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昇級

「エルさん、こちらへどうぞ!会長がお待ちです!」

「…はーい」

 拒否権なしかいっ。

奥の部屋へ進む。そこには麗しのエルフ様がー…。え、なんでエルフ?滅多に見れない種族なのに…。

「驚くのも無理はありません、エルフは珍しいですからね」

くす、と笑うエルフ様。ちなみに女性。

 おかけになって、と言われたので椅子に座る。

「さぁ、こうやってお呼び出ししたのは先ほどの依頼についてです。」

お分かりですね?と言うふうに見られたので首肯する。

「貴女はAランクの依頼を見事1人で完遂して見せた。その実力を見て、Fランクでは足りないと考えたわけです」

なるほど?つまり僕の冒険者ランクを上げようってことか。

「しかし、ただで上げるわけにもいかないのがこちらの事情です。前例ができてしまえば、次が断りづらくなりますからね。不平不満も出てきます。だから、こうすることにしましょう」

一呼吸おいて、会長は僕の目を見る。

「エルさんにはAランクの冒険者と試合をしていただきます。そこでAランクに匹敵することをみなに証明してください。そうすれば文句も出てこないでしょう?」

まぁ、確かに。正直言って僕がそんじょそこらの冒険者に負けることはない。コテンパンにしちゃうかも。それを見越しているのかはわからないけど、試合で実力を見せるって言うのは賛成だ。

「わかりました」

にこ、と笑って会長が、

「ありがとうございます、日程はまた後ほどお伝えしますね、明日もこちらにいらっしゃいますでしょ?」

「それはもちろん」

依頼を受けにね。

「ではその時にお伝えします。時間をとらせてしまってごめんなさいね」

「いえ、こちらこそなんか面倒なことしちゃって…」

お互いで頭を下げていたらなんだか少しおかしくなっちゃって、2人して笑っちゃった。


「ジルただいまー」

帰るとジルが尻尾を振ってまとわりついてくる。ベッドに座って相手をしていると突然体重をかけてきた。

「うぉっ」

支え切れなくて倒れ込む。

ボフッ!

「うぇ?」

「エルーっ!」

なんか音がしたと思えば、さっきまでジルがいたところにケモ耳の男の子が。う…オモイ…。

10歳前後っぽい男の子…。状況的に…、

「ジルなの?」

「うんっ」


 お腹の上から退いてもらって、ジルと話をした。

自分はフェンリルであること、傷を治してくれたお礼、その他諸々。私としても狼の姿のまま連れていくと目をつけられそうだと感じてはいたので、獣人に変身できるのは嬉しい誤算だ。

「今日は何をしてきたの?」

そう言うジルに事情を説明。

「ふーん。僕も一緒に行っていい?」

「いいよ」

「やったぁ」


次の日。ジルと2人で冒険者協会に向かった。

「あ、エルさん、こんにちは!」

受付のお姉さんことイオナさんが出迎えてくれる。

「日時決まりましたよー!お教えしますね!」

決まった日時は明後日、正午に中央競技場で、と言うことだそうだ。早く家買いたいからね、試合日が近いに越したことはない。

試合日を聞いた後、依頼を受けた。今度はちゃんとランク見たよ?薬草採取。これぐらいしかなかった。Fランクだもの、そうだよね…むしろ気づかなかったのがおかしいよね…。


 ジルの鼻と僕の探査の魔法を使ってさっさと集めて依頼完了。お金も貰った。あとは帰って寝るっ!


試合当日。

 僕は正午になる30分ほど前に競技場に着いた。だって競技場がどこにあるか分かんなかったんだもん。

 競技場にはすでに人がいっぱいいる。見物客だね。

「エルさーん、こっちこっち!」

イオナさんがこちらへ手招きしている。

とててて、とそちらへ行くと

「控え室はあちらです。相手の方もお待ちですよ!」

だそうな。

そう言われて向かった控え室には1人の男性が。

「君が今日俺と試合をするエルか?俺はアルフレド。よろしく」

そう言って手を差し出されたので、僕も

「エルだよ。アルフレドさん、よろしく」

手を差し出して握り返した。


『両者、位置についてください』

アナウンスがかかり、僕たちはそれぞれ向かい合う。

「悪いが本気でいかせてもらう。俺も無様に負けたくはないんでね」

「…買い被りすぎだよ」

『試合、はじめ!』


「《アイシクルランス》」×30。

「バカな、詠唱なしだと!!?」

アルフレドさんは剣士。攻撃魔法は使えない。身体強化は使えるみたいだけど。現に何本かは切り砕いてあとは避けてる。

「まだまだあるよ?」

どんどん氷の槍を作り出して発射する。

「くっ!だが近づけば撃てなくなるだろう!?」

そう言ったアルフレドさんが一瞬消えた。

「ッ!?」

瞬間、目の前に剣尖が。

少しバランスを崩すしたところにすかさず切り込んでくる。

「うぉッ!!!?」

と思ったらツルッと滑って今度はアルフレドさんがバランスを崩す。足元に氷の膜を張って滑らせたのだ。

その間に体勢を立て直して離れる。

…なんかしぶといなぁ。流石Aランク??

「《空刃》」

見えない刃がアルフレドさんを襲う。

避けて、切って、避ける。

なかなか倒れてくれない。

 あんまり手札見せたくないんだけど、仕方ないかぁ。あっちもAランクだし。

「《霊獣召喚:ライオス》」

雷を纏ったライオンが出現する。そして咆哮。雷が落ちた。

ドォン、ドォン、ドォン!!!

アルフレドさんは避けるのに手一杯でこちらに気を配れない。範囲広いし、触ったら感電するからね。

「《水刃》」

水の刃がアルフレドさんに向かう。でも流石Aランク冒険者。反応して見せた。アルフレドさんの剣が水刃に触れる。

「がッ!!!!」

倒れた。動かない。審判が数えるけど起きない。

『し、勝者、エル!!』

 観客も何があったかわからない様子。だけどなんかすごいみたいな感じで盛り上がってる。

 種明かしをしよーう!水って電気通すよね。これがヒント。…わかる?水刃とライオスの雷が触れてたの。その時点で通電してて、剣が水刃に触れたことでアルフレドさんの方にも電気がいったわけですな。まぁ一瞬だったから気絶くらいで済んだ感じだね。


 Aランクの冒険者に勝利したことで、僕は同じくAランクまで昇級した。

 家が買える!やっふぅ!!!

でもね?ちょっと問題もあって…。

「エル!!ここにいたのか!」

なんかねー、アルフレドさんがやたらと絡んでくるようになったんだよね。

『うちのパーティに入らないか?君なら仲間たちともよくやれると思うんだ』

あの試合の後、目覚めたアルフレドさんにそう言われた。すぐ断ったけど。でもアルフレドさん諦め悪くてねー、その後もこうして話しかけてくるわけですよ。

「用がなければの話なんだが…お茶しにいかないか?いい菓子屋を知ってるんだ」

「うーん、行きたいんだけど、今日は用事があるんだー。ごめんね?」

「そ、そうか…。いや、いいんだ、また誘う!」

「うん、ありがとう」

でもお茶しよう、とか、花をくれたりとか、そんな感じなんだよな。一回お茶しに行ったけど、パーティ勧誘の話はあんまり出なかったし。花はそこらへんで貰った、みたいな。よくわからん。


 そうそう、今日は家を買いに来たんだった。僕の希望に沿う家はあるかなー?


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