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着いた!家買おう!…え、買えないの!?

 おじさんたちの馬車に乗って一日とちょっと。特に問題もなく、平和に進んでいた。

 その間であったことといえば、狼くんが目覚めたことかな。最初は少し警戒してたみたいだったけど、傷が治ってるのに気づいて警戒を解いてた。治してもらったことがわかっているらしく、僕にすごく懐いて尻尾をぶんぶん振っていた。傷ももう塞がっていたし、病気にもならなさそうだったから野生に戻そうとしたけど、馬車に爪を立てて必死に抵抗していたので一緒に連れていくことにした。

 そうそう、通った道のそばに湖があったから、みんなで水浴びしたんだけど、その時狼くんの体もついでに洗ったんだよね。血やら土埃やらついてたから。そしたらもう純白としか言いようがないきれーな毛並み。ラフィネでは白い狼は神の使いだなんて言われてるらしいから、それだけ希少なんだろうね。商人のお姉さんが教えてくれた。

 狼くんにはジルという名前をつけた。尻尾をぶんぶん振ってたので、喜んでくれたのだと思う。


「もうすぐ王都に着くぞ!」

お、そうこうしてる間に到着したみたい。

 馬車から身を乗り出して、王都を見る。ここからでもわかるでっかいお城と城下町。それを取り囲むような高い壁。魔物や賊が侵入してこないようにするためだと聞いたことがある。


門のところに並んでー…るんだけどなんか‥列が違う?おや?おやおや?

 他の人は並んでるのに私たちの馬車はそれを素通りして別の関所へ。

リーダーのおじさんが何やら袋を渡して…。通っていいみたい。

 ???と思っていると、

「うちはリーンズ商会の馬車だからね、ちょっと優遇されるのさ」

「へぇ…」

リーンズ商会って言ったら、ルルネの大商会じゃない?なんでラフィネでも優遇されるのか…。

「うちはルルネから離脱したのさ。あそこはもうダメだ。今度はラフィネで上手くやるさ」

…ルルネでは最近不作続きな上に、税が高くなりそうということだ。病で臥せっている国王陛下に代わり、王太子が政を行っているからだ。まぁその病もそんな重いものじゃないし、徐々に治ると思うんだけど。王太子は民草の苦労をわかっていない。このままではあの国は衰退していくばかりだろう。

 …考えるのやめた。もう関係ない国のことだもん。

 馬車の列は関所を通って街に入る。街は栄えている様子で、どこを見ても笑顔がある。

 馬車は大きな建物の前で止まった。ここが新しい商会の店舗らしい。

 馬車を降りておじさんこと会長に挨拶に行く。

「乗せて下さってありがとうございます。お世話になりました」

「いやいや、お嬢ちゃんのおかげで安全に王都までつけた!あそこは魔物も賊も多くてね、ずっと障壁を作ってくれていなかったら馬車の一台や二台お陀仏だったろうさ」

「…!」

このおじさん、私が障壁を作ってたの気づいてたのか。侮れぬ…。

「用があったらいつでもおいで。おじさんたちが力になるよ」

頭をポンポンとされてそう言われる。

……あったかいなぁ…。

「はい!」


おじさんたちと別れてから、宿をとってジルをお留守番させて。僕は冒険者教会に向かっていた。どこか知らないから聞き回りながら。

 薬屋をするためには店舗がいるからなぁ。お家が欲しい…。

「市民権をお持ちでない方に住宅の販売はできないんです…」

なんと。え?じゃあリーンズ商会は?おじさんたち市民権持ってないよね?

「リーンズ商会は皇帝陛下から特別に許可を出されています。…例外もあるんですよ」

えぇ…。じゃあどうすれば…。

僕が少し落ち込んだのがわかったのか、受付のお姉さんが慌てて言った。

「市民権を獲得する手段は他にもあります!冒険者ランクをあげればいいんです!」

…ほほぅ?

きゅぴーん、と僕の目が光る。

「冒険者ランクがA以上の冒険者は市民権を獲得できるんです!ランクがAのギルドやパーティに所属している場合は市民権は獲得できないんですけどね」

ふんふん。なるほど?ということは…

「ランクを上げればいいんだ?」

「まぁ、そうですけど…そんな簡単にはいかない…ってあぁ!どこいくんですかー?!」

「善は急げ!依頼受けてきます!」


「薬草採取、落とし物探し、魔物討伐、魔物討伐…。魔物討伐が報酬いいな…これにしよう」

ピッ、と依頼の紙をとって、指定の場所へ行く。

「おーいるいる」

トカゲみたいな魔物がいっぱい。確かあれは尻尾が討伐の印になるんだよね。

「《アイシクルランス》」

魔物の数だけ氷の槍を出して、貫く。ざっと50かな。

「討伐完了っ、と」

流石に死骸には触りたくないので、浮かせてから《空刃》で尻尾だけ切り取る。尻尾を《空間収納》に入れ込んで、冒険者教会に向かった。


「………これ、お一人で…?」

恐る恐るという感じで受付のお姉さんが言う。

「…?はい」

カウンターに並ぶトカゲの魔物の尻尾の山。何か不味かっただろうか。

「ありえません…。エルさん、この依頼用紙、よーく見てください?推奨ランクいくつですか?」

「?…えーと、」

………Aだね?

「Aなんですよ!!!Aランクのパーティがやっと完遂できるくらいの難易度の依頼なんです!それを、それを…」

お一人で…。と言って項垂れてしまうお姉さん。

……えっと、なんだか…ごめんね??

少しおろおろしていると、

「はっ!!!会長に報告しなくては!!エルさん、少々お待ちくださいっ!!!」

ぴゅっ!!と奥の方へ行ってしまった。

え、置き去り?


「…どうしとけばいいのー…?」


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