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第14話 二度目の検察

毎週木曜日に連載(?)していきます。


フィクションな部分もありますが、ノンフィクションな部分もあります。


正義とは何なのか。


一緒に考えてくれると嬉しいです。

木曜日。この日は検事と話す日である。

勝負の日だなと感じていた。

勾留の延長が今日決まると思うからだ。

土曜日が期限なのだが、土曜日に出ることはほとんどないらしく、

その場合は金曜日に出ることになる。

明日も検事と話すことはないので、

木曜日の話で決まるということだろう。


朝8時に護送バスに乗り出発し、他の警察署を回ってから検察にへ行く。

前回より少ない人数だった。

外の景色が見られるのは嬉しいような悲しいような複雑な気持ちになる。

外にあるすぐそこにあった日常が自分にはないのだ。

なんとしても早く出たいという気持ちが高まった。


検察についてからの待ち時間はかなり長い。

一つの部屋に6人ぐらい入っているのだが、

入れ墨をしている人が多い。

入れ墨への偏見はない方だが、やはり・・・と思わざるを得ない。

トイレから出るときにドアが入れ墨の人に当たってしまった人がいた。

すると、大きな声で怒鳴っていた。

監視の警察官がなだめて事なきを得ていたが、

見た目通りの怖い人だなと思った。


自分はそのような人とは違う気でいるがどうなのだろうか。

別の世界にいると感じるが、

今の現実では同じ世界の住人となってしまっているのが悲しかった。


検察官に呼ばれた。

いよいよである。

誠意を持って話せばわかってくれるのではないかと思う。

それと同時に検事というのは、

とにかく有罪を作りたいだけだという話も聞いていたので心配だった。


聞かれた内容に対して一つ一つ答えていく。

自分が思っていることを正直に。

「善意を持ってあなたはやったかもしれませんが、

 相手や相手の両親は傷ついている。」

と言われた。

「それはその通りだと思うのですが、

 自分がその相手に対してできることがないので、

 他の人、自分を求めてくれている人に、

 できる限りの事をすることで社会に貢献していきたい。」

と話した。


他には、こちらが離しても、

子どもがかわいそう!

などと決めつけてものを言う感じで、

あまりこちらの話をしっかりと聞いている様子はなかったが、

先程の話はよく聞いていたような気がした。


最後に何か言いたいことはありますか?

と聞かれたので、

「何とか早く勾留を終えてほしいです。

 逃げるのが心配ならGPSなどを私の体に埋め込んでも構いません。」

と伝えた。

すると、話し終えた瞬間に、

「それで話は終わりですか?」

と食い気味に言ってきて、はいと言うと、

「要望だけは聞きました。ではお帰り下さい。」

と一瞬であしらわれたような感じだった。

冷たい。

このように冷たく言い放つようでは、

勾留を延長する気だろうと思った。


一応こちらの話は聞き、それを調書に残してはいたが、

検事の心を動かすことはできなかったように思った。


というか検事に心はあるのだろうか?

例えば、検事が責めて、

それを苦に自殺した人がいても、

何も感じないのではないか?

人間を扱っているというよりも、

そこらへんの物を扱っているような心を感じない冷たい対応だった。


自分の取り調べは終わったが、ここからの待ち時間もかなり長い。

昼にはまずいパンを食べた。

前回マーガリンだと思ったものは、

クリームだとわかった。

クリームパンということかと思って食べると、

そこまでまずいと思わなかった。


それからさらに一時間経過したときに、

一緒に来た6人ぐらいが一斉に呼ばれて、

部屋を出ていった。

多分警察署に帰るのだろう。


なぜか自分は呼ばれない。

もしや・・・!?

ここで釈放となるのではないか!?

そんな期待が出てくる。

先程の検事の態度からは全くそうは思えなかったが、

その可能性がある気がした。


朝、荒れていた入れ墨の人が裁判所に行くと言われて出ていった。

これは裁判所待ちなのか。

勾留を決める裁判所待ちかと思った。

前回、簡易裁判所では勾留なしとなったあの裁判をもう一度しているのか。

とにかく呼ばれたら、出られるように誓約書でも何でも書くから早く出してほしい!

とお願いしようと考えていた。


入れ墨の人が戻ってきた。

行く前よりも荒れている。

何で被害届も取り下げられている、示談が成立しているのに、

勾留なんだよ!!!と怒っている。

頭来たわ!!!

もう絶対取り調べにも協力なんてしねぇからな!!!

接見禁止までつくってなんだよ!!!!

と相当な怒り具合である。


接見禁止はきついだろうなと思った。

自分は家族が来てくれているので支えられている面がある。

入れ墨の人もきっと誰かが来れる来れないは大きいのだろうなと思った。

入れ墨をしていても同じ人間。

一人で生活していくのは辛いのだろう・・・。


接見禁止の紙はどうした?

と聞かれ、

そんなの知らねぇよ!!その辺に捨てといたわ!!

などと言っていた。


自分が勾留延長となった時に、

接見禁止となる場合はあるのだろうか。

今まで大丈夫だったから大丈夫だとは思うが、

もしなったら相当きつい。

最悪のケースも頭では想定しておいたが、

留置所で悪いことなどもしていないので、

大丈夫だろうとは思った。


いつ呼ばれるのか・・・。と待っていたら、

「よし!帰るぞ!!」との声が。

「え!?まだ裁判所行ってないのですが・・・。」

と伝えたら、裁判所に行くのは最初だけで、

勾留延長になった場合は、紙がただ届くだけらしい。

つまり、ただ待っていただけだったのだ。

こちらができることは何もなかったのだ。

色々と早く出るために言いたかったことが言えずじまいということになった。


8時に警察署を出て検察に向かい、

17時にすぎに戻る。

検事と話したのは多く見積もっても20分ぐらいか。

それ以外とにかくひたすら待つだけの日だった。

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