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病院に入院しない人々  作者: VANRI


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9/9

いつもと同じ?

 患者さんの家族から緊急電話に連絡が来た。

「いつもと様子が違う」とのこと。


 とりあえず見に行って判断しよう。


 行くと、そばに娘さんが付き添っており、90代女性の患者さんは穏やかな顔で落ち着いて座っている。


「昨日の夜おかしくて、夜中に子供が見えるとか、窓を杖で叩き出したりしたの」


 なんだ?認知症か?

たまに物忘れや言い間違いはあったが、認知症とは思ったことはなかった。

 頭?脳??


 ご本人に話を聞く。

「こんにちは。私のことわかりますか?」

「わかるよ、いつも来てるもんね」


 それから血圧や脈、酸素を測るがいつもどおり。

「体温計壊れてるみたいで測れないのよ」と娘さん。


 手を握ってもらったり、立ってもらったり。

麻痺はなさそうだな。言葉もいつもどおり出てるような……特におかしなことは言ってない。


 ふと気づいたことがあった。


「昨日の夜は一緒に寝ましたか?」

「いいえ、私は別の部屋で寝てるから」


 患者さんの皮膚に触れる。


「救急車を呼んでください!!」

「え!?」


 突然のことに娘さんは慌てるが、状態がいつもと違うと言って呼んでもらう。


 これはもしかして……


 数分後に救急隊が到着、三人の救急隊が入って来た。


 くそ、コイツか。

長身細身の眼鏡の男性、私はこの人が嫌いである。

名前を覚える気がないので私の中で『メガネ』と名称をつけた。


 見下した態度は当然のこと。

通常は救急隊員が書く患者情報の紙を書かされたり、救急隊の荷物を持たされたりする。そのせいで白衣が黒く汚れてその汚れも取れなかったことがある。


 また当然のように紙が挟まれたバインダーを渡してくる。マジでむかつく。


 そして患者さんのところへ行き、私がしたことと同じ事をしている。麻痺はないか、血圧低下ないか。


「認知症じゃないですか?」

メガネにボソッとつぶやかれる。


 認知症発症くらいで呼ぶかよバカ!!

もちろん、声には出さない。


 無視していたので、

「看護師さんの早とちりじゃないですか?」

 思いっきり溜め息混じりに言われる。


「あれ?」

若い隊員が何かに気づく。


「体温が測れません!」


 おせーよ気づくの。

 救急隊は通常5本くらい体温計を持っている。それを知ってたから呼んだんじゃねーか。


 全部使うが測れず、最後の1本で測定できる。


「33度です!!」


 患者さんは緊急入院、集中治療室で治療することとなった。


 娘さんが不思議そうに聞いてきた。

「なんでわかったんですか?いつもと同じみたいだったのに」


「一緒に寝てないと言われたでしょ?あの部屋だけ少し寒かったんです。しかもほんの少し。もしかしたら夜はもっと寒かったのかもしれない。

 皮膚がいつもより冷たかったのもあるし。それと。」


「それと?」


「体温計が壊れているという発言が一番ですね。

実際私の物でも測れなかった。

2ついっぺんに壊れることはまずないでしょうから」




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