第11話 家族との面会
毎週木曜日に連載(?)していきます。
フィクションな部分もありますが、ノンフィクションな部分もあります。
正義とは何なのか。
一緒に考えてくれると嬉しいです。
この日の取り調べは、午前と午後に二回あった。
どちらも刑事からの取り調べだ。
内容はたいして前と変わっていない。
善意で行ったと伝えるしかない。
しかし、刑事としては、あなたの行為で相手が傷ついたんだからとそればかりだった。
気持ちはわかるけどね・・。という言葉もあった。
そして、この日初めて家族が面会に来てくれた。
勾留される時に面会禁止と言われる場合もあるが、
そうではなかった事が本当に嬉しかった。
やはり家族の顔を見ることができると、折れそうな心に芯が通るというか、
負けてなるものかという気持ちになる。
もうすぐ一歳になる娘も元気そうで本当に良かった。
娘に触れることができないのがもどかしい。
アクリル板ごしに手を出すと、娘もそこに手を合わせてくれた。
しかし、それしかできない。
会えて嬉しいが何で自分は娘のそばにいれないのかと悲しい気持ちにもなった。
弁護士さんはなかなか来れないらしく、
家族を通じて伝えることが主になるが、
取り調べの内容をしっかりと伝えてほしいとのことだった。
家族は毎日来てくれるそうだ。
本当に嬉しい。
ただ、土日は面会できないので、平日だけということになる。
検事の取り調べがある日も面会はできないそうだ。
差し入れで人気バスケ漫画を持ってきてくれた。
しかし、それは何度も何度も読み返しているものなので、
読まないで良いかなと思った。
初めて読む、貸し出される小説の方が良いだろうと。
写真も持ってきてくれた。
これは本当に役立った。
寂しい時に写真を見る。
もっと寂しくなる気もしたが、
待っていてくれる人がいるという安心感が得られた。
もちろん子ども食堂についても聞いた。
何件かの連絡は妻が代わりにやってくれたそうだが、
ずっとそのことばかりにかかりきりになることもできないし、
幼い娘がいるので、
私の実家に来て一緒に住んでいるそうだ。
子ども食堂は閉めているとのこと。
まぁそうするしかないだろう。
児童相談所も一応動いているみたい。と報告を受けて、
とにかく自分が早く出る事だけを考えていくしかないなと改めて思った。
面会を終えて、夕飯の弁当を食べていると、
いつもより味がよく感じた。
それは家族と会えて心が少し軽くなったからなのか。。
一応弁当業者が変わったか聞いてみたが、
そんなことはないとのことだった。