第2話 急転直下
毎週木曜日に連載(?)していきます。
フィクションな部分もありますが、ノンフィクションな部分もあります。
正義とは何なのか。
一緒に考えてくれると嬉しいです。
まずはとにかく働くところを探さなければならない。
案外これはすぐに見つけることができた。
働きながら、どう社会に貢献するかを考えた。
そして、空いている時間に子ども食堂のようなところを作り、
子どもたちに料理をふるまおうと考えた。
自分が傷つけてしまった子への直接的な償いにはならないかもしれないが、
それしか考えつかなかった。
相手が許す許さないには関係がないかもしれない。
自分の気持ちとしてそれが一番正しい気がしたのだ。
自己満足なのかもしれない。
ただ、自分の力を社会に役立てたい。
そう考えて浮かんできたのはこれしかなかったということだ。
それからの一年間はそのために働き続けた。
そいて、やっとの思いで、子ども食堂をオープンすることができた。
当然アレルギーの確認だけは徹底して行っている。
最初は利用する人は少なかったが、ある程度経つと利用してくれる人や、
協力してくれる人も増えて、子どもたちの笑顔が何よりの喜びとなった。
この子ども食堂が心のより所となっている子もいるようだ。
子ども食堂は、あまり家では満足に食べられないという子が来ることも多い。
もちろんこのような場所がなくてもいいような社会が望ましい。
この子ども食堂をあてにして、自分がやるべき食事を与えない保護者もいる。
悲しい現実だが、それはこちらで何かできることではない。
自分ができることは、料理を作って食べさせるということだけなのだ。
そうして、最初に事件が起こってから2年と10か月ほどたったある日・・・・。
突然インターフォンの音が鳴った。
朝の七時ぐらいである。
こんな時間に何だろう?
来客などほとんど来ることはない。
全くわからないな・・・と思って出ると、
「警察です」
と冷たい声がした。
ドアをあけると、
「何で来たかわかるか?」
と聞かれた。
「何ですか・・?」
と聞くと、
「子どもを傷つけた件についてだ。」
と言った。
「え!?」
そこで罪状を読み上げられた。
そして、
「これからあなたを逮捕する。詳しい話は署で聞くから。」
と言われ、そのまま警察署まで行くという車に乗せられ連れていかれた。
腕には手錠がついている。
何てことだ・・・・・。
逮捕されてしまった。。
何で今更・・?
子ども食堂はどうなるのか・・?
様々なことが頭をよぎったが、子ども食堂のことが一番心配だった。
いや、その子ども食堂に通ってくる子ども達の事が心配なのだ。
子ども食堂がなくなるとあの子達はどうなるのだろう?
もしかしたら飢え死にしてしまうかもしれない。
子ども食堂は協力してくれる人はいたものの、
私がいないとやっていくのは無理だろう。
当分閉めるしかない。
こんなことなら、もっと自分がいなくてもできるように頼んでおけばよかった・・。
いや、誰もこんなことをやる人はいないだろう。。。
私もあの事件がなければやっていなかっただろうし、
誰かに声をかけられたとしても積極的に手伝っていなかったと思われる。。
いったい何日で出られるのだろうか・・・。
とにかく早く出なければ・・・。
頭が混乱していてあまり考えられなかったので、
とにかく早く出たい・・・。
どうすればいいのだろうか・・・。
それだけを考えながら警察署に向かう車の中で揺られていた。。