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呪い

「あら、またいらっしゃったの。悪いけど今リヒト様は私と話しているの、出直していらして?」

ルクスの腕にまとわりつき、僕に勝ち誇ったような顔をするシンシア王女。

 …いや話って、あなたが一方的に話してるだけじゃん?それに僕、通り過ぎようとしただけなんだけど。

 スルーして通り過ぎようとすると。

「そうだエル、この前の件で話があるんだ。このあと時間あるかい?」

…目が了承しろと言っている…。なんだこの前の件って。

「ウン」

「そう、よかった」

ふわ、と微笑むとシンシア王女に向き合って、

「失礼、今からエルと話があるので、外しても?」

と聞いた。断れないことを分かってるね。案の定シンシア王女は不機嫌そうな顔をしたが、

「わかりましたわ…」

と言って離れてくれた。でもすごい睨んでくる。目線で人を殺せそうだ。

(大人しくなると思ったんだけどな?全然大人しくないや)

ぱたん。扉が閉まると。

「ハァ、疲れた」

椅子にどさっと座ってため息をつくルクス。

「お疲れ。話って?」

「あぁそう話…毒の件だけど。何か証拠になるものってあるかな。他国で貴人を毒殺しようとしたってことは友好の意思がないとも言えるからね」

なるほど。

「あるよ」

《空間収納》からカップを取り出す。

「これは?」

「僕が飲んだお茶が入ってたカップ。毒の成分調べようと思ってダミー置いてきた」

「さすが。ありがとう、こちらで調べさせてもらうよ」

「よろしくー」



 次の日。僕はまたお茶会に呼ばれていた。

今回は毒物もなく、当たり障りのない話を続けている。

「あなたはどうしてあんなにもリヒト様と仲がよろしいの?」

カップの縁をくるくる触りながらシンシア王女が言う。

どうしても言われてもね。

「僕がルクスと会ったのは城ではなく街でしたので。最初は身分を明かされていなかったんです」

「ふぅん…」

聞いた割には興味なさそう。

「…ねぇあなた。自分の思い通りに物事がいかない時って、どうする?」

「努力します。それでも無理だったら諦めて違う道を探します」

「そう…つくづく意見が合わないわね。……私は諦めない。持てる限りの力を使って叶える。…それがどんな手段であっても」

静かに、そう言うシンシア王女。

…なんか、嫌な感じがする。例えるなら…嵐の前の静けさ。

「…っ?」

 なんだか気分が良くない。熱っぽい。息が上がる。苦しい。

椅子から崩れ落ちる。

「そろそろ効いてきたみたいね」

「…なに…を」

「呪いよ。あなたも知っているでしょう。それはこの国の皇帝がかけられた呪いと同じものよ」

「…陛下の呪いも…あなたが…」

「そうよ!もっと喜びなさいな!この私のために死ねるのだから」

「こんなこと…すぐ明るみになる」

「ならないわ?あなたはお茶会が終わったあと行方不明になる。死体はすぐ処理するから残らない。完璧でしょう?」

くすくすと笑うシンシア王女の顔は、最初見た時の可愛らしさなど全くない、邪気のこもった顔だった。

「私の敵はみぃんな、呪いでいなくなりましたわ!あなたももうすぐいなくなる。これで私とリヒト様の仲を邪魔するものはいなくなる!あはは!なんて素晴らしい術なんでしょう!」

おかしくてたまらないと言うふうに笑うシンシア王女。


「それは本当かな?」

ガチャリ。扉が開いた。

「リ、リヒト様?!」

驚いた顔をするシンシア王女。

「…話は聞かせてもらったよ。いやはや、君の口が軽くて助かった。おかげで一気に事が進みそうだ」

にこにこと言う。

「エル、もう起きていいよ」

「はいよ」

すくっ、と立ち上がる。

「なっ!?!?」

事態を飲み込めていないシンシア王女。なぜルクスがここにいるのか。それは僕が昨日ルクスにお茶会に呼ばれていることを教えたから。毒殺しようとして失敗してもあの態度。次は何をしてくるかわからなかったので、念のために別部屋に待機してもらっていたのだ。ちなみに部屋の中の音声は魔道具越しに丸聞こえ。

「どうして?どうして元気そうなの?!?!」

僕に一回解析したことのある術が効くわけないじゃん?

「君は知らなかっただろうけど。陛下の呪いを解いたのはエルだ。解呪の方法は分かってたんだよ」

「な?!?!」

シンシア王女、驚愕の表情。

「ちなみに今までの会話は魔道具に録音されている。君の行動は友好国になろうとしている両国の意に背くものだ。強く抗議させていただくよ」

それを聞いたシンシア王女はへた、とその場に座り込んだ。

 さぁ。シンシア王女。優越感から絶望に突き落とされる感触はどう?


 それからすぐ、シンシア王女はシャンリエに送り返された。もちろんタダでは帰してないよ?厳重な処罰を望む抗議の書を持たせてる。これを読んだシャンリエの王様がどんな反応をするのか…。


「体は大丈夫?」

「大丈夫だよ」

もう何度目か分からない「大丈夫」を言う。シンシア王女に呪いをかけられてから、解けていると分かっているのに大丈夫か、何処か調子は悪くないかと何かにつけて聞いてくるので少し鬱陶しい。心配してくれてるのは嬉しいんだけど。

 ジルやハルにはこのことは話してない。言っても心配させるだけだから。それに言ったら今のルクスみたいに、わちゃわちゃ言われることに違いない。…メンドクサイ。やっぱ言わないほうがいいね。


昨日はお休みしてしまいました。中には活動報告読んでくださって知っている方もいるかと思いますが、私風邪をひきました。鼻水ずびずびです。息がクルシイ。

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