でね。美容に悪いし、肩はこるわで大変よ。後で揉んでくれない?」
「俺の力じゃ、マッサージにもならないよ」
「別にこっちでも良いけどね。まだ成長期だから、最近HからIにかわって大変なのよ」
「何の話――かは言わんでいいけど、遠慮しとく」
月が抱きかかえるよう持ちあげたそれが視界に入ると、光一は慌てて顔をそらした。
ぺろっ!
「!?」
その次の瞬間、生温かい何かが頬を撫でた。
「――ストレス物質分泌多量。最近また寝てないわね」
「何故舐める!? 接触感応なら触れるだけでいいだろ!?」
「睡眠はきちんととらないとダメよ。今日はドクターストップかけるから、今日一日はゆっくりするように」
「話逸らすな。てか今日は帰ってやらなきゃならない仕事は――」
「という訳だから、今日はドクターストップかけるわよ」
『――わかった。それと、あの人の容体は?』
「芳しくはないけど、何とかはするわ」
『頼むぞ』
プツッ!
「という訳だから、今日はゆっくり休みましょうね」
「――上級系譜の辛い所だよなあ。大罪相手じゃ、どう足掻こうと勝てないの」
所は、月にあてがわれた部屋――つまり私室。
そこで蔦に絡め取られ、宙ぶらりんになってる光一が、恨めしそうにそう呟いた。
「――けどまあ、折角の好意ありがたく受け取るか」
「私も今日は休むわ――という訳で」
「責めて蔦は解いて?」
そう言うと、蔦は緩み光一を解放する。
「――そんじゃ、寝るか。最近マジで睡眠時間が削れて丸坊主状態だし」
「じゃあ一緒に寝ていい?」
「……抱きつく位は何も言わんけど、何もやらんからな?」
「やりたくなったら拒まない、とだけは言わせて」
――それ以上何も言う気も起きない光一は、言われるがままベッドで熟睡。
月もそれに続く様に、ベッドに入って光一を抱き枕にしつつ、熟睡に入る
――2人が目を覚ましたのは、その日の深夜だった。
突然ですが
――少々かけ足すぎる展開ばかり続いてる。
という印象が出てる気がするので、しばらく少々落ち着ける話をメインにやろうと思います
というわけで、こういうシチュエーションで、誰と誰のやり取りが見たい。
そういうリクエストがありましたら、感想とともにお願いします




