表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/19

01話 異世界転生〜筋肉を添えて

 目が覚めるとそこは見知らぬ天井だった。


(きっと病院だろう……)


 そう思い俺は首を動かそうとした。

 しかし…首が動かない。 

  更には身体から筋肉の波動が消えていた。


 少しして1人の女性が部屋にやってきた。


「ーーーーーーーーー」


 その女性は俺に向かって喋っているようだがそれが何にを言っているのかが分からない。

 目が覚めたばかりだ…耳も覚醒していないのだろう。


 聞こえていない事に気づいたのかその女性は更に近づいてきた。 

 目を凝らして見るとどうやら看護師の服装を着ているわけではないようだ。


(もしかして、助けた女性が看護してくれているパターンなのか……)


 そんな馬鹿な期待をしていた俺を裏切る事がすぐさま起きた。

 あろうことかその女性は俺を持ち上げたのだ。


 夢を見ているのか……


 それとも巨人……


 どちらにせよ、とりあえずは抵抗してみることにした。


「ぎゃぁ、ぎゃぁー、ぎゃぁ!」


 するとどこからか泣き声が聞こえてくる。


(誰が泣いているのだろう……)


 だが、周りを見渡そうにをまだ首は動かない。


「ーーーーーーーー」


 俺に向かって巨人が何かを言ってきている。


 一体どうなってやがる……



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜半年後〜


 半年経っても俺は自分で歩くことも出来なかった。

 まぁ、それもそのはずだ。

 なぜなら……


 "赤ちゃんになっているからだ!"


 なんで赤ちゃんになっているかって?

 それはもちろん、転生……しかも異世界に転生をしたからだ。

 半年も経てば流石に自分が赤ちゃんになっていることぐらい気づくが何故異世界転生だと思うか、その理由もある。

 この世界には魔法がある。

 そうあの魔法だ。


 俺は転生したからには今度こそ世界一の格闘家になってやろうと思った。

 しかし自分の父親、つまりは転生したこの身体の父親が魔法を使う姿をみて打ち砕かれた。


「ドーン!!」


 今も聞こえるこの騒音は父親が魔法を使うだ。

 以前その姿をみて前世の自分が戦ったらどうなるか少し考えた……考えるだけ無駄ということが分かった。


 ならばせめて……魔法を使って世界一強い男になろう。

 そう生後半年の俺は決心したのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜3年後〜


 転生から3年が経ちこの世界や俺自身のこと、そして周りの環境のことを理解してきた。


 例えば、両親のこと。

 父親はロバート、母親はマーガレット。

 なんとも異世界らしい名前である。

 更に異世界らしいのが両親の職業だ。

 父親は冒険者という前世では考えられない職業をしている。

 母親は医者だ。

 もちろん普通の医者ではない。

 人を魔法で癒す医者だ。

 もう慣れたが最初は驚きすぎて声も出なかった。

 その時は赤ん坊で喋れなかったけど……

 まぁトンデモではあるが俺はこの両親から産まれたことは幸せと感じている。

 前世では、母親は蒸発、父親は暴力と両親からの愛を知らなかった。

 だが、今はこの新しい両親の元愛を感じているのだ。

 母親は俺が怪我をすれば魔法で癒してくれるし、父親も叱るところは叱る、甘やかすところは甘やかすと俺を導いてくれてる。

 第2の人生を歩めるのは嬉しい反面、少し両親には申し訳ない気持ちもある。


 そして、この世界の事。

 もちろん前世といちばん違うところは魔法があるとこだ。

 だが、誰でも色んな魔法を使えるという訳では無いらしい。

 8歳になると神殿というところで魔法の力を授かる。

 そこで、火者の気、水者の気、風者の気、雷者の気、闇者の気のどれかを授かる。

 正確には他にも2つあるのだが……

 ほとんどの人はこの5の気のどれかを授かる。

 例えば父親のロバートは風者の気を授かっている。

 風を纏った剣を使ったり、風を飛ばしたりなんとも恐ろしい。

 そして、この5つの気以外にも2つある気、それが聖者の気と龍者の気だ。

 だが、この2つはとても珍しく100人中1人がどちらかの気を授かれればいい方らしい。

 母親のマーガレットは聖者の気を授かっている。

 聖者の気は人を癒す事に長けているのだ。


 それらの気を授かり、自身の魔力を用いて魔法を発動する。

 これがこの世界の魔法の仕組みだ。


 俺は、この世界で1番強くなると決めた。

 目標としては、龍者の気を授かることだ。

 基本の5つの気よりも戦闘に長けておりこの世界での強者の半数は龍者の気を授かっている。


 まぁ珍しいとはいえ聖者の気だけは嫌だ。

 戦闘に使える魔法がひとつも無い。

 聖者の気での戦闘方法と言えば魔力で身体能力を補うだけ……

 しかも、これはどの気でもできる。

 だから聖者の気だけは絶対に嫌だ。


 人知れず俺はビンビンのフラグを立てていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


〜更に5年後〜


 そんなこんなで俺は気づけば8歳になっていた。

 この世界の基本である気を授かる歳だ。

 しかし、どの気を授かるかは分からないし、魔法に関してはちんぷんかんぷんである。

 例えば、貴族なんかはしっかりと学んでいるのだろうが平民である俺は学べる機会は少ない。


 そこで俺はこの歳まで何をしていたかと言うと……


 当然、身体を鍛えていた。

 とは言ってもこの歳からウエイトトレーニングをする訳にはいけない。

 上半身は体幹を中心に鍛え、足腰はランニングと瞬発力トレーニング。


 鍛えているうちに気づけば俺は村のガキ大将となっていた。

 あれは5歳の頃、最初は村長の息子であるバラキンが言いがかりをつけてきたのが始まりだ。

 俺としてもガキを相手に喧嘩する訳にも行かずにほっといた訳だが……

 更に1年が経った頃、自分の中に前世の自分が薄れていくのを感じて…その所為なのか26歳も下のガキ達は同年代の友達のようになっていた。


「ルイス?」


 そう俺の名前を呼んできた女の子は幼なじみのキャロル。

 何を隠そうバラキンが喧嘩を売ってきた原因であり、俺がガキ大将になった原因でもある。

つまり、話の流れはこうだ。


 キャロルを好きなバラキンが仲良くしている俺に言いがかりを付けた所をボコしていつの間にかガキ大将と……まぁ今ではどうでもいいことだ。



「遂に明日ね。」


 明日に何があるかと言うともちろん、神殿で力を授かることだ。

 キャロルは聖者の気を授かりたいらしい。

 とは言え、昔でこそ大人しかったが今ではキャロルもかなりのお転婆である。

 聖者って感じもないのだ。


「お前は、聖者って感じじゃないな。むしろ龍者の気を授かりそうだぜ。」


「うるさい!私はあんなの母親みたいになりたいのよ!」


 そう言って俺を殴ってきた。

 母さんみたいになるのは絶対無理だろう。

 母さんはこいつと違ってお淑やかなのだ。


「明日には全てわかる。俺は龍者がいいが……まぁ聖者以外だったらなんでもいいよ。」


「あっそ!うっかり聖者の気を授からないように祈ってなさい。」


 明日にはやっと俺の成り上がり人生の始まりだ。   

 絶対に世界一強くなってみせる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ