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再会

ルルネの王太子、アレンの執務室にて。

ガシャン!!!

カップが落ちて割れる。と同時に怒鳴り声。

「こんなこともできないのか!!!」

「そんなに怒らないでよ!!私だって一生懸命やってるのに!!!」

「エルがいた時はこんなことで躓かなかった!!君の力不足だろう!!!」

「あんな女と比べないで!!!」

バタン!!

荒々しく扉が閉まる。

「ハァ………」

王太子、アレンは深いため息をついた。

(最近魔物の発生率が高い…結界も薄くなり割れかけている今、早急に貼り直さねばならないと言うのに……リリィは公務から逃げるばかりで手伝おうともしないなんて)

最近のリリィの行動は目に余るものがある。気に入らない側仕えを急に解雇したり、見目麗しいものを引き抜いて護衛にしたり、ドレスや宝石を過剰に願ったり、他にもたくさん。色んなところから苦情が来るようになった。それと最も問題なのが、リリィに魔力がほとんどなかったこと。魔力というのは幼少期に最も伸びると言われている。リリィはその伸びる期間を過ぎているにも関わらず、魔力が平均よりも低かったことが判明したのだ。リリィが魔力測定を何かにつけて嫌がっていた理由はこれだったのだろう。

(リリィにはしっかりしてもらわねば。この国の聖女なのだから)

エルがこの場にいればお前も人のことは言えないと思うことだろう。現に王太子が勝手をする聖女の歯止め役にならないことで、国庫は少しずつ圧迫され、民の負担も増している。結界の維持やポーションの作成をエルが行っていたと知っている一部の者たちは不満を募らせている。なぜ追放したのかと。

 ルルネの終わりは確実に近づいていた。


リリィ視点。

「あんな女にこの私が負けるなんて許せない!!!」

クッションを壁に投げつけて怒りを紛らわすリリィ。

(どうせ結界なんて他のやつから搾り取った魔力を貯めた魔石で補ってるものだと思っていたのに!!)

実際は違った。全てエル1人の魔力で補われていたのだ。国をまるまる覆う結界なのだから、エルの凄さが垣間見えるというものだ。

「このままじゃみんなが支持してくれなくなっちゃう…」

何か、何か策はないか。

「浄化の力は何故かなくなっちゃったし…っ、どうすれば……」

 リリィは途方に暮れるのだった。



スタスタスタ。

「あ、あった。……あここにも。そこにもあるね」

僕たちは今王都から出てしばらく歩いたところにある森へ来ていた。時々魔物が来るのをルクスに倒してもらっているので僕らは薬草を採るだけ。いつもと比べたら随分と楽だ。

「君たちさぁ、仮にも皇太子に護衛をさせて、恐れ多いとか思わないの?」

「ルクスが来たいって言ったんでしょ。ちゃんと働いて」

「はたらいてー」

「ひど…」

そんな会話をしつつ、森を進んでいると。

なにやら音が…。

「…戦闘音だね。誰か戦ってる」


 音がする方へ近寄っていくと、そこには剣に着いた血を払い、鞘に収める青年の姿と、たくさんの魔物の死骸があった。フードをかぶっていて顔はよく見えない。

「そこにいるのは誰だ」

「ッ!」

気配を消していたのか、ルクスが息を呑む。気づかれてないと思ってたのか。僕は周囲に漂う魔力の残滓から、彼は魔法剣士だとわかっていたので、気づかれたことを不思議には思わなかった。

「出てこないなら敵とみなすが、」

「あー待って待って、僕たちは敵じゃないよ」

ルクスが隠れるのをやめて前に進み出る。僕も別に隠れる理由はないので前に出た。そこで木で隠れていた僕の全貌が魔法剣士の彼に見えたわけだが。

「ッ!!!!!」

青年は弾けるように僕を見つめ、こちらへ向かってくる。あまりのスピードに後ろずさった。ルクスも危険を感じたのか、僕を背に庇った。一瞬、青年の姿が消える。瞬間、ルクスの後ろ、目の前に青年が現れた。

 瞬間移動…。

ぎゅう…っ

「ッ…!」

抱きしめられた。力が強くて振り解けない。暴れかけたその時。青年が呟いた。

「…ししょう…会えて良かった…」

…師匠?…僕の弟子は1人だけ。…そう言えばその弟子も魔法剣士だった…。

「…ハル?」

「!!!はい!ハルノルトです…!」

さらに強く抱きしめられ、苦しくなる。青年の正体は、エルの唯一の弟子であるハルノルトだった。

「潰れる!離して!」

「す、すみません!」

会えて嬉しくて…と言ってしゅん、となるハルノルト。

「ちょっと、説明してくれる?こいつ誰なの」

何故か少し不機嫌そうなルクスが私たちを引き剥がしてそう言う。

「お前こそ誰だ。さっきからししょ、エル様にくっついて」

引き剥がされて不満気なハルノルト。

「僕はリヒト・ルクス・ラフィネ。この国の皇太子だ」

その言葉にルクスに胡乱気な目を向けるハルノルト。

「仮にお前が皇太子だとして。なんでこんなところにいる、護衛もつけずに」

信じてなさそう……。

「ハル、この人はラフィネの皇太子で間違いないよ。僕が嘘ついたことなんてないでしょ」

「………。わかりました。信じます」

渋々と言った感じで信じてくれた。








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