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それじゃアポなしみたいなもんだろ③

~前回のあらすじ~

アマノは王様から来た面会の話で、父親と話し合いをしたぞ!

重音さんが、王宮の担当(?)に連絡してくれたおかげで一歩前進だ!

in英雄大学 上空

俺は今、空にいる。


ビュォオオオオーーーー!!!


 どうやって? もちろん、重音さん のスキルで、だ


空中で鎖の椅子に座っていた。鎖を操る能力は極めると空を飛べるらしい。重音さん は近くを浮遊している(椅子はなく、数本の鎖で)。


 《あとは王様の連絡待ち! アマノン、(かしこ)まった服とか見に行かない?》


それで、まさか空を飛ぶとは思わなかった……。


 「…………」


 「…のん アマノン!」


 「あ、ああ。大丈夫だ」


危ない危ない。下を見たせいで一瞬意識がなかったようだ。


 「そうは見えないよ。 やめとこ…ね…?」


これは試運転。俺が耐えられるかどうかのお試し高所だ。重音さん が気遣う。見限ったと言える。


 でも、それは違う


 「いいや、いけるさ」


 「……でもさ…」


 「理性的な判断だぞ… ほら」


リングを見せる。 [気を張りリング] だ。


 「これがあれば、酔いや震えはない」


 「……むぅ…」


 とは言っても、防げるのは 身体的な不調 だ


恐怖心は大して変わらない。恐怖心を覚える必要は一切ないのは…分かっている。


 まず 重音さん のことだ。できなかったら、できない と言ってくれる


空中にいることが初めての俺に、鎖で作った椅子は、風にも大して揺られない安定感を誇っていた。下を見なければ、風が来なければ、怖くなんてない。


 「……」


心臓のドキドキは一際大きく主張してくるが、無視を決め込む。


 「…そして、あえて空の移動手段を提示したんだろ?」


 「…そうだけど…」


空中を移動する手段なんてほとんどない。移動による制限は、地上に比べてかなり減る。


 人目に付きにくいのが、最大の利点とも言える(もちろん、これほど高さがあればだが…)


 「…なるべく早く、あっちに着くね…」


 あっちとは、重音さん 曰く『服選び』ができる場所らしい


 「…あぁ…頼む」


移動し始めると先程までとは違う不快感に(さいな)まれる。


 「速さどう…?」


 「…気にしないでくれ」


 「…分かった」


大した会話もできないまま目的地まで移動する。




in王宮 中庭


 「お待ちしておりました。 重音様、アマノ様」


声が聞こえる。


 「すみません、ヨウさん。 連絡 直前にしちゃって」


 「いえ、お気になさらないで下さい。 準備は抜かりありませんから」


間違いない ヨウさん だ。つまり、ここは…


 王宮……


 〈なんてことだ… 来てしまった…〉


王宮に入ったことなんて、昔行った 父関係のパーティー の一度きり。


 「アマノ様! だ、大丈夫ですか!?」


 「…気にしないでくれ…」


 「そういうわけには…」


 「…アマノン… 先にお風呂行ってきても良い……?」


 「重音様…」


 「…許可もらったのか…?」


 「うん どっちの用事も済むから、ここに来たんだよ。 安心してよ、ヨウさん には話してるってば~」


 「……」


 「…確かに承りました。 ですが、アマノ様 を一度」


 「ヨウさん。 俺なら大丈夫です」


 「…分かり…ました」


 「うん。 じゃあ、またね。 アマノン」


 「あぁ…」


重音さん は王宮の中へと消えていく。


 「ふぅ……」


お腹の少し上、心臓の前に両手を添える。


 【ブースト】 >自律神経<


心身が少し楽になる。慣れたことだ。体調を良くする おまじない や ルーティン より少し効果がある程度だが、落ち着くにはコレが一番だ。


 重音さん は、()()() 離れてくれた


重音さん にはスキルでの空間認識能力がある。多少離れても意味はないのだが、目の前でコレはできなかった。


 「……」


 〈……まだ少し、鼓動が速いな…〉


 分かってる。バカで無意味なプライドだなんて……


要はアレだ。女子の前じゃ…涙を流したり、鼻水を垂らしたりなんて醜態、晒したくない。


 「…アマノ様… 大丈夫ですか? 顔色が優れませんよ?」


 「…ちょっと足が竦んだけですよ。今は、大分良くなりました」


 「自己判断だけでは危険ですので、なるべく近くで対応させていただきます。 私にできることがあればなんでも言って下さい!」


 「…はは、ありがとうございます」


ヨウさん の見た目が眼に入るくらいには回復する。金髪なのである。それも後から(いじ)ったモノではなく、自前のモノだと髪質が言っている。


 ジロウ より王族らしい華やかさがあるよ…


少し気が抜ける。ジロウ を小馬鹿にしたからか、気が楽だ。


 〈さて…どうしたものか…〉


確かに 重音さん は嘘は言ってない。俺の正装調達 と 重音さんの入浴 が両立できる場所だ。


 (もっと)も、今回は場所を秘密にされたから来ただけで、王宮と言われてたら止めていた


重音さん の方が一枚上手だった。


 「…まさか、空からお見えになるとは思いませんでした。 アマノ様 は、私の想像をよく超えてきますよね」


 「そんな印象持ってたんですか?? 自分は何もしてませんよ?」


 「ご謙遜なさらないでください。かけがえのないものを ジロウ様 に与えてくれていますよ。 そして、アマノ様 のお人柄には、いつも敬服しております」


 「…そ、そんな」


 大したことなんてしてないのに…


大人として尊敬する ヨウさん に褒められるのは嬉しいが、それを素直に受け取れる実績がない。


 「あ、アニキ~~ ほんとに来たんすね~~」


ジロウ が来てしまう。


 「進展でもあったんっすか~?」


 「……」


ジロウ の調子はいつも通りだが、容姿にあまり馴染みがない。茶髪に黒い眼。自前の物だ。いつもの黒髪と金眼とはまた違う印象を与える。


 「…怒ってます…?」


俺からの視線と沈黙を気にして ジロウ は結論を急いだようだ。


 ただただ、反応が遅いだけなんだが…


 「…いやぁ、全然? にやけ顔が気に食わないだけだよ」


 「もう それ怒るじゃん……!」


 「…アマノ様 がよろしければ、これからスーツをご用意したお部屋まで案内しますが、一回休憩なされますか?」


 「カッコイイのあるっすよ!」


ヨウさん も ジロウ も歓迎ムーブだ。行くしかない。


 「ヨウさん…よろしくお願いします…」


 「どうぞどうぞ! あちらの建物です」


 「オレも役に立つっすよっ!」


鎖の椅子から重い腰を上げる。地面に両足で立つ安心感を思い出す。


 「大丈夫ですか…?」


 「…はい、行けます」


ヨウさん は程良い距離感で傍にいてくれる。後ろを振り返ると、鎖は椅子の形を崩しながら、空気に溶け込むように 上の方から消えていく。


 〈後で、重音さん には感謝しないとな…〉


 「あ、オレにも剣術教えてよ! アニキ 暇な時でいいからさ!」


 〈剣術の訓練を見たから言い始めたのか……?〉


そうだと思ったが、引っかかる。


 コウヤ が『勇者』らしく力を暴走させたんだ


そんなの見たら、凡人なら才能の差で努力するのを諦めたくなるものだが、ジロウ は違うようだ。


 「…コウヤ様 の力見ましたよね…?」


 「アレだろ! すっごかった!!」


 「……ジロウ様 にはずっとその心を持っていて欲しいです」


 「なんだよ! 子供扱いしただろ!? あと…様呼びは…」


 「……」


様を付けただけで距離感を感じナイーブになるらしい。気持ちは分からなくはないが、なんとも繊細だ。もっと強くなって欲しい。


 「…まずは体鍛えろ。コウヤ様 を目標にするなら、尚更だな」


 「う… 剣に触ってみてーよ……」


 「あのなー、道具に振り回されるな。 道具を扱える一定の条件(ライン)をクリアしないことには誰も許可はしないんだよ」


 「そんなこと言われなくても、オレできるって思ってる!」


 「みんな ジロウ には、傷付いて欲しくないんだ…」


 「……素振りとかなら、みんな平和じゃねーかな?」


 「…調子に乗りそうで危なっかしいんだよ。 『勇者』の聖剣とか、伝説の魔剣とか聞いたら触らずにはいられないだろ……?」


 「い、いっや~……そんなことないんすけど…… それはまた…違う話っすよね…」


 「眼を見て言えるか…?」


 「…………目の前にあるんだったら、触りたくなるの当然じゃないっすかね…」


 「よく…駄々こねるよな」


 「だからズルいっすよーーー! 特別な剣とかあったら、誰だって!」


 「言っただろ。 道具に振り回されるなって… あと、駄々こねるのはやめるんだな」


 「……」


 「レベル低いって思われたくないんだろ? そこはグッとこらえて理性的な話し合いに持ち込め。今回は深く話さないが、考えることを癖付けしてくれよ」


 「…………」


 「ジロウ は、なんで、剣を握りたいと考えたんだ…?」


 「それは………えっと………」


 「……」


すぐには返事は出てこなそうだ。少し話すとしよう。


 「…俺はさ……剣道はカッコイイ。そうやって憧れた」


父の試合をよく見に行っていたあの頃を思い出す。あの時の自分と ジロウ の気持ちは似て非なる想いだ。


 「な、ならさ…」


分かってくれるだろ?仲間だろ?という視線を感じる。それを無視して話を続ける。


 「…武術では 気持ち も大事だ。この道を極めるほど、精神的成長がしやすかったりする。 憧れや自己愛ってのは、雑念だの 煩悩だの って一蹴されることがある…」


 「……オレの気持ち…」


言葉にして思う。これは俺への言葉でもある。


 どうして父親が嫌いになったのに、才能がないって分かったのに、剣道を続けるか…… 


 「問題は、周りから言われることじゃない。 心がどうしたいって言ってるかだ。 俺は剣道が好きだ」


憧れで剣道の世界に入ったけど、根っこは今も変わらない。初めから魅了されていた。


 「オレは…………」


 「初めから、全部分かるものじゃないから、やりながら答えを探すのも全然いい。 何を理由に、剣を触りたいんだ?」


 「……みんなで強くなりたい」


仲間はずれが嫌だってことだな。


 分かってはいたさ…


 「…じゃあ、周りを納得させる 努力 をするんだな」


 「…話なんて聞いてくれねーよ、あんなダメオヤジ…」


 「ジロウ様……」


 「話じゃなくてもいい、筋トレでもいいんだぞ」


 「……でもよー、時間がないしよ… みんな厳しいんだぜ… したくてもできねーよ」


 「外で遊ぶ時間を使ったら、体作りくらいはできると思うぞ。 武術をしたいんならな」


 「それだと、オレ持たねーよ…」


 「その点は安心していいんじゃないか。 真剣に体を鍛えたりしたら、周りはきっと息抜きや休憩を、嫌でもさせてくれると思うぞ。 ヨウさん だっている。周りを信じろ」


 「……ぅぅ…」


ジロウ の顔は苦悶でいっぱいだった。まるで「そう言われたら…そう思えるけど……筋トレ(それ)が正解なんかな…」と言ってるようなものだ。


 「……」


 「……(お願いします)」


ヨウさん から柔和な笑みを受け取る。


 ジロウ への助け舟を任された


言葉を考える。


 …人には向き不向きがあって、結果が出ない努力なんて…ざらにあるもんだ。でも、無駄じゃないだろ


 〈…ジロウ にはまだ響かないだろう…〉


決断し経験した後の話じゃない。決断を後押しする話をしないといけない。


 「目の前まで来た選択肢に、真剣に向き合って決めた道なら、反省はあっても後悔はないだろ?」


 「………」


 「ま、何も武術に拘る必要はない。 真剣にやるんだったら、大抵のことは、みんな応援してくれるさ」


 「オレ…筋トレやるよ……」


 「……やる気になったか?」


 「あぁ、やってやるよ!!」


 「それじゃ、約束でもするか…?」


 「一週間… 筋トレ続けたら剣術教えてくれ!」


 「短くないか…?」


 「な、なら二週間!」


 「…ふ、ちゃんと継続しろよ…」


 「やってやんよ!」


 「継続できなかったら、どうしようか…」


 「…!!」


ジロウ は目を見開く。そんなに驚くことだろうか。


 「たとえば……レインをお預かりとか…?」


 「あ、アクマだぁぁ!!」


ザワザワ…


いつの間にか、ジロウ 達の居住スペースにお邪魔していた。周りには少なからず人がいる。


 やっべーな、敬語忘れてたな…


 「…ジロウ様、反応が少し過剰(オーバー)ですよ…」


 「あ、スイマセン…」


 「兎にも角にも、継続なさって下さい。 やってるうちに、また考え方も変わったりしますよ」


 「やる気は」


ガチャ…


 「着きました。こちらのお部屋になります」


 「…やっぱ、カッケー!!」


案内された部屋には、スーツが何着も用意されていた。


 「ジロウ…様…」


 「こ、これはいいだろ?! 道具って言っても武器じゃねーし、危なくないって…」


 「…なら、手に持った服はなんですか…」


 「…これはその、着てみたいな~って」


 「…頼んだら、いくらでも着れるでしょう…?」


 「いやーー、式典に合った服ばっかで、こういうカッコイイ系!」


 「……そうですか」


ジロウ が着る服 と ここにあるスーツ の違いなんて寸法くらいじゃないかとすら思うが、それ以上は考えない。


 現在進行形で、少し引いている


 〈ヨウさん…このスーツどこから用意したんだ…〉


冷や汗が出る。俺が王宮に来る前から、これは準備されていたハズだ。とんでもない。


 「アマノ様、どうかされましたか?」


 「…いやぁ…大変じゃなかったですか…? 申し訳ないです」


 「お気になさらないでください。 あくまでこちらにご用意したのはレンタルですから、出費は大したことないですよ♪」


 「……」


 大したことあるだろ!!


ここで、選ばないという選択肢が完全になくなった。選ばなかったら、ここまでしてくれた ヨウさん に申し訳なさすぎる。


ガチャ…!


 「ただいま、アマノン。 思ったより元気そうで良かった♪」


 「…今、元気に見えます…?」


 「うんうん、アマノン の気持ちも分かるよ。 私の方から、ヨウさん にお金渡しとくね!」


 「…へ?」


重音さん は例の小切手を取り出す。


 「いやいや、そんな結構ですよ! 重音様!!」


 「半分くらい出させてよ。お願いしたクチなんだし」


 「アマノ様 には、日頃からお世話になっておりますので、感謝の念なんですよ! お気持ちだけいただきますよ」


 「…どうする? アマノン…」


 -<私のお金は アマノン のモノだと思ってよ>-


 「……」


 「アマノ様…」


 「………一回それは置いといて、ですよ。 ジロウ様 への忠義を忘れないでくれますよね?」


 「もちろんです。 いかなる時であっても心に刻んでおります」


「始まった」とまるで他人事のような目をしている ジロウ に爆弾をくれてやる。


 「では、ジロウ様 に2週間、厳しくして下さい」


 「なっ、アニキ」


 「…わ、分かりました。 どれほど厳しい対応を ご想像されていますか」


 「対応の前に、恨み事を言わせてもらいますね…。 ジロウ様 には言われていないことを察する力が足りていません。言われなかったらしていいと考えています。よろしくありません」


 「はい…!」


 「うぐ…」


 「お酒を飲みたくないという相手に飲酒させるのは、かなり危険です。キツく注意するタイミングを逃しましたが、ちゃんと怒っていますよ」


 「そ、それは謝罪したっすよ…!」


 「反省しているかは少し怪しいと思っています」


 「…そ、そんなぁ…」


 「一番良くないのは、後始末を ヨウさん に任せすぎなんですよ」


 「私…ですか…」


 「いつもフォローをして下さっている ヨウさん には大変恐縮ですが、ジロウ様 の成長のためには補助輪を外すべきだと思います」


 「…分かりました」


 「加減は、ヨウさん に任せて問題ないハズです。これまで甘やかしていて全部が上手くいかないとは思いますが、よろしくお願いします」


 「はい、ありがとうございます。 アマノ様」


 「…ジロウ様 も頑張って下さいね」


 「……分かりました…。やることやります…」


 「…ジロウ様 も、その気になって下さって喜ばしい限りです」


 「なんかイヤっす!! オレが使うのもイヤっすけど、アニキもそうなっちまうと…オレ…」


ちょっと丁寧にし過ぎただろうか、ジロウ に限界が来る。


 「…ジロウ様、焦る時ほど…?」


 「…リラックスしろ」


 「…そうです。 ジロウ様、何を不安に思うことがありますか…?」


 「……敬語を嫌ったら… ダメかよ…」


周りの人がみんな、ジロウ に対して敬語を使うのは想像に難くない。だから、軽いトラウマなのだろう。


 「……俺も嫌いです」


 「!!」


 「でも、敬語が必要な場面はあります。 自分としましては、ジロウ様 と同じで敬語嫌いがありますので、嫌な文化だなとも思いますけど、良い面もあります」


 「…オレは…好きになれない…」


 「……、ジロウ様 は自分との出会いを憶えていますか?」


 「…!! もちろんっすよ」


 《オレはジン! あんた面白い情報持ってんだろ! コレでどうよ》


隣に座られた。お金をちらつかせながら、鼻息荒くしていたのがファーストコンタクトだ。


 「第一声は最悪でした…」


 「うっ……」


少し治安の悪い場所だった。そんなことをいう子供なんて酷い目に遭うのが大半だ。逃げるように店を後にした。


 《待って下さい! 頼れる人が他にいないんです!!》


 「次に、飛んできた言葉は敬語でしたよ」


 「…っ!!」


知性や教養を感じた。不器用な純粋さを見捨てられなかった。


 「…言動は相手を見定める判断材料なんですよ」


 「……」


 「だから、言葉遣いは無下にはできませんし、社会人が取る行動にも大体、理由があります」


 「………分かりました… ただ…仲を深めてからは…場所さえ選べば…好きにしていいですよね?」


 「場所を選んだらいいと思いますよ。 ただまぁ…人を悪く言う言葉は基本的にオススメしません。誰に聞かれてもマイナスだったりしますから…」


 「…オレ…アニキみたいになれるように頑張ります」


 「…目指すなら、もっと別の人がいいですよ」


 「変えないっすよ! オレ、アニキを結構見てきた自信あるっすから!」


 「……」


困った。説教垂れていたら、変に拗らせてしまったかもしれない。王様に怒られる案件かもしれない。


 あと…なんで 重音さん も ヨウさん もニコニコ笑ってるんだよ……


 「…今の自分としてはこういったアドバイスをするくらいしかお二人に還元できませんが、余計なことしましたか……?」


 「いえ、非常にためになりました。 アマノ様 にしかできないことだと思います。どれだけ感謝してもしたりません!」


 「アニキは余計なことしてないだろ~」


 「……いつか恩返するつもりです…」


 「いやいや、本当にいいですからね!」


 「は…ははは…」


恩返しはする。そう、今はお金払えません。ごめんなさいでしかない。


 「ア~~マノン♪ スーツこれとかどう…?」


気まずくなった俺に 重音さん は助け舟をくれる。


 -<アマノン から見て左から安い順だよ~>-


 〈助かる…〉


 「一応、説明しましょうか…? 生地によっての違いだったり、上下の組み合わせなんかも…」


 「あー、そうですね……」


 -<アマノン、私が適当に選んじゃおっか?>-


 〈あー…… 助かる〉


 「こんなのどうかな~? あれ? 邪魔しちゃった?」


重音さん は ヨウさん の会話をぶった切る。手慣れている。


 「いえ、なんでもございません」


 「そう。 これ着てみようよ~」


ヨウさん に軽く頭を下げつつ、試着室まで行く。


 「ピッタリ…だな…」


 「見せてよ~」


シャー…


 「いいねいいね~」


 「……」


これでいくらなんだろうが先行して、スーツを着た自分を自分の姿とあまり思えない。


 「安心してよ、そんなに高くないよ~~コレでいいかな?」


 「本当か…? 結構、着心地はいい気がする」


首元こそ少し苦しいが、スーツあるあるだと思って気にしていない。


 「だよだよ。 襟元(えりもと)もっと緩いのあるかな…」


 「襟元ですか…」


 「いや、そんな気にしてないぞ…!」


 「…これで良さそう…?」


 「ああ、これで行こうと思う」


父親に頼んで後日買ってもらおうかとも思案するが、今はこれ以上のことはない。うん、ない!


 「このスーツの上下を日を改めて購入しようと思います!」


 「私からのプレゼントということで、受け取ってください」


 「そういう訳にはいきませんよ!」


 「あの~ お二人には申し訳ないんだけど…」


重音さん が口を挟む。少し悪い顔をしている。怖い。何を言い出すんだろう。


 「王様 が今から話さないか? だってさ」


 「……………」


 ………そんなつもりで、来てない!!!!


ガチャン…!


 「重音様! ただいまお持ちしました………ってアレ?」


袋を抱えたメイド服の少女が扉を開けて固まる。


 「…………」


 「ナイスタイミング~」


 「……ティラさん」


 「…ん? ん? どういう状況っすか…アニキ?」


俺が聞きたい。


 「私の服を頼んでたの~ 今からでもいけるよ、アマノン♪」


 「…………」


重音さん はよくしてくれている。献身的で、寄り添ってくれる。


 〈でも、どうして俺への確認(アポ)が、ほぼなかったんだよぉおお……!!〉


 -<ごめんね、アマノン。悪いことしたなって思ってるよ。 でも、こうでもしないと来るの無理だったでしょ…?>-


そうだとしても、心の準備がある。ジロウ に説教した手前、目の前の選択肢から逃げることもできない。見事に詰んだ。

~新情報まとめ~

重音さんのスキルで空も飛べる。物質化できる鎖と膨大なエネルギーというだけで、かなりなんでもできてしまうのが強能力たる所以だ。それに触覚や読心能力を持ったエネルギー状態の鎖もあるって?? もう壊れ能力でしょ……(以下略)


~~~~~~~


   更新は調整中!


活動報告にXを、質問受付をマシュマロで、そして、noteに裏話や設定などの場所を設けています!

X(Twitter)→https://twitter.com/kahiketu

マシュマロ→https://marshmallow-qa.com/44wphdt82wjcq0v

note→https://note.com/kahiketu/


アルファポリスで【解放】を約4年かけて完結!!

【解放】→https://www.alphapolis.co.jp/novel/872985425/671478042


また、TALTOの方で【解放】のTRPG版アナザーストーリー【解放〇】を掲載中!

【解放〇】→https://talto.cc/projects/IigrzQxXtenCvrZKmVcYD

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