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大罪と美徳  作者: 秋雨
第6章 絶望と憎悪の宴
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第94話

大罪に対する多面テロ勃発。


大罪のナワバリで住民どころか、下級とはいえ契約者を喰い殺しまわった、四凶を模した巨大ヒュージ合成獣キメラ

そしてスペック上は上級系譜に匹敵する生体兵器、ブレイブシリーズ。


それらは、大罪のナワバリに多大な被害を齎した後――


「ぎゃああああああああああああっ!」


大地の賛美者、あるいは至上主義を掲げる契約者の組織――それらを始めとするテロ組織。

それらに攻撃を仕掛け続けていた


その際にブレイブシリーズが出る事はなく、メインは巨大ヒュージ合成獣キメラ“四凶”。

そして――


『ぐおおおおおおおおおおおおおおおっ!!』


巨大な牙に、明るい紫色の身体に、真黒な鬣。

牛や象を思わせる太い脚には、ライオンやトラの様な脚があり、斧の様な爪を持つ、“ベヒーモス”と呼称される合成獣キメラの群れを使い……


攻撃を受けた組織は悉く食い散らされ、地獄絵図の様な最期を迎えていた。


『欲望を満たす事しか頭になく、自身の欠点や問題の本質を省みない存在“人間”……好き勝手にのさばる事が何を意味するかも理解できない者達を、僕は許さない――故に僕は調和を取り戻すべく、僕の造り上げた巨大ヒュージ合成獣キメラ“四凶”、ブレイブシリーズ。そして、新しく開発した合成獣キメラベヒーモスを用い、調和を乱す者を処分する』


彼は自身の存在と目的を宣言。

――世界崩壊以上に実感のある恐怖として、世に暗雲を齎した彼は程なく“魔王”と呼ばれる事となる。


「魔王――か」


魔王の襲撃が齎した地獄絵図

それが世の広まると同時に、テロの気配どころか一般人も契約者も、外に出る事は滅多になくなってしまった。


大罪が療養中、上級系譜が重体と特に被害の大きい憤怒のナワバリは、人は怯え外に出られず――機能は停止していた。

――いうなれば、人死にが出ない代わりに、安寧など存在しない世界。


「――皮肉な物ね。魔王の存在が、逆に人死にをなくしてしまうだなんて」

「一時的なもんだよ。圧迫された状況は、いずれ暴動を起こす……という理屈も、通用しそうにないな、これじゃ」

「――四凶にブレイブシリーズが齎した被害が被害だから、あたしでもわかるよ」


テロリストは、乱世で家族や友人を失った者が大半。

その者達にしてみれば、正負友好など許される事ではない。


――しかしそれすらも、占拠した街で横暴を働く者が大勢いる為、形骸化してる印象が否めない。


「――兄さんが未来を信じて、正負友好を考えた事と、北郷って人の正義――同じだったのかな?」

「……わからない。ただ、あいつは――東城太助は、北郷の正義に未来を信じてたみたいだった……だからかもしれない。あいつは、ジレンマに陥ってるような感じだった」


思い描いた未来と、目の前の現実――

更に言えば、北郷正輝が行方不明となり、彼の正義は否定され――

結局は、誰もが世界が抱える問題を蔑ろにし、目先の欲望のままに暴れまわり――


ある意味、あの乱世よりも酷い有様となっていた。


「――どうしようか? ……あいつがああなったの、すっげえ理解出来る」

「……」




「東城太助。正義の研究系契約者で、ブレイブシリーズの開発者--それがあの“四凶”を造り出し、世界に宣戦布告か……世界を敵にする科学者って、まるで漫画だな」

「――それが世のテロリストたちの抑止力になると言うのだから、わからない物だね」

「ははっ、違いない――しかし、理解出来るテロリストってのも、珍しいっちゃ珍しい」

「それはまあ、そうだろうね。北郷さんの正義は、やることなす事子供の癇癪以下の身勝手がはびこる世には、必要とされていたんだ。死を実感させねば、躾も意味がない程酷い有様だったのだからね」

「――違いない。で……」


強欲のナワバリの、とあるホテルの屋上庭園。

そこで知識の契約者、天草昴と強欲の契約者、武田シバの両名が話し合う横で……


「……なんでお前は我関せずの姿勢でのんびりティータイムなんかしてんだ?」

「……戦々恐々の空気が包む中で、良くそんな事が出来るね?」


傲慢の契約者、大神白夜

彼は不敵にも紅茶を嗜み、気象学の本を読んでいた。


「対処できる問題だ」

「――ああそうかい。確かに四凶やブレイブシリーズに、オレ達を倒せるような力はないが、憤怒の所に現れたって言う指揮官ブレイブ」

「――まさか、宇宙君の大脳を使用した生体兵器だなんてね。使っているのは系譜らしいが、十分美徳クラスじゃないか」

「……対処は出来る。本人の脳を使用しているなら、それを量産できる訳でもない。元々、一条宇宙は美徳の1人、戦い方を知らん訳でもあるまい」


――そう言って、白夜はそっぽを向き本に意識を向ける。


「――じゃあ質問だ。お前一体ここから何をする気だ?」

「何を、とは?」

「真理を使って世界を壊して――それからやった事といえば、正負の停戦と友好の提案だ。それからという物、目立った動きもないのはどういう事だ?」

「――待っていただけだ」

「待っていた? ――成程な」

「――世界崩壊すら、君にとっては布石でしかなかった。そう言う事だね?」

「理解が早くて助かる」


3人はお茶のお代わりを注ぎ、ゆっくりと飲み干す。

飲んだ後ティーカップを置き――


「じゃ、それなりにやるか」

「そうだね――人が人である事の意味なんて、既に存在しない世界なんだ。今更どうこういう気にもならないよ」

「――ならば、ここらで終了だ」


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