プロローグ 改稿済
第三次世界大戦
多くの命を奪い、多くの建物を壊し――
兵器が空を飛び、陸をかけ、海を往き、多くの悲劇と傷跡を残すだろう戦い。
それは突如として、終結を迎えた。
――この先の時代の中心となる力。
その頂点の力を得た、14人の子供たちによって。
カーン! カーン!
金属と金属がぶつかり合う音が響く、町から離れた場所にある工房。
そこで、1人の老人に監視されながらハンマーを手に、鋳造を行う1人の少年。
鋳造が終わり、少年は老人に目を向けると……
「まだまだ及第点も与えられんの」
「うえっ……そりゃ確かに、高級料亭の料理人から注文が来るじいちゃんには」
「文句言うな、まだまだ尻の青いひよっこが」
「はぁ~っ……」
「だが成長の兆しは十分見えておる。裕樹よ、これからも精進するのじゃぞ」
「……へ~い」
少年、朝霧裕樹はため息をつき、頭に巻いていたタオルを外し工房の外へ。
「ん~……」
軽く伸びをしつつ、先ほど外したタオルで身体を拭き始める。
彼の家系は、代々続く刀鍛冶。
その技術を使い、包丁の発注を受け持ち、生計を立てている。
主な顧客は高級料亭や、旅館などの料理人であり、それなりに食える生活は遅れていた。
「うっすユウ、後継ぎは大変だねえ」
「よう光一。そうだな、まだまだ及第点ももらえてない」
「ご苦労さん」
そこへ友人の久遠光一が、飲料入りのペットボトルをひょいっと投げ、裕樹が受け取る。
くいっと飲むのをみた光一が、懐からチケットを取り出す。
「あっ、それって……」
「そっ、裕香ちゃんが欲しがってたライブのチケット」
「手に入ったのか? すまないな、手間かけて」
「ほかならぬボスの頼みだ、良いってことよ」
「やらんからな?」
「じゃあな」
「待て待て待て待て、すまん冗談だ」
「裕香ちゃんはまだ8歳だろうに。冗談でもやめろ」
軽い談笑をして、ふと光一が周囲を見回し……表情を引き締め。
「……あの事だけど、やっぱり気付かれたらしい」
「! ……確かか光一?」
「ああっ……おそらく、他の“大罪”や“美徳”でも同様のはずだ。どうする?」
「決まってんだろ」
「……わかった。さて……留守番誰に任せよう?」
「……すまんな」
――所変わって
「あゆみちゃーん、つぎのひどりきまりましたよー」
「本当ですか?」
「あははー。私達もすごくなってきたねー」
「さやかさんもみやちゃんも、頑張りましたから」
「歩美ちゃんも、だよ。それじゃ、早速リハーサルに……あれ?」
「……兄さん」
「あっ、いたいた。あの、宇佐美さん」
「ん? どうしたの、歩美ちゃん?」
「ライブの日取りが決まりましたから、その報告です」
「そう……ありがとう」
頭を下げて、ふと少女――一条宇佐美は、ペンダントをそっとしまう.
「……それじゃ、がんばらないとね」




