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檻の中の謝罪②

~前回のあらすじ~

コウヤ達 は伝説の三塔主『魔女』と遭遇したらしい!? 状況を確認すべく メイアさん に従い別室へ向かう アマノ。事態は、心情は、関係性は……どう変わっていくのか!

in留置場 面会室

場所を変えた。こうやって特別待遇してもらえるのも『勇者』の妹だからだ。移動中に会話はなかったが、メイアさん の服をぼーっと見ていた。


 〈……肌の露出を明らかに避けている〉


特に手や足、首元までしっかり分厚めの生地で覆っているのには……訳がありそうだと感じた。着座してすぐに メイアさん が切り出す。


 「…結論から言うと、皆 生きてるよ」


 「…………」


まず最低限は保証された。だが、まだ安心できない。相手が『魔女』なら、生きていても廃人にしたり、洗脳されたりがあるのかもしれない。


 「自信はへし折られたけど、心配するような()()はないかな」


 「……そうか」


 「私だけでごめんね。ジロウ と レイン は王宮から出られなくて、兄さん もやることに追われてたんだよね…」


 「……」


俺のことなんて気にしなくていいのにと心の底では思うが、大した反応もしてやれない。


 「不自然だったの。 遊ばれてた…。 『魔女』の目的を考えても…戦力の確認とか、足止めとか…ピンとこないんだよね……」


 「…………」


ガタァ…


立ち上ろうとする。もう話すことはない。『勇者』の関係で、『魔女』が何かしに来た。それだけなら、俺 が関与することは何もな


 「ジロウ君 が…『魔女』に連れていかれそうになってさ…」


 「!!」


 「実際はすぐ返されたし、王宮での検査でも何もなかったって言われてるけど……気になること、『魔女』から言われたらしくてさ…」


 「…………」


 〈気になること……〉


 「…あなた……似てるわね…」


 「……ま、き…………」


ぞわぞわぞわぞわ……


ジロウ に似てると言われて真っ先に思い浮かぶのは マキ だ。パズルのピースがハマってしまうような納得感があった。悪友だった マキ が自分の手の届かないところに行ってしまった、あの感覚は間違っていないと思えてくる。


 〈重音さん の報告も……〉


 《あのさ…報告があってさ。私の探知範囲を検証されてるみたいなんだよね。 無害な魔族を同時に探知範囲に入るように仕向けて反応を調べてるかなって……。それで、ちょっと強引に記憶覗いてみたらさ……》


 〈そういうことなんだろうな……〉


確信とまではいかなくても、繋がっていると直感が言っている。


 「欲しかったら [思い出石] で映像化しようか? 交戦の様子」


 「…………」


『魔女』と会うことがあるか分からないが、性格や戦い方、ジロウ と接触した状況も気になる。黙って頷く。


 「…うん、準備してきて良かった。ちょっと待ってて、今から作るから」


 「…………」


メイアさん は [思い出石] を取り出し、集中する。


 「ちゃんと食べてないよね?」


 「…………」


[思い出石] に記憶を込めながら話せるタイプの人間だ。かなり珍しい芸当なせいで驚いた。


 「食べないと死んじゃうよ…」


 「…………」


メイアさん の意図は分かる。死ぬつもりかの確認だ。


 「…良いだろ……別に……」


重音さん が死んでるんだ。いや、俺が殺してしまったんだ。


 〈食欲なんか……湧くかよ……〉


 「…そっか。 死ぬつもりはないと捉えるよ」


 「…死ぬつもりはない……?」


もやぁ……


急に沸点が低くなりそうな、感情が決壊する兆しを感じ、自制する。


 「あ、ごめん。 その、安心したくて…確認しただけ。 ごめん」


 「……あぁ」


 〈そうだよな。いや、当たり前だ。分かっていた……〉


俺まで死ぬかもって不安になって当然だ。俺が勝手に解釈しそうになったのは……こうだ。


 〈元親友であるマキ と 最大限の愛を捧げてくれた重音さん のどちらとも、意図しない形でお別れになったのに……()()()()()()()()()()


 死なない(その)程度の落ち込みで良かった


被害妄想が過ぎる。文章にしたら尚更酷い。少し冷静になれば、メイアさん がわざと挑発するとは思えない。


 「……もういいだろ」


スッ……


今度こそ立ち上がる。これ以上いても、良いことがない。[思い出石] くらい直接もらわなくてもいい。


 「会わせたい人がいるの…」


 「…………家族か?」


俺の家族か ジロウ くらいしかパッと出てこない。


 「嫌そうな顔しないでよ。 不快になりそうだったら、追い出せるような人」


 「…………」


 「…連れてくるね?」


バタン………


俺が無言でいると、[思い出石] を持ったまま部屋を出る。


バタン!!


 「酷いですよ、アマノさん!! わたし から 重音さん を奪うなんて!!!!」


部屋に入ってきた声の主は……すぐに誰か分かった。


 「…………」


 ココロさん…………


 「ごめん……引っ張り出s」


 その時、()()()()()()()


バッ……!


反射的に頭を下げる。綺麗な姿勢、誠心誠意気持ちを込めた最敬礼。


 〈ああ……やっと、わかった…………〉 


ずっとモヤモヤした気持ちが涙と一緒に凝縮される。


 〈謝りたかったんだ、ずっと。 怒る矛先を失ってもどかしくなるみたいに……謝る対象がいなくて、行き場を失った想いが(くすぶ)っていたんだ〉


 「……へ? へ?? へぇぁぁ……??!!」


ガターン!!


 「そっか…」


 〈ああ、まずい。無言で最敬礼されても、わけ分からないよな〉


 「ココr」


 「…お帰り…」


 ……?


メイアさん が確かにそう言った。違和感を覚えたが、頭を上げる理由にはならない。


 -<()()()()……>-


 〈……いや、おかしい。 その声が聞こえるはずが……っ!!〉


 -<私が 大人しく 逝くと思った……?>-


ジャラララララ…………


部屋の空気ががらりと変わる。俺 と メイアさん達 の間に鎖の壁ができていた。


 「は……ははは…………」


突然過ぎて反応に困る。嬉しいのに泣きそうになるし、顔が引きつる。


 -<アマノン の謝罪なんて超貴重(プレミア)だからね。 独り占めしちゃった♪>- 


 「…………謝罪しない人間は好きじゃないぞ?」


少し気に食わない言い方をされた。俺も嫌いなタイプの人間と同じみたいに聞こえるじゃないか。


 -<ごめんってば、語弊があったね。 私のせいで アマノン が謝るのは、理不尽だなって思ったからさ……>-


 「理不尽なんかじゃない……、それは俺なんかよりずっと…君の方が……」


言葉が続かない。一番身近な理不尽が、俺に殺された 重音さん だと思うと感情の整理がつかない。重音さん とのスキルの繋がりも相まって、収拾がつくわけない。


 また逢えて……良かった…………


再会を素直に祝えないのは、この口が純粋さを欠いていることに他ならない。

~新情報まとめ~

・ジロウは『魔女』に「…あなた……似てるわね…」と言われた。

・メイアさんから『魔女』との交戦記録として [思い出石] を受け取る約束。


~~~~~~~

明日更新します!


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