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大罪と美徳  作者: 秋雨
第6章 絶望と憎悪の宴
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第101話

「――成程ね。言いたい事はわかった……けど、あの子が系譜に至れる素質があるかどうかは、ハッキリ言って賭けだぞ?」

「それはわかってるさ。だが光一、宇佐美を契約者の立場から支えられる存在が、必要にはなってるんだ。あの子に系譜に至る素質があろうとなかろうと……」

「それに関しては同意できるけど……まあとにかく、フォローできるところはフォローするよ。いずれ俺やナツメの対になるかもしれないならな」

「頼む――しかし」

「ん?」

「いや、因果な物だって思ってな――世を騒がせる魔王様は、かつての正義の傘下契約者。そして……」

「美徳の新星は、一条宇宙の妹――確かに」



「という訳で、この子が新しい家族です」


ラッキークローバーの共同住宅。

歩美、さやか、京の3人と、合成獣キメラ少女葵は、宇佐美が連れてきた少女の紹介を受けて、目を丸くしていた。


「…………」

「ほら、ごあいさつ」

「ふぇっ!? ああっ、ああああああああああああああああああああああああっ……」


クラっ……


「落ちついて、深呼吸」

「ひっひっふぅっ……」

「それ違うよ!?」

「「「…………」」」

「……? ひっひっふうっ……? 良くわかんない」


――数十分後。


「――リディア・バートンです。初めまして」


褐色肌に、肩までで切りそろえられた髪。

12かそこらの少女は、控え目にそう告げてぺこりと頭を下げた。


「――結構あがり症なんだね」

「――だって、久しぶりのご飯食べたばっかりで頭ぼーっとしてたから、良くわからなかったけど、ラッキークローバーの宇佐美ちゃんに保護してもらうなんて」

「保護って言っても、憤怒の保護下同然だけどね」


「あー、そのブローチですがー、もしかしてブレイカーですかー?」


身長136cmの小柄な19歳、高嶺京がふと気付いた事を質問。


「あっ、みやちゃん――でいいんですよね?」

「けいごはいいですよー」

「はい――一応、量産型のブレイカーです」

「――なるほどー、じゃあゆさみちゃんのけいふこうほですねー?」

「けっ、系譜!? リディアが、ですか!?」


「――失礼」


ノックをして入ってきたのは、貧弱な体躯の男。

リディアは宇佐美の後ろに、さっと隠れる。


「どうしたの、光一?」

「いや、近く通りかかったもんで、折角だから声かけに来たんだよ」


光一は宇佐美の後ろ――リディアに目を向ける。


「――いずれ俺の対となる系譜候補にね」

「ひうっ!」

「いや、そんな怖がらなくても――」


軽い悲鳴を上げて、宇佐美にしがみつく用に震える少女に、苦笑しつつショックを受けていた。


「――とりあえず、自己紹介していいかな?」

「…………(コクっ)」

「俺は憤怒の上級系譜、残虐の契約者、久遠光一。よろしく」

「――リディア・バートン」


それだけ言うと、リディアは俯きダンマリを決め込んでしまう。


「――随分話と違うな?」

「あたし達と会った時は、数日ぶりの食事でお腹いっぱいになって、おおらかになってたみたいだから」

「……成程。それで、この子を系譜候補として育てるって話は?」

「今はまだ保留。あったばかりなんだから、気安く返事出来る訳ないでしょ?」

「――それもそうだな」


ポリポリと頭をかく。


「――光一、また眼の下クマが出来てるよ? また寝てないでしょ?」

「仕方ないだろ――この前のトウテツ襲撃で、あちこちに不安与えちまったから、そのケアに西へ東へ大忙しなんだ。それに今からクエイク量産ラインに使う、クリア精製もしなきゃいけないし」

「そう……身体壊さない様にね?」

「はいはい」


そう言って踵を返し、光一は出て行った。


「――さて」


宇佐美はリディアに目を向ける。


「――まずは、お互いを知ることから始めようかな?」

「――お互い?」

「そう、お互い。まだ出会ったばかりだからね、色々とお話ししよ」

「――うん」


カチャッ!


「お待たせ。今日の分の買い出し持ってきたよ」


今度は、買い物袋を片手に、ナツメが入ってきた。


「――」

「あっ、光一の兄さんから聞いてるよ。ウチは桐生ナツメ、ラッキークローバーの護衛やってるんだ、よろしくね」

「――リディア・バートン」



――次の日。


「――へえっ、瞬間移動能力テレポートがメインか。それは珍しい」

「何か、効率的な運用法はあるかな?」


在る程度理解を深めた宇佐美は、光一に質問を持ちかけていた。


「今だと、空間を歪めた盾に、位しかないよ? レベルが低いうちは、ヘタに物質同化系の能力使うと、元に戻らなくなる可能性あるし」

「――じゃあ、サブ能力着けるとか?」

「それもやめとけ。レベルが低いうちにサブを着けると、逆に効率が落ちるから。どうせなら、格闘教えたらどうかな?」

「――わかった。ありがと」


そう言って、宇佐美はさっさとリディアの所へ掛けて行った。


「わりと世話役が板についてるな」

「それは、私たちのリーダーですから」

「そうそう。お姉さんたちも、宇佐美ちゃんの決定ならわりと納得できるしね」

「ですですー」


そんな様子に、ラッキークローバーの面々+光一は、ほほえましいと言う様に笑みを浮かべる。


「――?」

「きゅーん」

「わんっ!」

「くぅーん」


信長、秀吉、家康に囲まれ絵本を読む葵は、そんな様子に首を傾げる。


「――きゅーん」

「おっ、久しぶりだな秀頼。おいで」

「わんっ!」



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