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第1話 発端

毎週木曜日に連載(?)していきます。

フィクションな部分もありますが、ノンフィクションな部分もあります。


正義とは何なのか。

一緒に考えてくれると嬉しいです。

私はそれなりに名の知れたレストランのコックをしている。

40代後半の男である。


ある時、店の前にお腹をすかせているように見える子がいた。

年齢は身長から判断すると8歳ぐらいだろうか。

服などはところどころ汚れが目立ち、みすぼらしい感じである。

レストランから漂うにおいを嗅いでお腹をおさえている。

かわいそうに思った。

何かあげられるものはないだろうか。

残っていたパンがある!これをあげたら喜んでくれるだろう。

この店のパンは様々な材料を使って作られていてとてもおいしい。

残っているものはどうせ捨てるだけだし、売り物にはならなくても、全く腐っているわけではない。

これをあげるのはとても良いことのように思えた。


「お腹すいてるの?」

「うん・・・。」

「このパン食べるかい?」

「いいの・・?」

「余っているものだからいいんだよ。」

「嬉しい!!」

「どうぞ。」

「あぁ・・・おいしい・・・!」

喜んでもらえてよかった!

良い事をしたなぁと思って気分が良かった。


しかし、次の日事態は一変する!

その子の親と思われる人が店に怒鳴り込んできたのだ!!

「昨日パンをあげたのは誰だ!!!」

「私ですが・・・・。。」

「お前か!!」

「どうしましたか・・・?」

「昨日は大変だったんだぞ!!!!」

「え!?」

「うちの子がアレルギーの発作をおこしたんだ!!」

店のパンは様々な食材を使っている。

そのどれかがアレルゲンとなってしまったのだろう。

「大変申し訳ございません・・・。。そのようなことになると全く思わなかったものですから・・。」

「何をいまさら言うか!!うちの子がみすぼらしい恰好をしているからわざとアレルギーの原因になるようなものを食べさせて殺そうとしたんじゃないか!?」

「そんなわけありません。。ですが本当にもうしわけありませんでした。」

「謝ってすむことではないぞ!!!」

「本当に申し訳ありませんでした・・・。」

私はそれしか言える言葉がなかった。。

それだけしか言わない私に対して相手の怒りはヒートアップしていく一方だった。

その後謝りながらもその子の容体を聞いたが、

発疹が出てかゆがっているということだが、

命に別条があるわけではないということを聞いて、少しほっとした。


当然この問題は店のオーナーなどにも知られることとなった。


基本的には余った食材などあげてはいけないことになっている。

そのルールを守らなかったことは間違いがない。

それで問題を犯してしまったということで、懲戒解雇ということになってしまった。

懲戒解雇はかなり重い処分である。


もちろん、悪いことをしてしまった自覚はあるが、

懲戒解雇になるほど重い処分なのだろうか・・。

知り合いの弁護士に聞いてみると、ちょっと重すぎるだろうということだったので、

相談し訴えを起こすことにした。


しかし、自分の行いで一人の子がアレルギーで苦しんだのは事実としてある。

それは本当に申し訳ない。

そのことについては反省し、二度と繰り返さないようにしなければならないと強く心に誓った。

アレルギーの子が大事には至らなかったのは本当に良かった。。


さて、自分の行いを悔やみ反省し申し訳ないと感じているわけだが、

この思いをどう表出していくべきなのだろうか。

もう相手と会えることはない。

もし会ったとしても、相手は怒っていてこちらが悪意をもって行ったと思っている。

話をしても相手の留飲が下がることはないし、むしろさらなる怒りがうまれ、増幅してしまうと感じた。

多分これは間違いない事だろう。


ではどうやって償いや謝る気持ちを出していけばいいのか。

長い時間考えて出てきた一つの答えは・・・、


「自分ができることを行って、社会に貢献していく」


ということである。

当たり前のことであるが、それしかできない。

自分の能力は料理を作ること。

その力で、社会に役立つことをする。

それしかないという結論に達した。



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