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年上女性と添い寝したと知ったら、どう思いますか?②

~前回のあらすじ~

不法侵入者(?) カサネ と結んでいた契約をなんとか破棄するも学校への報告が残っていた。

カサネ が アマノ にどう絡んでいくのか、困らせるのか、喜ばれるのか……

アマノ の スキル が明らかになる第4話!!?

in英雄大学 校庭


 「はぁ……はぁ……」


足が重い。大学(ここ)に来て、少しは体力がついたと思っていた。


 「…も……むり………」


ジロウ と一緒にトラック()を走っていた。


 「よし、あと一周で休憩だー」


マサキリ先生 が対応してくれたのは良かったが、「まず、走ろうか」って言われるなんて思わなかった。


 <あと、こうも簡単に ジロウ を引っ張り出せるとは……>


 「ムリっす!! せめて……半分…!」


ギリ並走していた ジロウ が マサキリ先生 の元へ駆け寄る。


 「そうですか そうですか。なら、これを着なさって下さい」


 「…え…?」


 「あ…」


10mくらい離れてしまったが、関係ないだろう。


 「か、体が羽のように軽いっ!!」


 「ジロウ様 10周追加~~」


[過労服(パワードスーツ)] と [気を張りリング] の併用だ。


 「お先!!」


 「…あ……」


あっという間に抜き去られる。それができるほどエネルギッシュなのは間違いないが、デメリットはある。


ヌゥ…!


 「さて、直接お話しするのは、二度目かな? アマノ・ケンリュウ君」


 「…はい、二回目です」


自分なんかを憶えていてくれたことの衝撃は大きく、少したじろぐ。あと、マサキリ先生 に何食わぬ顔で追い付かれて並走されるのも、心臓に悪い。


 <でも……>


引け目があった。父の褒章うんぬんで誘われただけのパーティーでしかなく、自分自身の力じゃない。接点こそあれど、見知った他人みたいなものだ。ほぼ他人だって分かっている。


 「憶えていて下さり光栄です」


 「……私がなぜ走力を意識してるか覚えているかい?」


マサキリ先生 は鍛錬でよく走らせる。それは……


 「『緊急時に体力が満タンってことはそうそうないし、機動力がなければ何もできない』……ですよね?」


 「あぁ、その通りだ」


マサキリ先生 の望む回答ができて良かったと安堵していると、限界ギリギリなのを身体が訴え始め、一気に息苦しくなる。


 「苦しそうだね… [気を張りリング(リング)] でも使うかい?」


 「遠慮…しときます…」


[気を張りリング] は疲労を含めた()()()調()から一時的に俺達を解放してくれる。


 でも、健康の前借り 明日にそのツケが回る


そして、[パワードスーツ] のデメリットもヤバい。たしかに、運動量が一時的に増えるが、筋疲労が激しくて長くは持たない。やべー筋肉痛によって、この後、立てなくなる未来は確定したわけだ。


ジロウ は実物を知らなかったんだろう。ほぼ間違いなく、経験したことがない。


 「これをして欲しかったのにも理由があってね。 辛いだろ? これの代償」


 「……はい…」


 「そういった負の経験は慣れておくといい。 体は虐めるものだよ。 ハッハッハッ…」


 「はは…」


そう。初代勇者 の魔王討伐隊に最年少でチーム入りするような人だ。普通な訳がない。並み大抵の努力じゃないに決まっていた。


 「付け ます…」


 「…強制ではなかったが……やる気になってくれたか」


 「はい」


理想のコーチが指導してくれるんだ。こういった愛の鞭はありがたくいただくべきだ。


 「何周だって行けるぜ~~~~」


 「……がんばれ~」


[気を張りリング] で大分余裕ができる。ジロウ の走りを他人事のように見れるくらいには。


 少し気になるのは……


 「…[パワードスーツ(スーツ)] はいいんですか?」


ジロウ と違って、[気を張りリング] だけでトレーニングしていいのか、ということだ。


 「……体は順調に出来上がっているよ。 それより、スキル を使ってくれ」


 「…分かりました!」


返事はできるが、思うところはある。


 ほぼ確実に、自分の体の成長限界がそんなに遠いわけじゃないんだろうな、と


そして、スキル はあまり使()()()()()()()()


 【ブースト】 >自分<


わずかに足が速くなる。


 本当に、それだけなんだ


違いが僅か過ぎて、マサキリ先生 が気付いてくれないかもしれない。


 「スキル 使いました…」


 「あぁ。私を気にせず、走ってくれ」


こんな ゴミスキル 他にないだろうと思っている。本当に、誤差レベルのパワーアップ。


 強い奴や達人が使えば、その誤差でさえ武器になり得るのだろう


 <でも、使い手もゴミクズだったら、救いようがないだろ?>


ずっとそう思って人前で使わないようにしていた。使わざるを得ない時があっても、使った恩恵は大したことない。


 何をとっても一流にはなれないし、英雄なんて成れる器じゃないことくらい… 15 の時には分かってたよ……


 「よし、アマノ君 は休憩しようか。 スキル をもっと使っておくことをおすすめしよう。まだまだ伸びしろがあるんだ」


 「…ありがとうございます。 頑張ります」


 <伸びしろって… 0.1 が 0.13 くらいなんだろうな…>


 「あと、もっと自信を持った方がいい」


 「…!! そんなに自信なさそうにしてますか?」


 「……自分を信じていない、好きになれないってのは、話せば伝わってくるもんだよ」


 「………改善に努めます」


 「意識してすぐに好きになれるものじゃないだろう? 心も虐めて強くするのは賛成だが、負荷をかけ過ぎたり、ご褒美がないと心は潰れてしまう…」


 「はい…」


 「ゆっくりでいい。 何と言っても、アマノ君 の周りには友達がいっぱいじゃないか」


 「そんなにいないですよ…?」


学校では大した友人はいない。そんな風に言われたことは初めてだ。


 「ジロウ様 や 勇者様 達とも仲良さそうだったじゃないか」


 「……彼らは……その、ちょっと違います」


 「違わないさ。君を想う人がいるってことは、憶えておくといい」


 「……」


素直に喜べない。


 「自分自身を嫌いになることもあるだろうが、()()、好きになれるよ」


 「ありがとうございます…」


『必ず』って言葉が、眩しかった。マサキリ先生 だったら『必ず』なだけで、自分に適用されるかと少し疑ってしまう。顔に出してはいけない。


 「…必ずだよ。私は確信を持たないと、断言しないクチでね」


 「…なにか確証があったんですか……?」


 「勘だよ。 あとは、友達に恵まれているからだね」


勘なのかよ!と思う以上に、『恵まれている』発言の方がしんどい…。恵まれているんだったら、あとは自身の努力不足と言われているようなものじゃないか。


 「は、ははは…」


 「走ったぞーーー!! 脱ぐぞ、この服」


 「あぁ、脱いだらこっちに持って来てくれ」


 「楽勝… !! いててててて……!!!」


ジロウ は [気を張りリング] を先に外したようだ。まぁ…、[パワードスーツ(スーツ)] を着た時点で運命は決まっていた。


 脱いで10秒経たずに全身を襲う筋肉痛は、自然になる筋肉痛(それ)とはレベルが違う


おしまいだな。


 「仕方ない」


マサキリ先生 が ジロウ の近くに歩み寄る。


ガシィ…


 「ひぃーーたっぃい……」


 「我慢して下さいよ…?」


もみもみ………


 「……だいぶ…いい……」


 「まったく…鍛えてなかったですな」


 「いや~~、筋トレってキツいし…?」


 「体の使い方を 最低限 知っておかないと、大切なモノを失いますよ」


 「ここまでしなくても…」


 「何事も経験ですよ…ジロウ様」


ヨウさん といい、マサキリ先生 といい、ジロウ は愛されている。


 「ジロウ これくらいなら、いいだろ?」


 「分かったって……いいよ、これくらいなら…」


 「そう言ってもらえて嬉しいです。では、もう一度もいけますよね?」


 「…まじですか…?」


 「もちろんですよ。 しっかり休んだら、さっきと同じで、気付いたら終わってますよ」


 「ははは……」


こうなっては マサキリ先生 から逃れる術はない。そして、ジロウ は知らない。こうなった マサキリ先生 が言う『もう一度』や『ラスト』は、トレーニングの終わりを意味しない。


 「さて、少々強引な流れだが、昨晩のことを ジロウ様 から少しは聞いているんだ。アマノ君 からも教えてくれるかい?」


 「…えっと……」


マサキリ先生 が ジロウ の自由行動をどこまで知っているのか知らない。ジロウ の顔を見る。引きつるように微笑んでいる。


 嘘は必要なさそうだな…


 「ジロウさん に誘われて食事をしていたら、異世界人を自称する男女とお話しすることになり、気付いたら自宅にいました。 お酒は飲まないようにしていたので、飲まされたんだろうなって思ったら、隣に カサネさん がいました。自分でも、よく分かっていません」


 「うんうん。じゃあ、ジロウ様 が コウヤ君たち を会わせたのに理由はなんだと思うかい?」


 「初代勇者 について少し詳しかったので情報提供者として紹介されただけです。 今度一緒に博物館にいくつもりです」


 「そうか、ありがとう」


先程までの マサキリ先生 とは、笑みや相槌が違う。まるで、事務的。


 <あ…盗聴器のこと言ってないわ……>


 「ジロウ様、 隔離市 で起きたこと、もう一度、説明 お願いします」


 「あ、はい」


 「…………」


確信する。


 マサキリ先生 が王族から、探り入れろって言われるやつでしょ コレ


そう考えると冷や汗が出てくるが、ジロウ の話に集中する。


 「隔離市に入ったら、『勇者』たち は生理的に無理だったらしくてギブアップ。 アマノさん はトイレから帰ってこなかったんすけど、ヨウ と メイアさん に掴まって、そんまま帰りましたよ」


 「………」


隔離市 の空気は独特だ。あそこには獣人がいる。 獣人は温厚な人が多く、人間より力が強かったり、五感が優れていたりと、スペックは上だ。そう、上位互換だ。


 飢え を制御できず暴れることを除けば


対症療法にはなるが、注射を用いられることがある。強力な鎮静剤だ。回数を重ねたり、個人差だったりで適量が異なる。


 人間の精神病棟でも起きていることらしいが、倍量投与や押さえつけなんかが日常茶飯事だ


それは見てて気持ちの良いものじゃない。だから、相当人を選ぶ。


 「だから行くな言ったのに……」


 「アマノさん から言ったじゃないっすか」


 「いや、それはないだろ…」


 「酔っぱらう前は半ば冗談で、行こう行こうって言いましたよ、そりゃあ…。でも、アマノさん マジな眼でオレらの方見てきたんで誰も反対できなかったんすよ」


記憶にない…が、「記憶にありません」なんて言っても仕方ない。


 「……酔わないために飲まないんだけどな…」


 「さーせんした」


 「こういう舐めてるとこ、良くないですよね。 今回のは結構許せないライン超えてます」


 「アマノ君 の思うようにしていいよ。 私が肩を持つから」


 「そ、そんな……で、でも、仲良くなれて良かったって思いません??」


 「こっちの苦労(気持ち)考えてくれ!!」


 「…う……ごめんなさい」


 「楽しみにしとけよ? 恨まれるってのはどういうことか知っておいた方がいい。いい経験だよ」


 「アマノン を怒らせたの? じゃあ、私も怒るね」


 「!!」


 「やほ」


急な背後からの登場はビビる。


 「は…ははは」


来るとは思っていたが、早過ぎる。心の準備もできていない。


 「アマノン …大丈夫? 思ったより、キツそうだね? マサじぃに文句言おうか?」


 「やめて…下さい」


 「敬語なんていいのに~」


 「案外、早かったね。アマノ君 と仲良さそうで安心したよ」


 「久しぶり、マサじぃ。 ホントに仲良しだから、邪魔しないでよ?」


 「カサネ 聞いたぞ。アマノ君 を困らせてるらしいな」


 「そんなことないよ~~、ねーー?」


 「……はは」


これはこれで、返事に困る。正直なところ 朝起きたらそこにいただけで、それ以外の実害がない。困るとしたら、彼女に関係する()()()()()が、自分をどうしてくるかだけだ。


 「カサネ 走ってこい。2人は30周させた」


 「えーー疲れるし、ジロウ の居場所教えたじゃーーん」


 「…いつもワガママ聞いてるよな?」


 「アマノン! 行ってくるね~~」


 「は…はは」


 「 () は使うなよ?」


 「はいはい…」


カサネ は思った以上に素直にトラックを走り出す。


 「…アマノ君」


 「はいっ!」


 「カサネ を頼んだよ」


 「え……?」


 「そうっすよ、アニキ とお似合いっすよ」


 <ジロウ め……>


「どういう意味だ?」と思っても、問いただせない空気である。


 「…カサネは…君を本当に頼りにしているみたいなんだ…」


 「……そうですね」


カサネ の言動が飾り(ウソ)とは思えない。


 「だから、ほんの少しでいい。耳を傾けてくれ」


 「………」


 〈やめてくれよ…〉


 「私からは それだけだよ」


 それが1番困る…


 「……」


こう言われると、なるべくスルーしようと思っていた カサネさん に向き合わないといけなくなる。


 <目立ったり、付き(まと)われたりは、いい><家族(おばあちゃん) のことだってある><人質でもされたら溜まったもんじゃない>


 「そうだよね。 誰だって束縛は怖いよね」


 「…マジデ…ヤメテクダサイ…」


走っていたはずの カサネさん が真後ろから感じる。


 「ほら、契約してきたからさ。安心してよ」


[      ~契約書~

       契約者>タイヨウ・ミカド 重音<


以下の契約内容に同意したものとし、契約を反故してはならない。

・契約の絶対条件を守った上での契約であること。

・重音は国民並びに重音自身を守るためにスキルを使うことを約束し、スキルで人間を傷付けてはならない。客観的に正当防衛と判断できる状況であれば、その限りではない。

・重音は王族並びに重音自身の安全を最優先とするが、最善を尽くした場合、責任の一切を背負う必要はないとする。

・重音の労働時間は、王宮内のスケジュールと重音の体調や精神状態等を鑑みつつ、相談して決めていくこと。労働時間に見合った休養、金銭的報酬を用意すること。

・重音は守秘義務があり、見聞きした情報や労働時間、その他サンサン王国の名誉を傷付ける情報の発信を禁止すること。

・王族及び重音は、長期に(わた)る健全で良好な関係を双方が意識し、尊重し合った要求、言動を心掛け、相手に不利益となる可能性があることを知った場合隠し事をしてはならず、逐一(ちくいち)連絡すること。

・重音には発言、行動の自由が認められること。

・重音の精神や記憶、感情を蝕むような行為(毒物及び麻薬等の健康を損ねるものを服用させることを含む)を王族はよしとせず、重音の安全を保障すること。

・重音にとっての弱みと成り得るものを脅かすことをよしとせず、重音の日常を侵害しないこと]


 「……長いね…」


 「うんっとね…最後の一文だけ見てくれたらイイヨ」


 「……『重音にとっての弱みと成り得るものを脅かすことをよしとせず、重音の日常を侵害しないこと』? 弱みなんてあるの……?」


 「アマノンのことだよ~~」


 「……え?」


 「アマノン…?」


 「ふっ…」


 「そんでコレ! 王様からの招待状。会いたいってさ☆」


 「…………」


カサネさん は黒を基調とした金縁(きんぶち)の封筒を差し出す。そして、王家の封蝋(ふうろう)


 間違いなく、王族からの招待だ


頭が真っ白になる。


 ま じ で す か 


 「嫌だったら、その意思を尊重するよ! 私だって嫌だよ~~、イケオジとは言え、圧があるからね」


「イケオジなんて不敬だよ」なんてツッコむ余裕がない。

~新情報まとめ~


・[気を張りリング]…上限ありの状態異常対策。気を張ってるだけなため、外すか、翌日に、疲労が襲い掛かる。睡魔などの誘惑で使用者の緊張が途切れると効果は一気に下がる。

・[パワードスーツ]…別名「過労服」。即効性があり、運動量が一時的に増えるが、筋疲労が激しく長時間は持たない。持続時間が6分しかなく、6分を超えると激しい筋肉痛によって立てなくなる。筋トレ効果が増加する以外に大した使い道がない。注意点として、体がほとんど完成している場合、筋力増強効果は見込めない。


~キャラ情報~

・ハルガラ・マサキリ(65) 初代勇者の魔王討伐隊に所属していた。その実力、実績、言動から人望があり、国内外問わず有名人。現在は教師。カサネ とは長い付き合いで、隔離市に食べ物や物、情報などを渡す係をしていた。


~~~~~~~


   更新は調整中!


活動報告にXを、質問受付をマシュマロで、そして、noteに裏話や設定などの場所を設けています!

X(Twitter)→https://twitter.com/kahiketu

マシュマロ→https://marshmallow-qa.com/44wphdt82wjcq0v

note→https://note.com/kahiketu/


アルファポリスで【解放】を約4年かけて完結!!

【解放】→https://www.alphapolis.co.jp/novel/872985425/671478042


また、TALTOの方で【解放】のTRPG版アナザーストーリー【解放〇】を掲載中!

【解放〇】→https://talto.cc/projects/IigrzQxXtenCvrZKmVcYD

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