第9話 日曜日・月曜日 二人部屋
毎週木曜日に連載(?)していきます。
フィクションな部分もありますが、ノンフィクションな部分もあります。
正義とは何なのか。
一緒に考えてくれると嬉しいです。
次の日曜日は、部屋を移動しろと言われた。
端の部屋に移された。
自分に何か原因があるのかと思ったが、
全く心当たりがない。
部屋を移ったのはなぜですか?
と聞いてみたら、
端の部屋の人を見やすい真ん中の部屋に移したかったからとのことだった。
部屋を移ると、まず、髪の毛の束を見つけた。
10cmぐらいの髪の毛の束だ。
前にいた人のものだろうか。
自分でむしってしまったのか。
そうだとすると確かに、よく監視できるように真ん中の部屋の方が良いだろうと思った。
次の月曜日も祝日なのでなにも動きはない。
この日初めての風呂があった。
五日に一回だけ風呂に入ることができる。
15分間だ。
朝に入るのは変な感じがしたが、そういう決まりとのことだった。
髪の毛というか頭皮はかゆくなっていたし、
五日に一回は少ないだろうと思った。
湯舟にもつかることができる。
ずっと湯舟の上の水道からお湯が出っぱなしになっていて、
オーバーフロー状態になっている。
なのでここにいる人達みんな5日ぶりの風呂となるわけだが、
少なくともお湯はきれいなのだろうと思えた。
入ってみるとこんなに風呂は気持ちよかったか・・・。
と予想以上に気持ちいい。
5日ぶりということで渇望していたということなのだろう。
そこまで意識していなかったが、改めて普通というものがここではないのだと感じてしまった。
風呂から出て体重を測ると、2kg以上痩せていた。
運動不足は間違いないのに痩せているということは、
摂取カロリーが少ないということだろう。
夜に酒を飲まないということが大きいのだろうなと思った。
風呂から出ると、また部屋を移ることになった。
今度は二人部屋となるようだ。
一人部屋の方が気楽だったのにな・・・と思ったが、
何を言ってもしょうがないので言うことはなかった。
一緒の部屋になった人は、20代前半で職人をやっていたと言っていた。
本当は私語禁止なのだが、少し話すと怒られるというわけでもない。
少しずつ話をして、仲良く(?)なっていった。
その人はなんと、5か月も留置所に入っているそうだ。
様々な事件が重なり、再逮捕再逮捕となり、そうなってしまったそうだ。
中には本当に全く関係のない事件も自分のやったことになっていて・・・。
などと語っていた。
ここに入った当初はちょっと暴れたりもしてたんですが、
今は落ち着きました・・。と言っていた。
話を聞いていると凶悪な感じが全くせず、
その表情はどこにでもいる青年の表情で、
どうしても悪い人だとは思えなかった。
もうすぐ判決なんです。
初犯だから執行猶予が付くと思うんですが・・・。
国選弁護人にした事でどうなるかわからないんですが、
結構できる人みたいで良かったです。
実は、最初の弁護人はいまいちだったのですが、
再逮捕の時に弁護人が変わって、そこからよくなりました!
すぐに示談などしてくれていい感じになっています!
と言っていた。
2件は認めたんですが、3件あると実刑になってしまうので、
最後はサインも何もせずというのを突き通しました!!
とも言っていた。
本当にこのようなことを文字にすると、
かなりの悪人に思えてしまうが、
話を聞いていてどうしても悪人に見えなかった。
逆に、この人が何をしたかは知らないが、
こんな場所に来ることがないような社会を作らなければいけないよな・・。
などと考える。
きっと環境さえ整っていればこの人は犯罪などをすることがなかったんじゃないか・・と思った。
最初は二人部屋となり嫌だと思ったが、一人よりも数倍良いと感じた。
時間が早く流れていく。
やはり人間は一人では生きていけないのだろうと感じた。
その人と一番話した話題は、隣の部屋の人の事だ。
自分と部屋を交換した人である。
日本語の理解力が乏しいようだった。
外国籍なのかもしれないし、知的なレベルが低いのかもしれない。
毎日、次の日の本をリストを見ながら選ぶのだが、
その意味が分からないのか選ぶことができないでいた。
ただ、そのぐらいのことが別に問題になるわけではない。
しかし、大きな事件が起こってしまうのだ。