第4話 検察
毎週木曜日に連載(?)していきます。
フィクションな部分もありますが、ノンフィクションな部分もあります。
正義とは何なのか。
一緒に考えてくれると嬉しいです。
次の日は検察へ行くという話だったので、朝早くに出ることになった。
ここが最初の出発点で、他の警察署を周り、他の所で捕まっている人たちと検察に行く。
手錠と腰縄をつけて、逃げようとは一切思わせないような状況だ。
よく耳にする書類送検というのは逮捕などがされていない時に行われるもので、
逮捕された人はこのように身柄を送検される。
逮捕された翌日が多いようだ。
護送車からは外の景色が見える。
言ったことのある場所が見えると、近いのに遠いというか、
もう簡単にはいけないのだということが意識されてしまい悲しくなる。
窓から人が歩いているのが見える。
普通に歩いているその日常が、自分にはないのだということが浮き彫りになる。
外からこちらの中は見えないとわかっているが、
見て笑っているのではないか、
知っている人が見つけてしまうのではないかと心配になった。
1時間以上かかり様々な警察署を回って検察についた。
一緒にいるのは10人程だろうか。
3つか4つの部屋に分かれて入れられた。
腰縄は外れたが、手錠はついたままである。
誰の顔にも生気はない。
不安や諦めなどが見て取れる。
自分はどんな顔をしているのだろうか。
この人たちとは違う気がした。
自分は明確な犯罪者とは違う。
自分ではそう思っていても周りから見れば変わらないのかもしれない。
容疑者は犯罪者ではない。
そういう意味では、ここにいる人は全員同じ立場である。
自分はここにいるような悪い人間じゃない。他の人とは違う。
そう思って自分を安心させようとしているのかもしれない。
その心が情けないというか自分がみじめになるので考えることをやめることにした。
しかしとにかく待ち時間が長い。
朝の8時ごろに出発し、9時過ぎに到着し、
すでに昼を過ぎている。
その間待っているだけで何もない。
昼食は、ビニール袋に食パンが4枚入っているものを渡されたと思ったら、
食パンの中に、チョコレートが塗られているものと、
マーガリンが塗られているものの2種類だった。
マーガリンの方が特にまずい。
進んで食べたくない味だったが、
少しでも腹を満たさなければならないと出されたものは完食するようにした。
飲み物は水はもらえる。
しかし、あまり飲む気がしなかった。
やっと自分の番号が呼ばれ、検察官の前に行く。
女性の検察官だった。
「あなたの罪状を読み上げます。」
検察官はそう言い、警察署で言われたことをもう一度聞いた。
相違ないか聞かれたので、
「内容は事実ですが、私は善意で行ったことです。」
と警察署で言った通りのことを言ったが、あまり興味はないようだった。
その後もなぜそんな事をしたのかなど、同じような質問ばかりされて、
子どものためを思って行いましたということを何度も伝えた。
初めての検事との話はそのように終わった。
少しでも印象を良くしようと最初に挨拶をしたり、終わった後にも挨拶をしたりしたが、
そんなことは何も意味がないだろうなと感じた。