第7話 改訂済
前回の白夜の所為か、えらく暴食の契約者に対しての意見少なかったな。
と、皆様のありがたい感想を見てふと思った事です。
いえ、白夜に反応してくれるのは、素直にうれしいですけどね。
「さて、ここまで来れば大丈夫かな?」
「? おい光一、ここって確かガム野郎の……」
「しっ! どこかで聞かれたらどうする気だ? 今の状態で他の大罪とやりあうなんて冗談じゃないぞ」
「……すまん」
「もうっ、ユウ兄ちゃんったら!」
場所は“傲慢”と“正義”、そして“暴食”がぶつかっている個所から離れた地点の上空。
と言っても、ビルより少し高めの高度。
「……あの、ガム野郎ってだれですか?」
「暴食の契約者、明治我夢のナワバリなんだよこの街」
「「「…………」」」
「心配しなくても、ナワバリ内で騒動でも起こさない限り何もしやしないよ。大罪同士が“本気で”ぶつかれば、こんな街簡単に更地なんだから」
……あれで本気じゃなかったの?
ある意味納得が言ったが、どうにも怖い歩美、京、さやかだった。
「まあ、そうよね」
兄が大罪の対である美徳の契約者だけに、そんなに驚いていない宇佐美。
「余裕あるな? 他の3人は未だにガクガクなのに」
「今思い出したけど、光一も知ってるでしょ? あたしも何度か、兄さんと一緒にこういう場に出た事あって、大罪の強さはよく知ってるのよ」
「なんだ、漸く思い出したのか? 俺も正直、あの時のおてんばとこうして再会するだなんて、思いもよらなかったけど」
「? あのー」
そんな余裕ある会話に、京が恐る恐る話に割り込んできた。
初めてあった筈なのに、偉く親しみがある様な内容だけに、周囲も耳を傾ける。
「みやちゃんちょっとききたいことがあるんですよー、久遠さーん?」
「俺17だから、別に呼び捨てでも構わないですよ。高嶺さん」
「おやおや~、こちらがおねえさんでしたかー?」
「「「「「…………」」」」」」
違和感がぬぐえない光一(身長170後半)と、その他面々だった。
「みやちゃんのことはー、みやちゃんでいいですよー。ではー、こういちくんってよばせてもらいますねー。ききたいことはー、ゆさみちゃんとおしりあいかってことですー」
「一応ね。知っての通り、ユウの憤怒と今宇佐美が持ってる勇気は対の立ち位置だ。その先代勇気の契約者で、宇佐美の兄の一条宇宙とは一時期同盟結んでたから。その時に、何度かあった事がある――まあそれは置いといて、クエイクの乗り心地はどうかな?」
「え? ……そうですね。私、ロボットに乗って空を飛ぶなんて、思いもよりませんでした」
「ですですー。ビルのまどからみるとは、ちがってみえるのですよー」
「ホント、ちょっとニュアンスは違うけど、ロボットに乗れるなんてちょっと感激」
「……距離的にもうちょっと余裕はあるか。クエイク、もう少しゆっくりとんでくれ」
『Yes.my master!』
3人の言葉を聞き、GPSを見ながら自分達を運ぶロボットに光一は指示を出す
さっきからこれしか言ってなくない?
と、それを見てほぼ全員が思っていた。
『It was made a fool』
「バカにされた? いや、別に誰も何も言ってない筈だけど?」
『――Sorry. My master』
「それにしても、こんなロボットどうやって造ったんです?」
「造ったのは俺じゃなくて、傘下の研究チームのプロトタイプだよ。でも俺達程度なら乗せても平気だって実証は出てるから、心配しなくて大丈夫」
「でしたら安心ですね。それにしても……」
ふと、歩美が周囲を見る。
見れば普通の街並みだが、レストランや定食屋、ビアガーデンなどがひしめき合っていて、あちこちで食事風景があったり、空の上にまでおいしそうな匂いが漂っていたり。
よく見れば研究機関の様なビルもあり、そこでも何やら良いにおいが漂っていた。
「ん? ああ、さっきも言ったけど、ここは暴食の契約者のナワバリだからね」
「だからって、なんでこんなに……」
「ナワバリの特徴ってどうしても出るんだよ。研究機関がひしめきあってたり、こうした食い物が立ち並ぶ街並みだったりでね。暴食が率いる組織は合成獣の研究に関しては最先端で、こういう美食都市を形成してるんだ」
「そう言えばあたしもここで食事したことあるけど、すっごく美味しかったなあ」
「そうなんですか、さやかさん?」
「うん。食べた事ない旨味と食感が今でも忘れられないってくらいなんだけど、あれって合成獣だったんだ」
「わあ、みやちゃんもたべてみたいのですよー」
そんな女の子らしいトークの傍らで……
「……表向きは確かにそうなんだけど、当然戦闘用のも作ってるんだよね。ここの合成獣は、さっきみたいな原始的なのとは全然違う。最近ドラゴン作ったって噂がある位で」
「ドラゴン!? どうやって……」
「わからないし事実かどうかわからないから。恐竜の化石で何かしてるって情報があったから、多分それだと思うってくらい……っと、そろそろこの街抜けるな」
GPSを見つつ、経路の確認をしクエイクに指示。
無機質な声が返答を返すと、ふと宇佐美は聞いてみる。
「貴方達のナワバリって、どんな所?」
「至って普通。ただ、警備ロボットがあちこちをうろついてるくらいかな?」
「光一の趣味が反映された研究ばっか続けてるからな。ウチの傘下の研究チームは」
「――それで、どこに着陸する?」
「そうだな……一応、ウチの工房の近くにするか」
「了解」




