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病院に入院しない人々  作者: VANRI


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第六話 視える人とわかる人

「あなた憑いてるわ。」


 その一言から始まった。


「ツイてる……?」


 50代女性、いつも綺麗な格好をされており、少し高い声で話される上品な方だった。

 まともな人だと思ってた。その時までは。


「運がいいとかのツイてるではなくて、ですか……?」


 まあ違うだろうとは思ったが一応聞いてみた。


 上品に笑いながら返される。


「違うに決まってるじゃないの。

 憑いてるのよ、あなたの後ろに。」


 こういうのは本当にいい加減にしてほしい。

 百歩譲って憑いてるとしよう、だがこの人はお祓いも出来なければ、霊が寄って来なくなる類の水すら持ってない。

 むしろ水を売りつけてこい。

 そうなれば、なぜ「憑いてる」と言ってきたか合点が行く。


 ただの嫌がらせ以外に何があるのか。


 こういうのはあれに似ている。

「あの人があなたのこと嫌いらしいよ」

この報告だ。


 だから何だ。どうしろと言うのだ。私に嫌な思いをさせただけではないか。

 ここで、「私も嫌いなんです」なんて言った日には相手に伝わる事が容易に想像できる。


 さて本題に戻ろう。


 これを外で知らない人に言われれば、「ああそうですか」と無視してその場を離れる事が出来る。

 だが一応患者なのである。利用してくださるお客様とも言える。


 さすがに無視は出来ない。


「何が憑いているか視えるんですか?」


 いかにも興味がありそうに尋ねてみた。


「年老いた女性が憑いてる。」


 ばあちゃんか!?と思った。


 祖母は三年前に亡くなった。幼い頃から両親の仕事の都合でよく祖母の家に預けられていた私はおばあちゃんっ子であった。


 祖母に一度だけ、

「花音はおばあちゃんと一番仲良しだもんね」

と、言われたことがあった。


 一度だけである。生涯一度だけ。

 言われた当初はすごく嬉しかったことを覚えている。


 しかし、これは後に呪いに変わる。


 そう言われた後、祖母のことを好きでいないといけないと思うようになり、祖父と祖母が喧嘩しても、母が祖母の愚痴を言っても、祖母が正しいと思うようになってしまっていた。


 子供は単純であり、大人の一言を宝物のように心にしまいこむことがある。そして、それを取り出す術を知らない。

 これは良いことも悪いこともである。


 現に私も何十年経った今でも忘れられていない。


 まあ、ばあちゃんが憑いてるならいっか……


 だが!!

 憑いてなどいない!!

 私にはわかる!!

 そのくらいのこと私だってわかる!!


 もちろん反論はしなかった。

 この人が満足すればそれでいいのだ。


 その後、その人が他のスタッフにも同じことを言っていることがわかり、信憑性がなくなったのは言うまでもない。



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