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人生の交叉点②

~前回のあらすじ~

コウヤ達 に約束通り博物館の案内をしていた アマノ。

胸中渦巻く想いをそれぞれが吐露してしまう、なんてことない日常を、ここに。

in博物館 『手記コーナー』

俺達は館内(『歴史コーナー』を除く)を見回った。『初代勇者』の手記は、何というか世界に対するメモ書きが多い。国の運営問題や環境問題、人種の問題、こっちの世界で見聞きしたものを整理しているような感じだ。


 「なあ 結局……ミカドシュン のスキルって何だったのかな?」


 「………」


『初代勇者』のスキルは謎に包まれている。


 「予知能力はほぼ間違いなくあるが……武術と魔法のどっちにも才能があるやつなんてホントにいなくて、発明力(アイディア)発言力(カリスマ)、隙がないんだ」


 「多芸多才(オールラウンダー) とか、総合値MAX(フルスペック)とかじゃないかって言われてるんだぜ!」


 「……絶妙にダサいよね」


 「そんなこと言うかなぁ! じゃあ、アンタ のネーミングセンスどうよ!」


 「………」


俺と同程度のネーミングセンスをしている ジロウ に突っ込まれたから、重音さん のセンスが気になる。


 「…万能 とかかな……」


しっくりくる感じがした。どこかむずがゆい収まりの悪さがあっても、自分 や ジロウ よりは正しい気がした。


 「コウヤ! どっちがセンスある?!」


 「ジン には悪いが…、重音さん かな…」


 「くぅ……、あ、アニキ…」


 「同意見だ…」


 「…オレ…ダサいかなぁ…」


 「……安心しろ。俺のセンスは ジン とほぼ一緒だ。『初代勇者』のスキルとしては、万能 の方が 正しそう って思っただけさ」


コウヤ や 重音さん から、視線を受けてそう話す。彼らがフォローした方が ジロウ と仲良くなれてイイというのに……。


 「…へへ、アニキ と一緒ならいいや~ 残念だったな、重音さぁん!!」


 「この子…ロクな大人にならないよ」


 「…ははは……」


俺達の輪を外れて一人、手記を読みふけっていた メイアさん が呟く。


 「…ミカドさん も不思議には感じてたんだね…」


 「…そっちの世界と似すぎてることだろ? 不思議なこともあるよな…」


 「……暦も、数も、呼び名も、ほぼほぼ一緒だよ……」


 「そうらしいな……」


声のトーンが暗い。


 「重力、空気、太陽、月……()()()()()()()()()


 「……」


俺は知らない。彼らが元居た世界のことを。だから、こっちの常識(当たり前)に類似性を見出されてもピンと来ない。


 「悪趣味な上位存在(神様)がいる…… なんてね……でも、それくらい不可思議だよ。 …地球のどこかで最新技術や未知なる現象に巻き込まれたって方が信じられるよ…」


 「………」


 「メイ……」


 「……ねぇ…アマノ君。 私達、10年生きていけるかな? 元の世界(あっち)に帰れるかな?」


 「……………」


メイアさん がずっと口に出せなかった本音。考えないように避けていたのかもしれない。


 ハッキリ言って、俺の抱えられる問題じゃない…


 「……分からない。 でも、死なない立ち回りはできると思う」


 「……そうだね。 ごめん、ありがと」


 「なぁなぁ、もう見終わったんならお土産行こうぜ!」


重音さん と張り合ってこっちのことを聞いてないにしても、ジロウ は一周回ってすごい。


 「…そうだな。それでいいか?」


 「ええ」


 「いいぞ…」


 「ごめん、お花摘みに行くね♪」


 「悪い、先に行ってくれ」


 「アマノ君…?」


重音さん が流れるように(きびす)を返す。その背中を追わずにはいられなかった。


 「…重音さん。俺も行く」


 「…えー、男女で行くことないでしょ? 連れションじゃないんだから」


 「お花摘みに行くんだろ?」


 「そんなの表現に」


 「トイレにも行かないだろ?」


 「……」


お土産屋のワードを聞いた瞬間、一瞬だったが陰りを見せた。詮索されないために、一番自然な形で抜けようとするそういう人だ。


 「アマノンは、そういうとこ踏み込んじゃうの? 女の子には秘密が付き物だよ」


 「悪かったな…」


 「じゃあ、この後なんか食べにでも行かない? 奢るよ」


奢ってよじゃないのかよ…というツッコミを引っ込めてでも、言いたいことがあった。


 「…物が残るのは、嫌なのか?」


彼女の部屋に二、三度上がらせてもらって分かったことがある。いつも物が最小限なんだ。趣味の物は一つもなく、買い溜めもゴミもさっぱりしていた。


 この世で生きた痕跡を、残したくないように見える


 「……今の(まま)じゃ、ダメかな…?」


 「俺が決めることじゃない……ただ、今の 重音さん を見てると助けたくなるさ」


 「やっぱり、やめよぅ…」


 「……」


 「…今の関係でいいの。…充分幸せなんだよ」


 だから、いつ死んでもいいと…


 「それじゃ困るね…」


 「ぁ…安心してよ!私はあくまでアマノンに付きまとって一方的に好きって言ってただけで、気に病む必要ないよ!!」


 「……」


 「口癖で好き好き言われてる被害者に、誰も背負わせないってば〜〜」


 「気に食わない…」


 「…そんなこと言わないでよ」


 「納得がいかねーさ」


 「私は! …アマノンのこと好きじゃないよ?」


とてもそうには見えなかった。おおよそ、見当はつく。


 好感度の調整をしたいのだろう


もし重音さん(自分)が死んだら、俺に負担をかけてしまうだなんて思っているらしい。


 《最大限目立つためなら何だってするつもりだよ☆ アマノン の思い出(記憶)に居座ってやるから覚悟してね♪》


 「……」


あの重音さんが憔悴するほど、死の近づく音に過敏になっている。


 「…アマノンとは良き隣人ってだけだよ。それ以上は望んでないよ」


 それ以上はいいよ……死んでも


 「………」


言葉の裏に隠れた重音さんの気持ちを理解しているつもりだ。


 〈言葉(想い)は本気にしか聞こえない…〉


だが、肯定するつもりはない。


 「…死にたいって思うか?」


 「……そうじゃないよ」


 「なら」


 「お花! …摘みに行くね。 じゃ」


 「ほらよ」


 「…?! アマノン…?」


 「受け取ったな。それプレゼント」


商品棚の [思い出石] を投げ渡した。重音さんは、俺のことを想って商品を落とさない確信があった。


 「…もらえないよ」


もらいたくないと顔に書いてあった。だが、無視する。


 「それに毎日幸せな思い出を詰めるんだな」


そうすれば、日常がより輝いて見えるだろう。幸せを我慢させないためには、現状を噛み締めるのが一番だと思った。あとたまたま近くの [思い出石] と目が合った。


 「…どうなるかなんて、分かってるよ…。なおさら、いy」


 「これをしてもらわないと口きかないぞ。毎朝チェックするからな」


 「……でも……」


 「選択肢はないぞ。俺は優しくないんでね」


 「…アマノンは…意外と、最低だね」


 「褒め言葉と受けとろう…」


ポーカーフェイスを保とうしているが、目元の涙を隠しきれていない。




in博物館前

お土産を買いに行った ジロウ達 と合流する。


 「なぁ アマノ君 はいつだったら予定空くかな?」


 「しばらく忙しくて空いてないな。 そっちもこれからだろ?」


 「くっ… でも、アマノ君達 と話す時が一番リラックスできるからさ…」


 「ははは…」


 〈それは今だけの話だ…〉


 「明日なんだろ? 頑張れよ」


彼らは明日から2週間、危険調査隊と言う名の軍隊と共に、魔族と相対する。そう、遠征に行くのだ。


 「ああ… また時間できたらいつでも教えてくれよ」


 「わかったわかった…」


 〈これで…心置きなく、お別れだ…〉


 「アマノン が、元気出ないんだって! 皆、アマノン のスゴイとこ言ってこ!」


 「!? ……おい…?」


 やめてくれ ハズい


 「…やっぱ、内面的カッコよさかな……。 俺なんかよりずっと 大人びててさ… 愛のある厳しさが、本当にあるって教えてくれたのは、アマノ君だよ」


 「…冷静な智将。剣術家だよね。 知識とバイアスのバランスがちゃんとしてるから、聞いてて安心するし、優しさとか思いやりが深い」


 「………」


 〈そんな評価受けたって俺は……〉


 「あぁ… えぇっと…すごいとこは全部だよ! アニキ は オレ の憧れだから…、だから…全部だよ…」


 「……これが総意だよ」


 〈…………分かってる…分かっていたさ。そういう感情を向けられていたことも、大体は…〉


重音さん が言いたいことも分かっているつもりだ。


 コウヤ達 と能力を比べる必要はない……ってところだろう


 「……気にしないでくれ。 まぁ…その、ありがと」


 〈…ただ俺は〉


コウヤ達 と肩を並べるのが目標じゃない。


 -〈どうしようもない無力感に、すべきこと()を黒く塗りつぶされてるだけなんだ…〉-


 「アニキ……」


 「………」


 「アマノ君!! 今のが本音かい!!」


 「聞こえてたのか……?? 違う違う…!! ただの劣等感だよ」


 「それこそ大嘘じゃん。ね、アマノン」


間違い、重音さん が俺の心の声を皆に伝えやがった。


 「変なことあんましないでくれよ、重音さん…」


 「デリケートな話だし、悪いとは思ってるよ。 でも、こうしないと私達は本音で繋がれないでしょ?」


 「…俺は…」


 「アマノ君…聞いてほしい。 俺は アマノ君 の味方だ。 力なんて…喜んで貸す。話だって聞く。 友達だろ?」


 「…私も。できることでいいなら」


 「アニキ は強いっすよ! でも、困ってるなら…オレも力になりたい!」


 「…………」


 「ほら、絶対に裏切らないし国内最強、超協力的なお仲間達だよ。 これでも足りないの?」


 「気持ちは受け取った……」


 「あ、アマノ君…」


 「今日は もう お開きだろ? 先に帰らせてもらう」


ダン…!!!


 「良かった。 丁度、帰る前だったみたいだね」


 「マ、サキリ先生……」


突然、マサキリ先生 が落下してくるのは非常に衝撃的だった。心臓に悪い。


 「アマノ君 は明日、予定入れてないよね?」


 「あ、はい」


 「明日、王宮に来てくれないか?」


ヒュォ…!!


あんな人生で数回しか行かないようなとこに、なんで自分が呼ばれるのか訳が分からない。


 「マサじぃ、それって防衛戦の話?」


 「……重音にとっては、そうだな…」


 「……?」


状況がなんとなく読めてくるが、まだピースが足りない。


 いや、まさか


 「アマノン の予想が当たってると思うよ。 危険調査隊の遠征で少し手薄になる王宮を私が守らなきゃいけないから防衛戦。 その傍にいるのに最も相応しいのが アマノン ってこと!」


ドヤ顔を決められても困る。


 〈王宮に行くのをお断りしたら……?〉


 -<…いいけど、私は アマノン 最優先で動くよ? 多少大事(おおごと)になるかも…>-


 逃げられないのが確定した…


 「……それで明日……」


 2週間の遠征に対して、防衛戦が明日だけな訳がない


 「学校は公欠でいいぞ」


 「…………」


マサキリ先生 のサムズアップは有無を言わせない強さがあった。この人達は大事な話の告知が直前過ぎる。

~新情報まとめ~

・コウヤ と メイア は明日から2週間の遠征に行く。

・アマノ と 重音 は明日から2週間、王宮で過ごすことになりそう。


~~~~~~~


   更新は調整中!


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