年上女性と添い寝したと知ったら、どう思いますか?③
~前回のあらすじ~
『千里の鎖』のカサネ に気に入られたせいか王様に招待状をもらった アマノ!
そんな話をランニング中の カサネさん がしたから、マサキリ先生 は練習量を増やしたヨ。
ちょっとした休憩のターン! それぞれの想いが交差する!!
in食堂
あの後も結局、地獄を3度見る羽目になった。ランニング中に中断した カサネさん だけでなく、自分と ジロウ までもが3セットだ。
「アに…キぃ… 超眠い……」
あの地獄を乗り越えて、シャワーを浴びて、ご飯を完食できるコンディションなのは、マサキリ先生 の絶妙な虐め加減あってこそ、だ。
〈シャワーのおかげで汗の気持ち悪さからも解放され、運動後のやり切った感と満腹感で眠たくなるのは当然だわな…〉
「シャワーあって良かった~~気持ち良かった~」
本来部外者である ジロウ も カサネさん もシャワー室を借りることができた。関係者は(俺以外)全員権力モンスターだ。
融通が利いて当然だよね~(白目)
「初代勇者 が建設時に、強く希望したらしい…」
「学校も綺麗よね…」
「まぁ、50年記念で綺麗にされたばっかりだしな…」
zZZ……
「…………」
ジロウ が放っておいたら寝るくらいの覚醒レベルだ。
ガバッ!!
「危なっ、今寝てた……!」
「…別に暇なら寝てもいいんじゃないか? ヨウさん でも呼ぼうか?」
「イヤっすよ……あそこ…自由ないん…すよ」
「外でも大したことしてなさそうよね、アンタ」
「なんで喧嘩腰なんすか…?!」
「見るからに子供っぽいし」
「ア‘‘ー!! 言っちゃいけないこと言ってるっすよ!!」
「うっさいわね……」
この2人でここまで衝突するとは思わなかった。これ以上はマズイよ判断する。
「それくらいで止めてくれ……。 カサネさん 今のは良くないよ…」
「ごめんなさい。 ジロウ様、すみませんでした」
「お…いや、そう言われるのもなんか違うんだけど……しっくりこないわ…」
カサネさん みたいな対応は…女子では割とあったりする気がする。レベルが低すぎる男子を前に、見下すような言動。
誰も得しない態度には間違いないのだが……
「誠に申し訳ございませんでした」
「いや、いいよそんな求めてないし」
「で し た !」
「圧強くね!??」
「そんなことないよね~~アマノン♪」
「……」
〈カサネさん、俺が怒ることを計算に入れて、さっきの態度してそうなんだよな……〉
さっきからこっちにも圧が強くなっている。好きの気持ちが強くなって、前面に出る人はいるがここまで激しいのは稀だろう。
「落ち着いて下さい……」
「私はいつだってクールだよ」
「猫かぶり…(ボソッ)」
「な~に~?」
シュン!!!
「わーーっっ!! スキル 使ってきた! 狂暴だって、この女!!」
「何 独りではしゃいでるの~? 何もしてないのに~」
「あったま来た! 〖サモン〗!!」
眠そうな『レインボーキャットラ』が呼び出される。夜行性なので当然だ。
「オレ と レイン の究極奥義かましてやりますわっての!!」
「猫は可愛いけど、ここ食堂だよ? 良くないと思うな!ペット禁止って書いてあるよ」
「うちの子は毛が落ちないんですーー! ばーか」
「…………」
〈……本気の喧嘩って訳じゃなさそうだな……〉
ジロウ の愛猫レインは主人が緊急性のないことで呼んだことを察してこちらに寄ってくる。自分のとこにいたら、変に構われないことを感づいているのだろう。
「…触っていいかな?」
手をそっと近づけると、閉じていた瞼が僅かに開いたかと思うと、ゆっくりと閉じていく。下に向いたヒゲを小さく揺らしていた。
サラサラ…
ルナさんから引き取った猫が、この レイン だ。直ぐに、ジロウ に引き渡すことになったが、ほんの僅かなお世話の時間を憶えてくれているようだ。
「え、ずるーーい!! アマノン、私を撫でて!」
「…猫に嫉妬してるのかよ…」
「しちゃだめ~~? ほらほら、サラサラモチモチツヤツヤだよ」
ぐぃいーーー
「近いぞ…」
レインを触っていない方の手で、迫って来た カサネさん の顔を遠ざける。
「…ごめんごめん。でも、なんでスキンシップしたがるか分かる?」
カサネさん は押し付けられた手を、愛おし気に両手で包む。
「……さぁな」
「……」
ジロウ も、カサネさん の雰囲気の変化に察してか、少し黙る。
「じゃあ、一般的な男女がスキンシップを多くしようとする理由は……?」
これなら分かるでしょ?と瞳が言っている。
「……触られることは、パーソナルスペースを侵害する不愉快になりやすい行為だ。それをできるってだけである程度の関係値が確認できる。 頻回にスキンシップを行うのは、その先のステップを見据えての確認作業と考えられる。 まぁ…他にも、温もりを感じたいだとか、言葉にできない衝動的なものだとかだってあるから、これだけとは思わないが……そんなところじゃないか?」
「うんうん、良いと思うよ。 関係値の確認作業。 さすがだね、それもあるよ」
「……それ以外か…」
「まぁ、考えても出るもんじゃないから、『答え』言っちゃうね。 関係値の確認作業は、確かにしてるけど、私は、その先のステップを見据えてなんかない」
「………」
「げっほげっほ……!!」
「アマノン だってそうでしょ? 性交渉なんてどうでもいいって思ってる」
「……そんな時間ないわな…」
性交渉は…個人的にはゴミだ。性に向き合う時間は、限りなくゼロな方が望ましいと思っている。
だって……
家族 のこと、マキ のこと、カサネさん のこと、勇者 のこと、自分の生活、人生のこと。時間なんていくらあったって足りないのに、そんなことで現実逃避している暇なんてない。
「アマノン が抱えてる問題を、全部、解決しちゃおうか?」
「…勝手に心読まないでくれ…」
「……???」
「ごめんね、アマノン でも顔に書いてあったから」
「……本題に戻ってくれ」
「えっとね。 まぁ大して性交渉は興味ないってのもあるけど……私、知ってるんだ……」
なにを…?
カサネさん は変にもったいぶる。
「…っへっしゅん………ごめん(小声)」
「……」
ジロウ が空気読まずにくしゃみをすることは読んでなかったのか、カサネさん は少し眉を顰めるが、何事もなかったように続ける。
「私はね、アマノン と結ばれないってこと」
「………なんでそう言い切るんだ」
「初代勇者 の [思い出石] で言われたの」
「……っ!」
コバヤシ兄妹 にもメッセージがあったんだ。カサネさん用 があっても、不思議じゃない。
「運命の相手とは、相性は良くても結婚はできないし、長く一緒にいれない。 接し方を間違えたら、相手にもされないんだってさ……」
「……」
「っていうのはウソなんだけど~~」
「おい…!」
「ウソなのかよ!!」
「ホントに言われたことは、胸にしまってるよ。少し前のことだけど、鮮明に憶えてる」
「……」
「…ウソつきはいけねーんだぞ」
「言われたことペラペラ話したら、占い的な効果が薄まりそうでしょ? ね~アマノン♪」
「………」
「それは置いといて……。 性交渉をゴールとする人たちがいるけど、そうじゃない人の多くは、パートナーと思い出を作ること。 私もそっち側ってだーーけ」
「……」
「なんだそれ…」
「だって…こうすれば、嫌でも意識するでしょ?」
カサネさん が俺の手に軽く口づけする。
「スキンシップなしだと、どうしても印象に欠けるんだよ。 アマノン にとって私は、意中の相手ってわけじゃないんだし、少しでも意識させないと直ぐ忘れちゃうでしょ?」
「……」
「最大限目立つためなら何だってするつもりだよ☆ アマノン の思い出に居座ってやるから覚悟してね♪」
《オレはさ、世界の歴史に名を刻むくらい デカイことしたいんだよ》《オレは、世界をひっくり返すの男になる》
「………」
マキ の言葉となんでか重ねてしまう。
「そこそこな告白されちゃってますよ…! 返事しないとアニキ……!」
「あ~……。カサネさん は自分のパートナーになりたいってことですよね?」
「そうだよ~~」
「な、なんで自分なんですか?」
「精神性。 他の誰でもなく、今のあなただったから惹かれた。 大好きだよ。本当にね」
「……」
酔っ払ってるうちに好かれたのが、特に良くないと脳裏をよぎる。
「酔っぱらってたとか、関係ないよ。 私、心の奥底まで読めちゃうんだよ? だから、誰よりも アマノン のこと理解できると思うよ」
「は…はは」
「他に質問ある? ないなら、返事欲しいな」
「……」
返事。つまり、カサネさん の友好関係を持つか、キッパリ断るか。
「アニキ…ここはビシッと決めないと……!」
さっきまで争っていた2人がこういう時は仲が良いように思える。
そんなことより、答えを出さないといけない
「……悪いな、時間がない」
「抱えてる問題を解決するって言っても…?」
「カサネさん 程の影響力があると、逆に難しいと言うか…」
「んーじゃあ、金銭的援助は?」
「返す当てがないし、そういう付き合いはしたくない」
「アマノン に使わなかったら、私の給料、ただの紙切れの山になっちゃうよ?」
「自分自身に使うか、誰かへの資金援助でも、何でもあr」
「持っていても腐るだけのお金を、友達に渡してハッピーになる可能性が拓けるだけで、使った価値があるんだよ。 だから、見返りなんて求めてない」
「じゃあ貰おうってなる訳ないだろ!!」
軽々しく口にする資金援助は、巨額な金額である可能性が高い。下手に借りを作るのは、リスクしかない。
〈っていうか、相手とモノが悪い……。貰いでもしたら、もしかしなくても吐く〉
「頑固だな~~」
「好きに言ってくれ……」
本質は金銭の問題じゃない。
関わり方だ
好意に真摯に向き合うなら、それ以上が有り得ないのなら、関係をバッサリ切るのが優しさだったりもする。
〈マサキリ先生 や 王様 だって、カサネさん に優しく対応してくれとは言ってるようなもの…〉
「ただの友達でいいんだよ? あなたの負担になるつもりはないし、相手してくれるだけで幸せだから」
これが 本心 だって疑う余地がないくらい純粋無垢で、腰も、目標も低すぎるってくらい低い。
カサネさん の想いは、仲良くしたい、ただそれだけ
〈切れねぇ……………………〉
誰も悪くないと言う、この状況が、一番胸を苦しくさせる。
「アマノン は分かってるだろうから、私が言うだけ苦しくさせちゃうかもだけどさ。 私の唯一無二の理解者なんだよ」
「そんなこと……」
「あるよ」
ナニカ が満ちる。
「だってさ…、人とか、悪とか、性とか、死とか、全部全部どうでもよくて。 力があるなら、私を含めて、全部ぐちゃぐちゃにしてしまいたいこの情動も。 理性が織り成す自然の極致に心の底から共鳴するこの想いも。 アマノン 以外の誰とも分かり合えることのない心の闇だよ」
ジロウ が驚きのあまり言葉を失っている。なんとなく闇に気づいていたからこそ、衝撃は少なかったが、返答に困る。
「……俺は…」
「分かってるよ。全部理解できるとは思ってないし、アマノン の闇は、私とはまた別だってことくらい」
食い気味で否定されたような感じだ。まだ なにも言っていないのに、だ。
「ただ さぁ……100%好きな人は、初めてなんだよ……。 人ってさ、好きな人を勝手に、自分の理想にはめ込んだり、妥協して嫌いな所を見て見ぬふりしたりって良くするんだよ…。 本当に好きな人なんてできないって、ずっと思ってたからこそ、アマノン は特別なんだよ…」
心を読める人が言っていることだ。9割以上は、その通りだろう。
「…まぁ、他人の心を無許可で見透かすのは、いただけないな」
「ホントごめん。 最初はさ、もしかして あの人ならって思いで心を読んだんだけどさ。それ以外は控えてるよ」
「…本当か?」
それにしては心を読まれ過ぎている。そんなに分かりやすいか?と顔に浮かべて ジロウ を見る。
「……どうかしました?」
「ふっ…」
「バカにされてるってことくらい分かりますよ!!」
「…アマノン は、分かりやすいよ。心が真っ直ぐだから。 あと読まないようにしてても、空気で察しちゃうこともあるから、不快にさせたならごめん! 不快にさせないように心がけるからさ…」
見捨てないで……
「……」
〈その眼はナシだろ……〉
「………分かった。話し相手くらいにはなるさ」
「本当にありがとうね、アマノン」
こういう時の感謝では、あえてスキンシップをしないと来た。緩急をつけてのあえてなのか、偶々か。どこまでが計算されてるか分からない。
「あ、重音さん じゃなくて、重音 って呼んでよ」
「…重音さん…で……」
「今はそれでいいよ。いつか呼び捨てさせるね」
「ウヒャーー甘酸っぱい!(高音)」
ガチャ……
「えっと……どういう状況?」
「…アレ? ここはどこ? あ、ジン と アマノ君 だ」
「……」
〈まさか異世界組がここで揃うとは……。説明は長くなるな……〉
重音さん と ジロウ に説明を任せるわけにもいかず、順を追った説明に気が滅入る。レイン が一番の癒しとなるのだが、視界の隅では黒い封筒が「忘れるな」と主張してくる。
更新は調整中!
活動報告にXを、質問受付をマシュマロで、そして、noteに裏話や設定などの場所を設けています!
X(Twitter)→https://twitter.com/kahiketu
マシュマロ→https://marshmallow-qa.com/44wphdt82wjcq0v
note→https://note.com/kahiketu/
アルファポリスで【解放】を約4年かけて完結!!
【解放】→https://www.alphapolis.co.jp/novel/872985425/671478042
また、TALTOの方で【解放】のTRPG版アナザーストーリー【解放〇】を掲載中!
【解放〇】→https://talto.cc/projects/IigrzQxXtenCvrZKmVcYD




