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それじゃアポなしみたいなもんだろ

~前回のあらすじ~

『千里の鎖』のカサネ に気に入られたせいか王様に招待状をもらった アマノ!

前回は、重音の告白で触れることはなかったが、向き合わなければならない…!


 コウヤ、メイア、カサネ、ジロウ、そして、アマノ が揃った


初指名だ!責任重大だ!拒否は無理っぽい!!


 さぁ、アマノ はどう対応するか……!!

in英雄大学 食堂

気が付くと、異世界から来た国の最重要人物ら3人と 第2王子 が、いつもの大学(英雄大学)の食堂に揃っていた。


 「勇者様 に少しでも交流を深めたいの! 行かせて下さい!!」


 「そこをどけ! お父様が黙ってないぞ!!」


 「ハルガラさん! コウヤ様 と メイア様 は任されております。通して下さい!!」


 「駄目だ…」


食堂の外では、マサキリ先生が生徒やコウヤ達の護衛らしき人すら入らせないようにしていた。それを横目に粗方の現状説明をし終わったところだった。もちろん、重音さん の想いの告白はカットしている。


 「でも…王様は何のために、アマノ君 を呼ぶんだ…?」


 「…危険な奴かどうかってのを直接会って知りたいとか…」


 「釘を刺すため…とかだろうな…」


 「だよね〜」


重音さん は事実上の守護神。サンサン王国にとって、盾であり、鎧だ。


 よく分からない奴に、重音さんの力(それ) の主導権を握られたら溜まったものじゃない


あっちにとってみれば、国家転覆の危機とも言えてしまう。


 「……そう扱われるほど…強いんですね…」


 「まーね」


 「………」


ジロウ が少し身震いしている。先ほどの 重音 の本音が受け入れ難いのだろう。勇者(コウヤ)たちと仲良くするつもりはなかったので、説明なしに逃げ出しても良かったが……。


 「さて……大体の現状は理解してくれたかな?」


 「……」


この怯えさせたままの ジロウ に説明を任せるのは、違うと思った。


 「まぁ分かったかな…後は封筒の中身が気になるくらいだけど…」


 「軽く見た感じだと、気楽においでよって、物腰柔らかく接してくれてる」


王様との面会内容だって書かれていた。


 [前置きが長くなってしまってすまない。今回の面会内容は、アマノ君 が 重音さん をどう思っているかの意思確認と待遇、報酬について 話がしたい]


こうやって内容を事前に知れて本当に、良かった。教えられず、選択肢もないことだって有り得た。盗聴器の件もある。


 「私も行っていい?」


 「…来てもらおうかな。王様 からも一緒に来てくれると手間が省けるってさ」


 「じゃあ、行こうよ。今からでも」


 「…行けないぞ。午後の講義を受けないと」


 「行けはするよね? 私に振り回されましたって言えばいいんだし」


 「…」


 「っ……!」


重音 のこの勢いを知らない コウヤ と メイア が唖然とする。


 「…今回は王様からの招待状だってある。 人生の転換点って言えるような状況だよ? 律儀に学校行くメリットなんて大してないよね?」


 その通りだと思うさ


でも、そうできなくなった。


 「それはできないよ」


 「…なんでか、聞いていい?」


重音はこういう時なぜか笑顔になる。不思議な子だ。


 「……重音 にノせられて流されるだけの意思ヨワ人間になりたくないから、かな」


 「フフッン♪ …分かってたよ、アマノン」


 「……ぷっははっははははは……!!」


唐突に壊れたように コウヤ が笑いだす。


 「……どうしたんだよ……コウヤ」


 「ふ……ふっ……ごめんごめん…… いやぁ…本当に、アマノ君は… 思った通りの人だってさ」


 「……なんだよ、それ」


 キーンコーンカーンコーン⤵


学校のチャイムがなる。


 「訓練の時間だ。また後で話そう」


『また』なんて濁したが、次に会うのは博物館だと信じている。


 「あ、ああ。またな!」


 「私も行くよん~♪」


 「お、オレ も行っていいか……!?」


重音さん は言っても付いてくるとして、ジロウ はどうしたものか。マサキリ先生 からは「ジロウ は帰ってもいいぞ」とは言われているため、訓練には参加できないと思われる。


 下手に外をうろつかれるよりは、大学にいてくれたがみんなハッピーなのかもしれない


 「…付いて来て、どうしたいんだ…?」


 「そりゃ…その……面白そうじゃん!」


 ここに居たい…!!


そう、顔に書いてあった。


 「……」


こういう想いに鈍感か、あるいは、無視しても傷つかないメンタルがあったら、さぞ生きやすかったことだろう。ドアを封鎖し続けて下さった マサキリ先生 と目が合う。




in英雄大学 校庭


 「ア~~マノちゃ~~ん。 元気してたw」


 「はい」


英雄大学では、学年が1つ違う先輩、後輩と交流がある。実践訓練では、ペアを組んで教え合ったり、集団戦をしたり、と同じ学年だけだと得られない学びがあってタメになる。


 多くの先輩は友好的だ。 たまに例外はいる


 「いつも言ってるけど、まぁ、教える苦手だから見て盗んでね~~」


 「はい、ありがとうございます」


この先輩は、ペアの訓練だと言うのに他のペアの女子に絡んでいき、訓練ではなく ナンパをするのが9割の人だった。


 〈ま……だけど〉


それも一つの生き方だ。大学に行く時点で、ある程度の経済的余裕がある。


 学歴のため、将来のため、経験のため……理由なんてなく、気付いたら大学生だったやつだっている


どんな大学生であるかなんて…、他人からどうこう言われる筋合いはないし、好きに生きるが正解だと思う。


 〈ま、迷惑はかけなければ ◎ ってな……〉


そんな下らないことを一人考えていた。


 「センパイ! 試合 しましょ」


 「ん? いいよ~ 君可愛いね~」


このように他の女子と訓練を始めることすら日常茶飯事(さはんじ)で驚きもしない。


 〈まぁ…先輩()後輩()とで相性悪いと、少々困るが…… それもまた経験だよな…〉


むしろ、こっちは先輩の名前をド忘れしている。失礼だよな~と他人事のように思う。ちなみに、ジロウ は遠くから見ているだけで、声や反応は分からない。


 「あはははは よろしくオネガイシマス」


 「…………っ!! マズイ!!」


先輩とのやり取りがあまりに見慣れ過ぎて思考力が鈍ってしまった。


 「ギャン!!」


ドシャン!!


 「…た、タイヘンダーー! 勢い余って力入れ過ぎちゃった…!」


ピクピクン……


 「…………」


無理言って訓練に参加していた 重音さん が 先輩 を投げ技をかました。先輩 は虫のようにひっくり返って白目を剥いていた。


 遅かった……


自分が声を上げた時には、先輩 が地面衝突直前だった。助ける間もない。名前が思い出せなかったし、好きというわけじゃないが、さすがに可哀想だと同情してしまう。


 「あーヨカッタヨカッタ。特に外傷はないね! 気を失ってるだけだヨ♪」


 確信犯である


 「……やり過ぎだよ…」


 「そんなことないよ~~」


 「……」


丁度、マサキリ先生 が校庭に現れる。状況を察し、言葉を選んでいる。


 「…重音。後で叱るから待っときなさい」


 「…こっちの言い分も聞いてくれるよね??」


マサキリ先生 がいると 重音さん が好き勝手できなくて助かる。訓練では、当たっても怪我しない竹刀を用いて、寸止め前提で試合をしたりする。


 重音さん がやったこと? あんなの試合じゃない…


 「注目!! 今日はスペシャルなゲストが訓練に参加して下さる。『勇者』候補の コウヤ と メイア だ。 ペアは、コウヤ と 重音。メイア は アマノ でしてもらう」


 「皆さん、こんにちは コウヤ です。よろしく」


 「…メイア です。よろしくお願いします」


再会が早すぎる。訓練に参加するなんて聞いてない。


 マジか……


 「え、ひどーーい。アマノン とするために先輩には気絶してもらったのに…」


 「ここは学校だ。従ってもらおうか」


 「はぁ~~い…」


 「腑抜けた返事も、私語も、厳禁だ。叱る時間延長」


 「え? 叱るのは…何でもないです! すみませんでしたぁ!!」


 「よろしい」


 「アマノ君、よろしく」


 「よろしくお願いします…」


 「アマノ君 は、剣道してるんだよね?」


 「してますよ…」


親が道場をしていて多少しごかれた。メイアさん の竹刀の持ち方が様になりすぎている。経験者なのだろう。


 「アップはしてきたから、始めてもいい?」


 「あ、はい」


ニコッ


メイアさん の微笑みに悪意はないはずだが、昨日の 水の笑顔 で遊んだことを思うと怒っている可能性もある。


 「この竹刀重すぎん?!」


 「あー、すまない。軽い竹刀を用意しよう」


 「……」


あっちの誰かさんとは、やはり違う。重音さん の無言の視線は気になるが、メイアさん との剣の対話は至って平和だった。


 〈こっちの力量を分かって、程良いレベルで慣らしてくれてる。ありがたくはあるけど、ちょっと情けないな…〉


そんなことを思っていると、メイアさん の竹刀が止まり、姿勢と握り方が変わる。


 「アマノ君 … ちょっと付き合ってね」


間違いなく、本気を 試したいんだ。


 「……大した相手はできないぞ」


 「ありがと」


 〈すり足はえー〉〈先の技はえー〉〈払いやべー〉〈スレスレ っぱねー〉〈リズムおかしい〉〈控えめに言って手足がキモイ〉〈バックステップで当たらないようにしてくれてたけど、そっちが眼を瞑ってるの何??〉


打ち合っての結論はこうだ。


 完敗


技も、力も、勝てる要素がなかった。主人公補正も、ここまでくると笑うしかない。剣術には、そこそこ自信あったが、完膚なきまでにやられる。満足気な メイアさん が返事を求めた顔をしている。


 「…どうかな?」


 「まー、通じるよ。これだけ実力あれば」


嘘はない。剣術としての才覚は明らかにある。


 「…こっちに来てから感覚が鋭くなったのと、力が強くなった……」


女子でこれだけのパワーがあったら怪物扱いされてそうだし、こっちに来てからって言われた方がしっくりくる。


 「でも、問題は魔法……でしょ?」


 「……」


黙って頷く。あっちの世界で爆弾があるように、こっちでは魔法がある。近接の手数としては非常に有用な剣術も、遠距離の手数は乏しい。


 「魔法をメインにした戦闘スタイル……特に機動力が気になる」


 「機動力か…… 機動力に関しては、大した手段はない、だな」


 「……そうなんだ」


肉体強化の魔法はない。ってかあったら、俺のスキルは、スキルと呼べなくなると思う。


 「ただ…… 役割(ロール)とか、PT(パーティー)とか、分かるか?」


 「…分かるよ」


 「魔族は意思疎通が望めないなんて言ったが、知能はあるし、陣形だって作る」


 「……つまり、遠距離アタッカーは後方にいて、前衛に守られてるの…?」


 「そういう工夫をすることだってあるってことだよ」


 「………」


 「とは言っても、十分張り合えるんじゃないか?」


 「…うん、ありがと」


 「あぁ…」


少なからず、頼りにされてしまっている現状は、好ましくない。


 〈博物館イベントは必要だったとしても……他は関わり合いになりたくなかったってのが本音だ。これ以上は、困る。家族に、悪友(マキ)に、重音さん で限界なのに……〉


そう考えていると、メイアさん から声が掛かる。


 「たださ…… ()() はしないの……?」


 「…………」


痛いとこをついてくる。


 「封印してるんだ。ごめん」


 「…そっか」


 「はい、時間だよ!! チェンジチェンジ~!」


 「早かったな…」


 「長い長いっ! 30分はあったよ、うん」


 「20分くらいじゃないかな…?」


 「うっさい」


そんなに経っていたとは思わなかった。


 「………」


仮にも、剣術で食っていこうと思っていた身だ。だが、何一つ勝てない メイアさん には嫉妬心すら抱かない。


 格が違うから


それだけのことだと割り切るように成長してしまった。


 〈退化なのかもな…〉


 「アマノン が敗北感を感じる必要はないよ。だって、アマノン の最大の強みは(これ)じゃないんだから」


 「……えっと……じゃあ、何が 強み なんだろう」


 「精神性だよ。 人生経験、とも言えるのかな?」


 「……ははは」


大して思い当たる性格面も、経験話もないのが一つ。


 〈何と言っても……〉


自分の 精神性 如きで、何ができるんだというのが、正直な感想だ。


 「と に か く ~、私 は アマノン だし、卑下する必要なんてないよ。 それより今は、練習でしょ?」


 「ああ、そうだな」


この手の話は受け答えに困る。


 重音さん が求めている アマノ・ケンリュウ と実際に差異があるんじゃないか


ふわっとしたことしか言われてないせいで、ハッキリしない。ハッキリできるものじゃないかもしれない。でも、足場が揺らいで落ち着かないのは、止めようがない。


パシィ! トトッ…


重音さん の竹刀を竹刀で防ぐ。


 「ほらほら~、油断大敵ってば~~w」


 「開始の合図とかしてくれよ」


 「呼び掛けても反応なかったから、寸止めしてみただけだよ~~」


 「……」


重音さん の言うことだ。竹刀で防がなくても、大丈夫だったのだろう。


 〈ただ…ルール的な確認もなしなのは…〉


 -<ごめんね~ アマノン 。こうやって話さないと目立つからさ>-


 「……」


 「まーーた、よそ見しちゃって~~。 余裕かまし過ぎだよ~」


口を動かす 重音さん からウィンクが送られる。


 -<ビックリした~?>-


 〈…しても不思議じゃないなって思ってる〉


 -<なんか煙たがられてる?!>-


心に土足で踏み入られるのは、慣れてたまるかって話である。


 -<……アマノン が良いなら、私たちの周りに()作るよ? そっちの方が、話しやすい?>-


 〈話にくいわ!!〉


イメージがぼんやり伝わってきたが、ロクなものじゃない。鎖を何重にも巻いたような()を提案してきたんだ。目立ち過ぎる。即却下。


 -<…… アマノン を不快にさせたくないから、会話(これ)も止めるね……?>-


重音さん は、無意味なことはしないタイプだ。なんとなく分かる。


 〈……なんか意図でもあったのか?〉


 -<スキルの話とかしたいな~って>-


秘匿性が重要な話題で、極めて合理的と言える。むしろ、これ以外のコミュニケーションの方が傍受(盗み聞き)されやすいくらいだ。


 「さっさと来い」


 〈……今、話していい〉


 「胸を借りにいっちゃうね! 物理的に♪」


 -<フレキシブルな対応、感謝感謝雨アラレ……って分かるのかな?>-


返しのパンチがスゴイ気がするが、気にしないフリをする。


 〈…よく知らないけど、感謝の気持ちを程良く濁したいってことくらい分かる〉


 -<バレバレだね~ 恥ずかしいよ>-


 思ってないんだよな……?


重音さん の感情も、この()から少しは感じ取りやすいはずなのに、釈然(しゃくぜん)としない。


 〈…スキルについての話だろ? 自分の方から明かしたがいいか? それともそっちからか?〉


 -<私から話ちゃおうかな?>-


 〈任せた〉


 -<私のスキルはね… 鎖を操る 能力だよ>-


 〈ほぅ…〉


事前情報が二つ名の『千里の鎖』だけで、納得感 半分、違和感 半分。


 たかが1m程度の 普通の鎖 を操れるだけだとしたら、


 ただただ物理的な攻撃力に富んでいるだけじゃ、


 誰にも負けない精密さ、精巧さがあったとしても、


 王族 と契約できるわけがない


『鎖を操る』なんて言葉通りなだけってのは有り得ない。


 -<大正解だよ、アマノン♪>-


 〈……〉


心の中では何も言ってないハズなのに、心を読まれたようだ。


 「こういったのはどう?」


重音さん はそう言って、足技を多く使い始める。


 「今、剣技の時間だろっ…!」


 「実践想定しなきゃでしょ~」


 -<特に最初のが惜しいかな~ 正解は、私と深くまで繋がった鎖で王宮内をくまなく監視できるから、だよ。 考えてる アマノン も好きだから、答えを言うか迷ったよ~~うん♪>-


 「……」


 〈……まて、まてまて……〉


 -<どした~~?>-


 〈王宮内全域を……一人で???? 規模がバカげてる…… 理由でもあるのか?〉


 -<あ~じゃあ、ヒント 質量は限りなく()()()()()>-


 〈……そりゃそうか…〉


質量・エネルギー保存の法則は 初代勇者 でも破れないルールだって聞いていたから、少し取り乱した。


 質量がなかった(そうだ)としても、異次元なことには変わりない


トンッ……


 「はい、私の勝ち~ 賭け試合にすれば良かったな~」


 「……」


 待てよ……?


正直、それどころじゃない。


 〈…なぁ、どこまでできるんだ?〉〈監視って言うからには、見えるんだろ?〉〈五感と全部と連動するってことはないだろ?〉〈探したいヤツがいる〉


 「ア~~マノン」


重音さん は少し離れて構えていた。剣術に一切やってなかったのが丸わかりな構えだが、何というか重みがある。


 「次は勝負しようよ♪ 負けたら勝った人の命令聞くってやつ」


 -<ごめんね、アマノン。 こうでもしないと目立つからさ…>-


 「……あぁ、やろうか」


 〈こっちこそ、悪かった〉


少し、(はや)った。喉から手が出るほど、求めていた能力だと思うと仕方ない。


 -<あんまり焦っちゃダメだよ? 順番に説明するね?>-


 〈…ありがとう〉


手加減ありの剣試合なんて茶番だった。説明を聞く余裕がある。ありがたい。


 -<私の鎖には二つの形態があってさ、物質として存在する状態 と 精神エネルギーみたいな状態 があるんだよ。面倒だからエネルギー状態って言わせてもらうけど、エネルギー(その)状態で触ったら、感覚情報として私に伝わるし、逆に情報を渡すこともできるよ。 今みたいにね♪>-


なんとなく理解する。エネルギー状態の鎖のおかげで、心も読めるし、今聞こえる重音さんの(心の)声も発せているということらしい。


 とんでもねーな……


 〈…入ってくる情報は?〉


 -<選べるよ~ 基本使うのは、触覚的な空間認識能力と心が出す匂い的なのだね>-


 〈触覚…と 心の匂い?〉


 -<そう、王宮内を鎖で満たしたら動いてるのが基本人なわけでさ。感覚としては…… 手の上で小人が動いてるみたいな感じ、かな?>-


 〈なんかむずがゆいな…〉


 -<慣れだよ 慣れ。 あと、心の匂い は、ポジティブな感情持ってるか、ネガティブな感情を持ってるか、が鎖を通じて伝わってきてさ。 集中したら心の奥底まで聞こえちゃうから、意識しないようにすればいいだーけ>-


 〈……頭パンクしそうだな〉


 -<そこは取捨選択だよ~ どうでもいい情報を、いかに思考力を使わずに無視するか。 その訓練をずっとしてきたんだよ>-


 〈……それでも、寿命削りそうだよな…〉


継続時間にもよるが、人間のキャパシティを容易に超えそうな情報量だと予想できる。オーバーワークなんて一度や二度じゃないハズだ。


 -<削ってると思う。 でも、意味があったよ>-


 〈…聞いておこう〉


 -<アマノン にこうやって会えたことだよ。自分を褒めたいね~よくやった 私>-


 「…………」


 次に気になるのは、 実用性(人探しに使えるか) だが


 -<探知能力 が、気になるって顔してるね~>-


 〈説明してくれるか…?〉


 -<もちろん、いいよ~~ ただ、人探しってさ、王宮内の監視と違って、心の匂い を漫然と感じ取っても分かるものじゃないでしょ?>-


 〈まぁ…そうか……〉


 -<アマノン から身体的特徴を聞いて、触覚的な空間認識能力(の方)で探していくと思うから… エネルギー状態の鎖を王国内に放って、30秒くらいでスクリーニングできると思うよ>-


 〈すごいな…〉


あっさりできると言うが、30秒なのが逆に怖い。


ヴォン…!!


半透明な人型が現れる。レイン がやった幻に似た虚像。透けている。


 〈…これは…、俺かな…?〉


 -<そうだよ~。 こうやって、怪しい人は見せれるから アタリか 判断できるでしょ?>-


 〈…あぁ〉


 -<アマノン の記憶を見せてもらったら、その友達だって作れるよ~>-


 〈…………〉


まさに、求めていた能力。いや、それ以上。120点の力だ。デメリットがないのか疑ってしまう程…優れている。


 -<デメリットは…ないけど、毎日、休みなくの探知作業は無理かな……>-


 〈そこまでさせるつもりはない。 国外だとどうなるんだ?〉


 -<外か~… 一回しか行ったことないけど、サンサン王国 くらいの規模だったら、どこでも探知できると思うよ>-


 〈契約 はどうなんだ? 外に出ていいのか?〉


 -<アレは仕事ってだけだから、そうじゃない時は いつでもいけるし、王国からでも、ある程度なら外の探知もできるよ~>-


 〈そうか……〉


 -<ねぇ、友達(探し人)について知りたいから、アマノン の記憶見ても良い?>-


 〈…あぁ。あとで、な〉


今は、講義中だ。流石に 重音さん に探知させたら マサキリ先生 に悟られても不思議じゃない。


 -<今すぐにでも、調べて欲しいって顔に書いてるよ♪>-


 〈…今はダメだ。 こっちのスキルの話だってしてないし…〉


ドクン…!


 《オレを捕まえてみろ》


なんでか頭が熱い。不意に、悪友(マキ) との最後の会話が断片的に蘇る。


 -<気分じゃないでしょ? 顔色悪いよ、アマノン>-


 〈…こういう顔なんだよ、悪かったな〉


ドクン…!!


 《鬼ごっこ開始だぁ  また会おうぜ、親友》


忘れられない別れ台詞だった。


 -<…そろそろ、決着付けないといけないみたい>-


重音さん の心の声と竹刀の力みで、我に返る。


 〈俺の負けでいい…〉


 -<…分かった>-


パァーーン! バタ……


竹刀が派手に飛ばされる。膂力(りょりょく)的にはおかしくない決着だ。


 「ごめん、勝っちゃった」


 「…………負け…か」


 〈ルールはルールだ。 願いを聞こう…〉


 「あーー、願い事ね。 また後で言うから楽しみにしててよ♪」


重音さん は飛ばされた竹刀を拾いあげて、俺に渡す。


 「はい…」


 「……」


 -<探し人 のこと教えて、今からでも探すから>-


 〈……俺のスキルは【ブースト】だ。名前の通り強化系だが、大した変化はないし、対象は自分だけで本当に夢がない。 でも…、とっておきがある〉


 -<……>-


【ブースト】(俺のスキル)なんかが、釣り合うものだなんて思えなくても、重音さん の誠意には誠意で返したかった。


 〈同じ対象には使えなくなる代償はあるが、通常じゃできないパフォーマンスまで引き上げられる〉


 -<へぇ…面白そう♪>-


俺のスキルが唯一持つその性質をマキ と見つけて、【集約】と名付けた。これは、他の誰にも言ってこなかったし、見せる機会がなかった。


 〈俺なりの誠意だ〉


 「アマノン はいつだってカッコイイけど、今はまた格別だねぇ~~」


 -<ありがと、アマノン>-


 「……」


重音さん の褒め言葉は、やはり慣れない。自分から誠意見せたのはいいとしても、変にカッコつけたのはミスかもしれない。


 -<アマノン の持ち味なんだよな~~。 あぁ、たまんない…!! カッコ良さ と 可愛さ だね>-


 「あんまり好き勝手言わないでくれ」


 -<こっちの声が聞こえてるの忘れてたー ごめん>-


 〈…うっす〉


重音さん の声に乗せた感情からも本心のようで、ペースを乱される。だが、言うべきこと(お願い)を忘れたつもりはない。


 〈マキ っていう悪友を探してる。フーマ と名乗っている可能性もある。前会った時は白髪に変わってて、背丈は170くらいだった。後は、最後に会った時のことを [思い出石] に保存して渡そうか?〉


 -<ううん、直接聞かせてよ>-


 「こら、2人共。こそこそ内緒話してるのは分かってるんだぞ。さっさと次の相手のところに行きなさい」


流石に、だらだらしていたせいか マサキリ先生 に注意される。


 -<切るね! またね♪>-


 あ……


重音さん に「お願いします」の一言を言うタイミングを逃したのは気になるが、次の相手が来ていた。


 「よろしく! アマノ君!」


 「よろしくお願いします…」


コウヤ だ。剣術は見た感じほぼ初心者。


 なんか嫌な予感がする……


『勇者』の初の稽古だ。何も起きないと、逆に怖い。その ザ・かませ犬 ポジションに自分がなりそうで仕方ない。

~新情報まとめ~

・重音のスキル…鎖を操る力。鎖には二つの形態があり、物質の状態 と エネルギー状態 がある。エネルギー状態で触ると、感覚情報として重音に伝わり、逆に情報を渡すこともできる。鎖の大きさがとんでもないこと、他にもできることがあること、スキルの名称が未公開なことが現状判明している。

・アマノのスキル【ブースト】…自己強化スキル。対象を限定することでピンポイントで力を引き出せたり、武芸の技などを対象にすることもできたりと工夫できるが、アマノ のスペック故に活躍の場面はかなり限定的。【ブースト】の切り札である【集約】では、(対象を)二度と対象にできない代わりに通常時では成し得ない高次元の領域に至る。効果は一瞬でしかないこと、その至る領域さえもスペックに依存するためかなり燃費が悪い 切り札 となっている。


~~~~~~~


   更新は調整中!


活動報告にXを、質問受付をマシュマロで、そして、noteに裏話や設定などの場所を設けています!

X(Twitter)→https://twitter.com/kahiketu

マシュマロ→https://marshmallow-qa.com/44wphdt82wjcq0v

note→https://note.com/kahiketu/


アルファポリスで【解放】を約4年かけて完結!!

【解放】→https://www.alphapolis.co.jp/novel/872985425/671478042


また、TALTOの方で【解放】のTRPG版アナザーストーリー【解放〇】を掲載中!

【解放〇】→https://talto.cc/projects/IigrzQxXtenCvrZKmVcYD

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