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大団円に向かって(1)

すみません!

ep.39執事の謁見(グレン視点)のところに間違ってep38の内容を重複して投稿していたようです。

こちら修正いたしました!

このようなミスは絶対にしないように以後気をつけます!!

「グレンは謁見の間にいるみたいね」


「そんなことがわかるのか? 追跡術式も使ってないようだが」


「瞑想すれば、近くに魔力を持った人がいるかどうかわかります。知り合いなら、それが誰なのか判別くらいなら……」


 王都に入った私は、王宮付近で身を隠しながらまずはグレンの行方を負った。

 彼は謁見の間にいる。無事に国王陛下と会うことができたみたいだ。


 しかし、それよりも気になるのは……。


「ブルーノ殿下も謁見の間に向かっています」

「ブルーノ? あいつはおそらくエルムハルトの手先だぞ」

「……嫌な予感がするな。エルムハルトはかなりの人数の騎士を手懐けていた。もしかしたら、混乱に乗じて謀反を起こすかもしれん」


 バルバトス様は渋い顔をして、最悪のシナリオを口にする。


 ブルーノ殿下がそんな馬鹿なことを実行するとは思えないが、エルムハルト殿下は人心を掌握して意のままに操っていた。


 彼の嫌な予感が当たる可能性は十分にあるかもしれない。

 

 陛下やグレンの身に危険が迫っているとしたら、由々しき事態だわ。


「謁見の間に行くっすか? ローザお嬢様」

「そうね。でも、簡単に王宮に入ることはできない。やっぱり、手段はこれしか……」

「王宮の地下を掘り起こすのか。はぁ……だが、迷っている暇はないな」


 イカロス様はため息をついたが、私の目を見てうなずいた。

 謁見の間に穴を開けるなど、本来ならそれだけで大きな罪になるだろう。

 でも、それでも、グレンたちに危険が迫っているなら無視するわけにはいかない。


「行くんすね、ローザお嬢様」

「ええ、手段を選んでいる時間はないもの」


 再び私は地面の穴を掘り、王宮の地下へと進む。

 グレンの魔力の位置を把握しているし、謁見の間には一度行ったことがある。

 大丈夫。正確にたどり着くことができるはず。


 謁見の間の真下にたどり着いたのは、それから数分後のことだった。


 ◆


「「「うわぁぁぁぁっ!!!」」」


 危ないところだったみたい。

 穴から飛び出すと、騎士たちが国王陛下に襲いかかっていて、グレンがそれを守ろうと孤軍奮闘していた。


 嫌な予感は的中。

 ブルーノ殿下はクーデターを起こしていたようだ。


「グレン、大丈夫?」

「ろ、ローザお嬢様!?」


 いきなり地下から私が現れるなどグレンも想像していなかったらしく、珍しく面食らった顔をしていた。

 たまには冷静沈着な彼を驚かせてやりたいという気持ちはあったけど、今はそれどころではない。


「ローザ・クロスティがなぜここに……。くっ、怯むな! たかだが四人増えただけだ! まだこちらの人数が多い!」


 ブルーノ殿下は呆気に取られたような顔をしていたが、すぐに冷静さを取り戻し、指揮をする。

 鼻のあたりが腫れているが、誰かに殴られでもしたのだろうか。


「加勢するわよ。あなたは陛下を引き続き守りなさい」

「俺にはお嬢様を守る役目もありますが」

「……私の心配なんて百年早い。でも、ありがとう」

「はは、さすがはお嬢様です。あなたには敵わないませんね」


 私たちは剣を構えて、襲い来る騎士たちを薙ぎ払う。

 さすがはデルタオニア王国の精鋭。

 一人ひとりが屈強で、動きも洗練されている。


 毎日鍛錬していなかったら、簡単に数で圧倒されてしまっていただろう。


「アルトメインの騎士として、ここで情けない姿を見せるわけにはいかない」

「我が明晰な頭脳が、貴様らのように脳みそが筋肉でできているような連中に負けてなるものか。バルバトス殿……詠唱の時間を稼げ!」

「脳みそ筋肉の力を借りているじゃないか」


 バルバトス様に守られつつ、イカロス様は魔術の詠唱を開始する。

 なんだかんだ言って、二人は息が合っているみたい。


「グレン先輩に代わって、ローザお嬢様をお守りするっす」


 レズリーもその俊敏さを活かして、次々と騎士たちを蹂躙していた。

 

「な、なんなんだ! お前らは! この俺が何をしたというんだ! 神童と謳われた俺が! こんな理不尽を受けていいわけがあるもんか!」


 ブルーノ殿下はこの状況に業を煮やしたのか、剣を片手にこちらに向かって突っ込んできた。


「執事! ローザ! お前らのような人間がいるから! 俺は! 俺は! 知りたくもなかったドス黒い感情を……うおおおおおっ!!」


「お嬢様には指一本触れさせない」

「グレン、あなた……」


 国王陛下をお守りするように指示を出したはずなのに、気付けば彼は私の前に出てブルーノ殿下に立ち向かう。

 まったく、私の命令を無視するなんて――。


「愚かな弟よ。君には本当にがっかりした。せめて、邪魔者を一掃しておくれ」

「っ!?」


 その声が聞こえた瞬間、ブルーノ殿下の身体が大爆発を起こした。

 咄嗟にグレンは私と国王陛下を突き飛ばして、盾になる。


「グレン!」

「お、お嬢様……」


 気が付けば、目の前には血まみれになったグレンが両手を広げて立っていた。

 謁見の間は所々が焼け焦げていて、爆発のすさまじさを物語っている。


 い、今、何が起こったの?

 

 ブルーノ殿下は跡形もなく消え去っている。

 まさか、彼は――。


「万が一のときのために、弟には彼自身の魔力を燃料に爆発する仕掛けを施していたけど……思ったよりも火力が弱かったな。父上も兄上も無事じゃないか」


 謁見の間に入ってきたのはエルムハルト殿下。

 信じられない。

 殿下の口ぶりは、まるで弟の命を道具のように……。

 いや、それ以前に人間を爆弾として利用するなんて、人としてどうかしている。


「エルムハルト! 貴様! ブルーノを!」

「いいじゃないですか。あれはもう要らない。そう考えていたから、そこの彼を次期国王にしようと影でコソコソ動いていたんでしょう?」


 エルムハルト殿下に陛下は激高する。

 当たり前だ。

 謀反を起こしたとはいえ、目の前で息子をあんなに惨い目に……。


 殿下はそんな陛下の怒鳴り声にもまったく怯むことなく、グレンの方に視線を向ける。

 グレンは膝をつき、そして倒れた。


「しかし、頼みの綱の兄上も死にそうじゃないですか。ははは、残念でしたね」

「グレン! 今、治癒魔法を施すわ!」


 呆けている暇はない。

 グレンの応急処置をしなきゃ。

 私は彼に手をかざして治療を開始した。


 何としてでも彼を治す。

 そのためにずっと今日まで修行してきたんだから。

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何卒、よろしくお願いいたしますm(_ _)m

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― 新着の感想 ―
騎士をたくさん引き連れといて、結局自爆するんか。。哀れな王子サマだなぁ。。。 残骸なく消えてるってことは、‥‥まさかね?
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