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『勇者』だ なんて気持ち悪いだろ…②

~前回のあらすじ~

第2王子の ジロウ の頼みで、初代『勇者』について教えることになった主人公 アマノ。承諾した直後、異世界人の2人を交え、話をすることに……!!


inお店

俺の目の前に 第2王子。俺の隣に『勇者』の妹、斜め前に『勇者』。


 <おれ……ただの 大学生 だぞ?? 場違い過ぎる>


 「………」


 「これメニューっすよ~~」


 「ありがとう」


異世界人の第一印象は…礼儀正しくて、兄としての余裕、優しそう。


 「どうかした…?アニキ…」


 「……」


冷静に考えると()()()()……。


 <……普通の反応じゃない>


 一昨日来たにしては、落ち着きがあり過ぎる


おそらく、()()()()()後なのだろう。


 「いやぁ、お2人は こっち に来たばかりなのに、順応が速い(馴染んでる)な~って思ってね」


 第2王子 ってレベルを相手するだけでも、こっちは神経すり減らすってのに『勇者』だ


こちらの焦りをあまり見せないようにしつつ、相手の出方を窺わないといけない。


 「そんなことないって~~さっきも『よろしく』だけじゃなくて、『お願いします』まで言いそうになったし笑」


 「……」


 <『よろしく』はOKで、『よろしくお願いします』はNG そう教えられたんだな…>


要は、舐められないために敬語を制限されている。 言動を注意されたくらいだろうか?


 あー、確認しないとかもな……


 「ちょっと、盗聴とかのリスク避けたいから… ジン 頼めるか?」


 「はいはい… どこだっけな…あった、〖サモン〗」


 「…こ、これは……?」


 「…… [調べまチュー] だ」


 「……え?」


 「商品名みたいなもんだよ。 怪しい電気信号をキャッチするよう訓練されたネズミと ジロウ は契約しているんだ」


 「オ レ が 契約してるんすよ!! 別名、ピカピカ っす! 電気信号キャッチしたら光るんですよ!」


 「…俺、似た名前を日本(あっち)で聞いた気がする」


 「忘れたほうがいいかもね…分かんないけど」


 「…服に潜り込んだりはしないし、際どい所には行かないから、近くにいる時はあまり動かないでくれ…」


異世界組は素直に頷く。


 「もっと、怪しんでもいいんだぞ?」


 「信用してるからな~」


 「…信じてますよ」


生理的にネズミが無理だったり、自分のことが信用できなかったら、しなくて済んだが……。とりあえず ピカピカ を放つ。


 「…盗聴なんて滅多にないし、わざわざ王族のやつらが信用落とすようなことにはならないとは思うんd……?!」


ペカーーー!!


 まじか……


 「うお! まぶしっ!!」


 「光りましたね……」


『勇者』の靴に盗聴器があった。電源をオフって向き直る。


 「いつ入れられたんだろうな~~ とんだ不届き者がいたもんだよ」


 「……アニキ…? 顔色悪いっすよ?」


 普通に、焦るわぁっ!!!


サンサン王国 の王族が、異世界から来た コウヤ達(『勇者』)の待遇を考える。当たり前だ。国の存続に関わる大事なことだし、王族の意思が強く反映される。


 王族の意思はこうだ


 [勇者には、王国に愛着を持ってもらうたい]


打算的な恩の押し売り。企業の 『()()()()』 みたいなもんだ。


 だから、『勇者』が来て 直ぐに、国民に周知(しゅうち)なんてしてないし、『勇者』の役割や使命を強制してない


善意を尽くす 見返りとして『勇者』であって欲しいんだ。


 [家族のように手厚くもてなせば、力がある異世界人は見捨てることをしないだろう、と。前の 勇者 がそうだったんだから、今回も期待していいハズだ……]


その考え方自体は、悪いことじゃない。 これだって、誠意 だ。 見返りのための善意にも見えるが、ドラゴンや災害みたいな大きな力を持つ存在と話ができるなら、礼節を持って接するのは 当たり前のことだ。大きな裏切りさえしなければ、偽善だなんて卑下する必要のない 正しい行い だ。


 こんな形で信用を失うのは、誰も幸せにならない


 「世の中物騒だな~ でも、俺らの世界でも盗聴問題そこそこあった気するよな…」


 「まぁそうだね」


 「ハハハ~~」


 <しかも、よりによって王族の誰かだろ!! 靴とか…… なにやってんだよ……!!>


コンコン……


 「デザートとお飲み物の方、お持ちしました~~」


 「あ、ありがとうございま~す」


 「…おいしそう」


盗聴器のせいで空気がギクシャクしてしまったが、仕方ない。


 仕切り直そう。


ピカピカ はもう仕事を終えてる。盗聴の心配はない。


 「さてと…初代『勇者』の話が聞きたいんだよね?」


 「…! はい!」


 「はい」


 無理矢理、本題に戻した


ぶっちゃけ、王族とかその辺は ジロウ 以外で絡まないし、どうでもいい。『勇者』と呼ばれるほどの力あるやつらが、他の国に行ってパワーバランス崩れたりしても、俺は悪くない…。


 <悪くないハズだ……>


 「どういう風に聞いたが分からないが、自分は情報屋じゃなくてね…。 今は、大して情報を持ち合わせていない」


 「…世間話でもします?」


 「まぁ、そうとも言える 話をしよう」


 俺にとっては、そうだ


 「……」


 常識のすり合わせ、だ


正面の ジロウ は目を爛々(らんらん)と輝かせうずうずしている。こういった語りが好きでたまらないといった顔をしている。


 <…まったく>


今回のメインは ジロウ ではないので無視する。


 「デザートが来ているんだ。 食べながら聞いてもらって構わないが、ちょこちょこ質問させてもらうぞ」


こう切り出して、飲み物で口を(うるお)す。それだけで飲み食いしやすく、話しやすい空気ができる。


 「ああ!ドンとこいってなっ」


 「分かった…、それはそれとして、いただきます」


 「まず、『勇者』について…なにか知ってるか?」


 「え、あぁ…知ってること…なんだろ……」


 「王様 に、『勇者』は人々にとって正義(希望)の光で、拠り所です……って言われたね…」


メイア はパンケーキを切りながら答える。


 「そうそう、そんなこと言われたんだよ」


大事な話をしながら、程良くデザートに集中できるなんて…。


 いい胆力だ


 <こっちに来てまだ2日なんだろ? ちょっと、常人じゃないな…>


メンタリティーは…、妹さんの方がしっかりしてそうだ。


 「……そんなもんかな…?」


 「かな……? メイ なんかあるか?」


 「……あの石の話は…?」


 「そうだ!助言もらったんだよ。 なんか石みたいなので、記憶が ぶわって 入って来たんだ」


 「[思い出石]だな…。『思い出』を保管したり、取り出せたりする」


 「そうだぞ! すごいだろ!!」


 「あぁ、俺らの世界にはなかったよ」


 「どんなことを知った…?」


現状、話の流れが読み切れない。


 <……なにが、助言をもらったこと と『勇者』が繋がるんだ>


 「んー、あれが 初代 なんかな?」


 初代 関係の [思い出石]……!!


伝説が多すぎて、初代 にまつわる博物館や専門の研究者が現れるほどの偉人だ。本人が『思い出』を込めた [思い出石] なら、5億の値が付いたことだってある。


 「………」


自分が持ってるのは、それを『勇者』を見た一般人の [思い出石] だ。それでさえ、()()()()の値段がついたことだろう。


 「なんか あぶねーもんは使うなって、言われたくらいなんだよな…」


 「ほぅ……」


 「爆弾に、コンピューター、化学兵器、生物兵器。 って聞き覚えはない…?」


 「爆弾は分かるぞ!」


 「あぁ爆弾の製造は世界的に禁止されている。 他の言葉は聞いたことないな…」


 「そっか……」


知らない方がいい って顔をしている。下手に聞けないやつだな。


 「あ、そうそう、他にm…痛……!!」


 「どうかした 兄さん?」


 「……? どうかしたのか?」


 「………」


 <口止め…だな……>


目の前の コウヤ とその斜め前にいる メイアさん だと、足だって届きにくいだろうけど、深く考えるのは止めよう。言わない方がいいと判断された、それだけだ。


 なにを…? そんなこと、考えても仕方ない。


 「コンピューターが気になるぞ!」


 「あー、ははは…それはだな~」


ジロウ の発言に異世界組が苦笑する。長い話になったり、言いにくい話だったりするんだろう。他が兵器だ。ロクなもんじゃないんだろう。


 「また今度にしろ」


 「ぅーー」


 「さて、話を戻そう。『勇者』ってなんだと思う?」


 「……人類の代表」


 「…………『魔王』が先に居たから、『勇者』って名乗ったのが始まりとか?」


 大正解すぎる


 「うん、正解って言っていいだろうね。 『勇者』は50年前に初めて現れた。その一度だけだが、確かに実在した。それまで、『勇者』なんて言葉はなかった」


 「現れた……」


 「そう、現れて『勇者』に殺された」


 「…まるで、偶発的(自然)発生みたいね……」


 「……」


 自然発生……いい表現だ


自然は、神が作為的に作ったんじゃないかと疑ってしまうほど、ご都合主義染みたところがあるから最適な言葉だと素直に思う。


 「…そして、初代勇者は『魔王』の再誕 と 新たなる『勇者』が異世界から現れることを予言した」


 「…よ、予言…」


 「『勇者』が現れる場所だけは、初代 が教えてくれてな。そこが中庭になるように城を建てるんだ。 でも、時間がわかんねーーんだ。 さぁ問題です。どうしたでしょう?」


 「えっと…召喚士 が特定できないってことか…?」


そう、異世界から来た彼らを、城で初めてお出迎えする人間が 召喚士 と名乗っている。


 「ヒントは、『勇者の召喚』なんて人間にできる芸当ではなくて、それを職業になんて本当はできない」


 「え、えぇ~??」


こっちの世界の常識だ。『勇者の召喚』なんてできない。つまり、素人をいかに常駐させて、『勇者』のお出迎えができるかだ。


 「オレは答え知ってんだ~!」


 「メイドさん…と兼務…?」


 「そゆこと。いつでも動ける 召使い を配置した。 召喚士 として名簿には登録されてるが、貴族とか商人とかの子供の就職先になったり、ならなかったり……」


 「なってるやつだろ……それ」


『勇者』とお近づきになりやすくもなって一石二鳥。バカみたいにお金貰ってるだとか、までは言わなくていいだろう。


 「ねぇ…なんで、[思い出石] 越しに助言できたの?……予知能力でもあるの?」


 「…あったんだと思う。初代 が言うことは ()()()()()()


 「………」


兄妹揃って眉をひそめている。ま、その気持ちも分かる。


 最初は到底、信じられない


 <……認めざるを得ない ()()() がある>


カリスマも、強さも、予知能力だってある。ありえないくらい主人公みたいなやつだ。


 「『勇者』なんて言葉に意味なんてなかったし、重みなんてなかった……。初代が『勇者』像を作ってしまった。 それを、少なからず期待されると思う」


 「初代『勇者』は何をしたんだ?」


 「ほんと色々だな…魔王討伐以外にも、獣人の国をまとめあげたり、小国くらいのデカい組織…マフィアとか極道って言うんだっけ?そういうのを改心させたり、資源を掘り当てて村を栄えさせたり、災害を予知して避難や復興に手伝ったり……」


 「初代……頑張り過ぎじゃね…??」


 「まぁ、神 みたいな扱いはされてるな ここだと」


 「神!?」


 「…わーお」


 「そっちのイエスとか、ブッダとかいたんだろ?」


 「…よく知ってるね」


 「初代 が書き残してるからな。異世界(そっち)のこと。 初代 はそういったキセキを起こした偉人と同格なんだよ…」


『勇者』という名前の重みを、証拠もなしに語るならこのくらいが限度だ。


 「まだ、博物館行ってないんだろ? 初代勇者の」


 <行ってるなら話が早かったりするが…>


 「あ! 博物館だろ? 教えてもらったな。 あの噴水の前のだろ?」


 「それだな…」


 「そのうち、行くか…」


 「…だね」


 「……一緒に行こうか?」


実在を裏付ける証拠を前にした方が、説得力がある。それだけだ。


 「まじ!?助かるわー!!」


 「………」


コウヤ の顔が 笑顔 で固まる。


 「すげぇ………助かるわ……………」


 「………」


ふぅーーーーーーーーーーーー


 「………」


コウヤ が(うつむ)きながら長い息を吐くのを見守る。


 「あんさ……俺ら は『魔王』を殺さなきゃいけないのか?」


 「…判断を人に委ねるなよ。 判断材料はあげよう。 魔王は魔族の王だ。まぁ、魔族の発生原理、総数は不透明なんだが、そういう存在(もん)もあったろ?」


 「…宇宙人みたいだな…」


 「…ウイルスとか、突然変異体とかの方が近い……? よく分かんないけど」


 「まぁ、こっちにとっては コバヤシ兄妹 の方が宇宙人寄りだよな」


 「名前で呼んでくれよ…ハハ」


 「下の名前でいいよ」


 「オレも呼ばせてもらうぞ! コウヤ! メイア!」


 「ああ! こっちも呼ぶぞ? ジロウ!」


 「あー…外だとちょっとマズイ… ジン って呼んでくれ!」


 「わかった! よろしく ジン!」


 <打ち解けるの早いな、あの二人>


 「アマノ君でいいの…?」


 「…呼び捨てでもなんでもいいよ」


 「こっちも そうして いいから」


 「ははは…」


 〈そうはできんが…〉


 「魔族の話に戻すぞ。こいつらは好戦的で、話が通じないとされている」


 「…意思疎通は…」


 「言語は共通だな。分かり合えないだけで」


 「な、なら…!」


 「コウヤさん 甘いこと 言い過ぎないでくれよ? 魔族まで救おうとしたら、果てしない『時間』とおびただしい数の『犠牲』が必要になる」


ごくり…


 「………」


 「初代勇者 は、割り切ったぞ」


 「!!」


 「戦場じゃ、『優しさ』は『油断』に他ならない。 その『優しさ』は人には優しくない。その選択は、誰かを見殺し()る」


 厳密には、苦しめるのは基本『勇者』自身であって、生命活動停止(当然のこと)が起こっただけ


人は死ぬし、全部を助けるのは無理だ。その輪を広げようとでもすれば、必ず()む。


 「………」


 「その決断を『勇者』に押し付けているんだよ……まぁ、クソだよな」


 「……………」


 「………」


 「………」


コウヤ は目を背けてはいけない。いつかは直面する壁だ。冷酷に突き放す。


 これは、誰かが担わなければならない仕事だ


 <『勇者』に嫌われてでも、現実を教えなければ……>


 「何をするにしても、『勇者』って名前から逃げられないと思え。 初代勇者 の圧倒的な英雄さ、聖人さ、誠実さ。 それらと比較されるんだ。 過度な期待も、激しい落胆も、きっと絶えない。 それが人間だ。これが人類だよ。 これら対して『屈しない心』がないなら、引くのが賢明だ」


 <……『勇者』って肩書きは、『国民の奴隷』だ>


勝手な正義(理想)を押し付ける妄信っぷり(人間性)は、『虎の威を借りる狐』とかの本質に近いんだと思う。でも、そういうもんが群集心理ってものなのだろう。


 「……お、俺は……必要とされた想いには、応えたい……!」


 「…見放されたら?」


 「………2人で生きるさ…どこでだって…」


 「……じゃあ、メイアさん が傷付いたら?」


 「………」


 「へぁ………?」


 「コウヤ は今、ただの異世界人だ。 『勇者』としての度量や能力がどこまであるのかは、定かじゃない。 たとえ 力があっても、必ず護れるものじゃない。 人は病気にだってなるんだ。いつでも万全じゃない。 もう分かるだろ? メイアさん を失ったらどうする気だよ」


 「あ、アニキ…」


 「…そんなの…今」


 「それくらいの覚悟、決められないなら『勇者』は成れないと思え」


 「……『勇者』としてのやることも、兄としての矜持(きょうじ)も!」


 「コウヤ 何度も言わせんなよ……どっち() なんて ないぞ?」


 「…………」


理不尽を言っていることを自覚している。おそらく、メイア は真意が分かっている。


 心を鬼にしなければ


この程度の理不尽に耐えられなければ、この先、『勇者』は務まらない。


 「………俺は……俺は……」


 「よし、この話終わりだ。コウヤさん、飲んだり食べたりしな。 ストレス解消法は生物が生きる上で必須スキルだよ~」


正直、少し焦っている。必要な追い込みだとは思っていたが、やり過ぎたかもしれない。


 「……俺は、『勇者』なのか……? 魔王ってなんだよ… 何を示せば証明できる……?」


 <……もう戻れないとこまで、イっちゃっいましたか……??>


 「兄さん……」


隣の メイア が立ち上がって、コウヤ の隣に座る。


 「……」


動じていないポーカーフェイスをかますが、内心反省する。


 <もっと段階刻めたな……。やべーな、処刑されるかもしれねーな。『勇者』を病ませたって何罪だ……? いや、秘密裏に死刑か………ちょっとマズいな………は、ははは…>


ヤバいと客観的には思っても現実味がない。国の未来に関わるような 大物 に会ったことなんて無かったから、こっちだって落ち着かない。


 「……」


 <いや……それじゃダメだな……>


 言うべきことを言っただけ


そう割り切らないと、こっちのバランスが崩れる。


 <何と言っても…まだ言うべきことがあるもんな>


 「……この世界(ここ)には、そっちの世界で存在しないルールってもんがある。魔法とかスキルとかな…」


 「……」


コウヤ の顔色が悪いが、披露しようとグラスに手を掴む。


 「…見せたが早いな」


 「ま、待って!」


 「…見たくないか?」


 「()じゃないよね……?」


 「あぁ…水を操るだけだよ」


 「なら…いいかな…兄さん」


 「…気を使わなくていいよ。ありがとう」


 「始めるぞ…」


優しさは見せない。そもそも、『勇者』という重みは コウヤ に限らず、誰にだって無理だ。


 伝説の 初代勇者 以外は成立しない


一緒に抱えるにしても、デカすぎる。だから、仲良くなるつもりはない。共倒れなんて誰も得しないし、そんな余裕は自分にはない。


 <だから厳しく………>


 「…………」


 鏡でも作ったら、その顔が焼き付いてイイのかもしれない


水で何を作るかは明確にイメージしないといけない。


カランカラン……フワフワ……


水で メイア の笑顔を作る。もちろん、見たことないが想像で作る。


 <完成度80%ってとこかな?>


 「……」


 「すげー! 似てる〜!」


 「これ…私?」


まだ終わりじゃない。水で『お兄ちゃ~~ん』という文字を メイア っぽい顔の隣に添える。


 「…フッ……懐かしい…」


 「フッ……」


 「……」


これ以上は止めておこう。


 メイアさん が怖い


 「ごほん…水の笑顔(コレ)は置いといて…だ。 『契約書』っていう約束してしまうと大変なことになりかねない代物(しろもの)だってある。 他にもこわーーい魔法はあるもんだ。 言えることは、気を付けろ だな」


 「……は…ははは…」


 「……」


俺がかけるべき言葉はなんだろう。


 家族がいるんだ。 何も無理する必要はない。ただ、慎重に選択しろよ…


 〈違う…〉


 結局は、独りなんだ。超えさせない(ライン)でも作っとけ


 〈……〉


どっちもダメなんだ。俺は…何もできない。


 突き放すのが………正しい


 「……」


 「………」


 「……」


コウヤ も メイア も、僅かだが、翳りが見える。


 〈重ねるのは…間違っている〉


俺 と マキ は確かに孤独感を感じていたが、こんなに追い詰められちゃいない。こんなに注目されてなかった。ただのクソガキだった。それだけ。


 絶対的に違う


頭では分かっている。けど、何もせずにはいられないし、何も言わないのも……無理だった。


 「コウヤ どう選択するかは自由だ。 王族のやつらも大して縛らないとは思うし、縛られそうになっても逃げればいい。 ただ、家族は メイアさん になるだけだろうし、本当の味方はそうそう現れないだろうし、って当たり前のことを忘れないようにするんだな」


妥協点はこうだ。道を示す程度の欠片の親切心。それ以上の慈愛で簡単に上書きさ(忘れら)れる程度の脇役(モブ)


 「………アマノ君は、味方だって思える」


 「……」


正直、嬉しい。でも、気にしてはいけない。 脇役にこれ以上はないんだから。 大勢の味方の内の一人ってだけに、すぐなるんだから。


 <……彼らは、突然見ず知らずの土地で、帰り方も分からずに、(まつ)り上げられて、息をつく暇もなかったのだろう>


 理解不能な 優しさ は 恐怖 の対象だ


 <まぁ、それは自分にも言えた話なんだがな…>


 「そうとは限らないさ……本当に大丈夫な 人 以外に、気を許し過ぎないことだな」


もう一つ、考えられる徴候。序盤の仲間を寵愛(ちょうあい)してしまう『思い出補正ブースト』。


 最初ってだけで肩入れしたくなるのも分かる


でも、どうせ最後まで付いていくことはない。最高峰の人の周りは、最高峰が揃うべきだ。


 俺 じゃない


何もかもが中途半端に過ぎないガキじゃ、思い出補正があっても対話相手にすら物足りない。何もないのだから。


 「…そんなつけ離さなk」


バッ……


手を前に伸ばし制止する。


 「言ったろ? 恐ろしいルールがあるから気を付けろってな。 あと、俺 は仲良くなりに来たわけじゃない。ただのメリットがあったから話してるだけだ。 俺は、仲間じゃねーーよ」


 「……」


 「……」


 「アニキ…」


デザートに手を付ける。これ以上の話をさせない。空気読めないアピールはこういう時に使える。


 これでいい


 「…ねぇ、私たち以外の異世界人っていたの?」


 「……」


メイア はやはり曲者と確信する。会話を投げかけるのは ジロウ にで、顔だって向けている。そのまま、眼でこちらを見てくる。


 「ああいるぜ!折角だし、行くか!?」


 「いかねーよ。 どんな刺激があるかもわかんねーのに、会わせられないだろ」


 「『勇者』って肩書きあれば、大して怒られませんって!」


成長が感じられない。ジン は外に出ない方がいいのでは?と本気で思う。


 「そ、そんな顔せずに、デザートとか食べていきましょや! あ、ちなみにお二人はどうです?行きたいですよね?」


 「…え…アマノさん が…乗り気じゃないですし…」


 「……」


 「ええ!?誰でも入れるようなとこっすよ?行かない理由がないっすよー!」


 「誰でもは言い過ぎだろ… 入れないやつもいる」


 「…要は、どういう状況なの?」


 「それはだn……!!」


ダン…!!


突然の脱力感に訳も分からず、顔から突っ伏せる。

~新情報まとめ~


・『勇者』の靴に盗聴器?!

・初代は『魔王』がいたから『勇者』を名乗った

・コウヤ達は[思い出石]で初代『勇者』から助言をもらった

・「初代 は予知能力でもあるの?」→「…あったんだと思う」

・「俺らは『魔王』を殺さなきゃいけないのか?」→「…判断を人に委ねるなよ」「魔族まで救おうとしたら、果てしない『時間』とおびただしい数の『犠牲』が必要になる」

・「異世界から来た人って、初代 と 私達 以外いたの?」→「いるぜ!!」


~キャラ情報~

・コウヤ・コバヤシ(22) 子供っぽい、ちょいノンデリだけど謝れはする。元社会人。妹のためにと頑張るも空回りすることが多い。髪は メイア とほぼ一緒の茶色だったが、黒に染めていた。イメージ画像では、やつれている感じと年長者感を出すために、顔にキズを入れさせてもらいました。イイ感じです(笑)

・メイア・コバヤシ(20) 親戚が近所で開いた剣道場で、誰よりも強かった。母が不倫して、家庭崩壊。父は過労の末、事故死。元大学生。兄の尻拭いなどをよくする側に回るが、それを負担と思っていない。寡黙なタイプだが、しっかりしている。


キャラのイメージ画像をXに載せます! フォローしてくれると嬉しいです!

キャラ画像→https://x.com/kahiketu/status/1893322356871025063


~~~~~~~


   更新は調整中!


活動報告にXを、質問受付をマシュマロで、そして、noteに裏話や設定などの場所を設けています!

X(Twitter)→https://twitter.com/kahiketu

マシュマロ→https://marshmallow-qa.com/44wphdt82wjcq0v

note→https://note.com/kahiketu/


アルファポリスで【解放】を約4年かけて完結!!

【解放】→https://www.alphapolis.co.jp/novel/872985425/671478042


また、TALTOの方で【解放】のTRPG版アナザーストーリー【解放〇】を掲載中!

【解放〇】→https://talto.cc/projects/IigrzQxXtenCvrZKmVcYD

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