王様とお話ししました②
王様と 重音さん についての話し合いを終え、面会の終わりを感じ始めた アマノ。そこに、重音さん が王様の話題を暴露する!
王様の弟 の話とは…!
アマノ が焦った 姉貴 とは!!
今回、まさかの アマノ 過去回想!?
in王宮 応接間?
王様 は話を続けてくれている。
「…黒猫も アマノ君 が…」
「…いえ、成り行きでしたので、お気になさらないでください」
ジロウ に関わる話なんだが、この後に控える話題で全然集中できない。
「……じゃあ、次は 私の弟の話といこうかな?」
「…はい、お願いします」
-<ねぇ、アマノン… 提案なんだけど、私が話を聞いとけば、負担減らせる…?>-
重音さん の提案は…とても魅力的だった。
王様が、自分に情報を開示した
その事実が大事なのであって、全部を知ってそうな 重音さん がいる時点で、いつでも聞けるようなものだ。
ただ、そうだとしても
〈……できれば、乗りたくないな…〉
いつもだったら、絶対断る。タイヨウ様 に失礼だ。
-<アマノン……>-
〈分かってるよ… 分かったから…〉
俺には選択肢がなかった。過去を振り返りながら話を整理しつつ、タイヨウ様 の話を真面目に聞くなんて無理があった。
〈…対応頼んだ。 …後で教えてくれ〉
-<うん、任せてよ>-
「…………」
過去を整理する思考に切り替える。自分の、今の生活、性格、思考になったのは、主に3人のせいだと思っている。
父 シュウ・ケンリュウ
悪友 マキ
姉貴 ルナ
この3人 が 俺 を歪めたと言っても過言じゃない。
〈……〉
重音さん も含めていいのだから、4人に歪められている人生だ。
-<ん? なんか褒められた~?>-
〈……そうだよ〉
重音さん は タイヨウ様 にマシンガントークを浴びせているにも拘わらず、こちらにも反応を示せるらしい。彼女にそっちは任せて、過去を振り返る。
…順を追って回想する
小さい頃、5歳年上の アキト によく慕っていたのを覚えている。父の切り盛りする道場で剣道を習って、おばあちゃん と下らない話で笑っていた……。なんてことないと思っていた、かけがえのない日々だった。
ちょうど 10年前、父の大事な試合がある前日。 父が兄さんを叱った
きっかけは、父の兄弟が亡くなったからとか、兄さんが大事な時期に遊び惚けていたからとか、よく分かっていない。ただ、それまで一度も父が怒ったところを見たことがなかったものだから、家族の誰一人として想像できなかった。
父から笑顔が無くなった……
兄さんとも距離ができ、家族の形が変わった。剣道では孤独を感じながらも精一杯のことをした。
自分の才能を自覚したのは、中学に入った頃だった
その頃には、味方が おばあちゃんだけ だった。でも、家族に頼るのも恥ずかしく思えて、他に誰もいないのかと孤独感を一層強めていった。そんな時に、マキ に出会った。
《やぁ優等生、何しに来た?》
同じ学校にいたのは知っていたが、クラスは違ったし、関りがなかった。外で会った その瞬間から、服装と態度、場所で家庭環境は簡単に想像できた。
あいつを一言で言うなら…変わったヤツだった
《あの『勇者』だって、伝説でしかない。今の世界はオレらのもんだ。そうだろ?》
あんなことを本気で言えるのは、マキ くらいだと思う。剣道には向き合いながらも、暇さえあれば マキ とつるんでいた。おばあちゃん家 でバカ騒ぎしたこともある。初めての対等な友達だった。
ある日、マキ の家が燃えた。
マキ だけが生き残った。そして、火をつけた犯人が マキ だと周りから決めつけられ、追われる身となった。
アイツが一番辛い時期に… 俺は…何もしてやれなかった
そんな気持ちを悶々とさせていて数年が経過した。
再会したのは、おばあちゃん の病室だった
マキ と再会する少し前に、おばあちゃん は『眠り病』と呼ばれる目覚めることのない難病に侵されていた。
《ばあちゃん もエンタメに付き合ってもらうぜ?》
マキ はそう言った。詳しく話さずに姿を消した。あいつを捕まえないことには話ができない。だから、探せる範囲を何度も探して、なけなしのお金で探偵に依頼して、頼れる僅かな人脈に頼み込んで、日々を浪費した。
……成果がなかった
無力感なんてどうでも良かったが、何もしないことだけは耐えられなかった。
マキ発見 に切れる手札はほとんど無くなっていて…… 自分にできることは、体を売っての金策くらいだった
とは言っても、無知のまま 夜の街 に行くのは無謀と考え、アキトを尋ねた。
《…本気で稼ぎたいなら、夜の 女王様 に話してこい。いいか…No.1 以外はナシだ》
勧められたのは、今でも ヨシワラ で一番人気のお店『白宙夢』。言われて直ぐに足を運んで、門前払いにされた。
そこで、ルナさん と会って、話をして、仕事を貰った
姉貴 専用の雑用係になった。色んな事を経験して、教えられて、大人になれた気がした。当初の目的であるお金稼ぎとして見ても最高な上に、手も焼いてくれた。キツさがあっても、働いている感覚による自己肯定感が上回る。
意味のある大変さだって思考停止できる
そうやって自分の選択を正当化していたことに気付いた。仕事に慣れ、頭が回り出すと余計なことを考える。雑念を抱いては思考の隅に追いやった。事情を知っている 姉貴 たちは、そうやって戦力にならない時の俺には、いつも気を使ってくれた。
ただ、俺や 姉貴 たちの想いがどうであれ、マキ発見は伴わなかった
これはもう、かなり直近の話だが…、万策尽きたと感じていた。姉貴 から「これ以上の無茶はダメ」と行動を制限された。その結果休めと言われて外で食べていたら、ジロウ に絡まれるようになった。
大体はこんな流れだった…
こうやって振り返る度に、俺自身の無価値さに気付いてしまう。関わったあの人達が、別の世界の住民なだけで、自分は特別じゃない、と。
〈それは今じゃない…〉
問題は、どう話すか、だ
話す内容を決めるには、タイヨウ様 が何を求めているかを考えなければならない。
《聞かれるのはたぶん、ジロウ になんで好かれるようになったかのきっかけ。 あと アマノン に、どれだけアッチの知識があって、どんな知り合いがいて、契約とかしてないか とかが聞かれそう》
重音さん の言っていたことを思い出す。順番に考えよう。
なんで ジロウ に好かれた?
〈……真剣に相手してくれるのが ヨウさん だけと拗らせてしまった ジロウ が、俺に話しやすいオーラでも感じたんだ…きっと……〉
…あいつにとって、俺は 刺激 だ
周りの大人が教えてくれないモノに心惹かれるのは、人間の根源的好奇心だと思う。ジロウ もそうなんだ。
とにかく、その2つがイイ感じだったのが自分と感じた。それだけだろう
これ以上考えても仕方ないと思った。
〈次に行こう……〉
ソッチの知識があることをどう話すか、だ。
どれだけアッチの知識があるか?
ほぼ確実に言えることがある。たぶん、俺が『白宙夢』で働いていることもバレている。その上で、なんて言葉にして伝えてくるかを見られているんだ。
なんて言うべきだ……?
〈確かに、姉貴 のせいで色々知ってしまった……〉
姉貴 は店のNo.1だ。『夜の女王』と呼ばれているし、予約は1年先まで埋まっていると言っていた。
だが、ルナ は 男 だ
比喩でもなんでもなく、性別が男なんだ。夜の接客は、食わせて酔わせて、呪術を使っている。
とんでもない 詐欺師だ
正直、これだけでも異常なんだが、まだある。
もう一つの顔
それは匿名の情報屋『A』だ。ただの情報屋じゃない。『悪意には門前払い』を掲げ、善性を売りにしている正体不明の情報屋。
その実態は、姉貴 と メノさん、そして、動物たちだ
何を隠そう、動物による情報網を敷いている。詳しい原理は知らないが、実際、国内の評判は上々だ。この国で一番信頼できる情報源、と高いネームバリューを有し、サービスやアフターケアにも力を入れており、一見、お人好しに思える存在だが…。
〈……〉
姉貴 は…こう言っていた。
《恨みを買わないために決まってるっしょ。長く商売を続ける処世術だよ》
重音さん を嫌いにならないのは、雰囲気が似ている 人間 に世話になっているのが大きいんだと思う。姉貴 がいたから、今みたいな考え方ができて、重音さん に同類判定をもらえたとも考えられる。
〈……〉
それは、今はいい…
とにかく、姉貴 のヤバさを再確認できた。性別も、呪術も、今回は触れないが、ヤってることがあまりにも多い。
やはり、知ってることを全部言うのは無理だ
〈……〉
問題を再度明確にする。
ジロウ に好かれるきっかけは…?
〈…ヨシワラ 近辺で、独り食べていたら声を掛けられました。 それが ジロウ様 でした。 話しかけやすかったんだと思います〉
おそらくこの程度で大丈夫だ。『A』との関係はバレてなくても、ルナ に仕事をもらっていることくらい分かってるはずだ。そこそこ目立つことをしたから、調べられたらバレることだ。
《どれだけアッチの知識があって、どんな知り合いがいて、契約とかしてないか》
〈…………〉
アッチの知識があるか、と どんな知り合いがいるか、は ほとんど一緒のことを聞いている。…とも言える。
危ない人 周りにいない?
それが タイヨウ様 の聞きたいことだと思う。
〈…そうなら、答えは決まっている。 危ない人とは関わっていません。知識は、ヨシワラ の人たちとお話しする機会が多かったから少しあるくらいです〉
あとは 契約…だ。道場でいつの日か交わした契約に、『白宙夢』で働くための契約、大学入学時の契約。それくらいだ。
いずれも、タイヨウ様 に迷惑をかけるものではない
〈よし……!〉
「冷静になってくださいよ。 人を殺そうとする人間に慈悲なんて要りますか…?」
「……分かっている…」
脳内会議を終え、現実を直視する。タイヨウ様 と 重音さん の話し合いは、どちらが主導権を握っているか一目瞭然だった。
「ね~~ アマノン もそう思うよね~?」
「いやぁ……」
答えにくい。なんとなくでしか分かってないから、なおさらだ。
〈だけど、まぁ……〉
重音さん が考えなしに返事を求めたりしない
その信頼感から推測するに、全部を知っていても 俺の返事は同じようなものだったんだと思う。
「え~~ 迷う必要ないのに優しすぎだよ~。 もしかしたら、アマノン も殺されてたんだよ…?」
「はは…」
タイヨウ様 の弟が… 自分なんかを殺そうとした……ってこと??
「弟に代わって、もう一度頭を下げさせてくれ…」
「大丈夫ですよっ! 現に生きてますし…」
もう一度と、タイヨウ様 は言った。おそらく、重音さん に対応を任せてからも一度謝罪させてしまっている。重音さん を見る。感謝より先に、不安が出る。
〈大丈夫だった…のか?〉
-<もちろん、完璧だったよ。 後で褒めてね♪>-
〈ああ、ありがとう…〉
重音さん を信じるとしよう。ただ…改めて意識してしまうと、姉貴 に通じる所がそこそこある。女装水商売詐欺師野郎 に似てるなんて侮辱になりかねない。だから、心を読まれないために、考えないようにする。
-<…変に隠し事されて、ぎこちなくなるの嫌だな…>-
〈後でな…〉
-<うん、分かった~~>-
「……本当にすまない」
タイヨウ様 がまだ頭を下げていた。
「いや、本当に!」
「弟ときちんと向き合えてなかった私が悪いんだ…。 そして、面会内容も…騙すような形になって面目ない」
「…そんな」
ヨウさん といい、タイヨウ様 といい、彼らの謝罪は胸が苦しくなる。理性と思いやりが完璧すぎる彼らが誠心誠意仕事に向き合って酷いミスなんてないはずなんだ。些細なミスに全身全霊で謝罪しないといけない。その結果、自分なんかに頭を下げるのなんて…
〈どうしてなんだ…? 持ってる人が真っ当な努力をしても、これっぽちの価値のない俺なんかに謝るなんて……どうしたらこうなるんだよ…〉〈誠心誠意頑張っても報われないと言っているみたいじゃないか〉〈俺は彼らほど頑張っちゃいない。全部が上手くいくなんてありえない〉〈王様 でさえ身内に裏切られたんだ。あれだけ誠意ある人が…〉
人生を振り返ったからだろうか。自己嫌悪が酷くなっている気がする。今のなんて、大人の謝罪を 無情な尊厳破壊 と思ってしまうのは、俺が悪い。
-<アマノン……>-
〈………〉
「……顔を上げさせてもらうぞ」
「も、もちろんです!」
下げる必要なんてないと声に乗せてしまう。タイヨウ様 もこちらの感情には気づいているようだ。顔を上げると、少しの間を置いて微笑みながら切り出す。
「……最後の話題に移ってもいいかな?」
「はい…!」
「…アマノ君 の過去の話。 できる限りで構わないから話してくれるかな…?」
「…はい」
大丈夫
自分にそう言い聞かせる。取捨選択を間違えなければ、何も問題ない。
~キャラ情報~
・ルナ ヨシワラの『白宙夢』のNo.1で別名『夜の女王』。情報屋『A』として親友のメノと動物たちを束ねている。たまにふらっといなくなる期間がある。
~簡易時系列~
①父が豹変し、家に居場所を失う
②中学に入り マキ と仲良くするも、マキ の家が放火! マキと離れ離れになる
③おばあちゃんの病室で マキ と再会
④マキ を捕まえるための金策で『白宙夢』の『夜の女王』ルナに仕事をもらう
⑤第2王子の ジロウ に絡まれ仲良くなる
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更新は調整中!
活動報告にXを、質問受付をマシュマロで、そして、noteに裏話や設定などの場所を設けています!
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アルファポリスで【解放】を約4年かけて完結!!
【解放】→https://www.alphapolis.co.jp/novel/872985425/671478042
また、TALTOの方で【解放】のTRPG版アナザーストーリー【解放〇】を掲載中!
【解放〇】→https://talto.cc/projects/IigrzQxXtenCvrZKmVcYD




