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第1章39話【羨望遊戯】-君だって持ってるじゃない-






 アーテルを持つ者同士の戦闘は何が一番重視されるか。それは体力であると言える。互いに高出力のアーテルを打ち消し合う事もそうだとも言えるが、最も身体的に消耗する点で言えば自己回復である。

 単純な致死的消耗であれば、行動に支障は発生しない。全くと言っていい程気にしなくては良い訳ではないが、生命維持上は問題無い。何故なら自然(アーテル)が彼女らを癒すから。

 であれば、最も消費する場面は決まっている。それは他者とのアーテルの削り合いで発生する自己修復である。

 だからこそ短期決戦とも言え、持久戦とも言える殺し合いがようやく生まれる。

 そして、そのアーテルの勝敗は……


 パァンっ!!!


 大きく弾ける音。重い空気に更に気圧がかかる様に、重厚ある音が、鼓膜を振動する。蒼く、花火の様に散る結晶は、何処か居場所を求める様に彷徨い弾ける。

 ヴァルエは、蒼い焔を身体から腕へ、指になだらかに伝う様に手から離し、最大限撃ち込む。それは何であろうと等しく焼く事が出来た。



「何をそんなに羨んでるの?君だって持ってるじゃない。アーテルを。」



 時に緑碧の欠片をぶつけ相殺。時には氷柱を複数立てては崩し的確に対処するストベニーツァは、息を切らしながらも、恨み言を綴る。



「私が操るこんな物が真のアーテルだとで思っているのかしら?だったら貴女はッ!……もう少し世界知った方が良いわねッ!」


「だーかーらー。そんなのどうでもいいって言ってるんでしょ。」



 蒼く散る破片がストベニーツァの脇腹を軽く抉った。鮮血は舞う事無く、蒸発する。

 既に右腕は機能不全を起こし、呼吸すら危うい状況で、ストベニーツァは戦っていた。意義や意味を見出す事無く、指示を出された訳でもない。であるのに何故、これ程までに執着して今も地に足を着け続けているか。腕を焼き折られ、プライドを傷付けられ、アーテルを侮辱され。

 しかし、自ら行動し、真剣に戦ったのはこれが初めての事だった。



「ふぅっ、ふっ!はぁ、はぁ、ーーいいえ、拘りを拒絶するなんて事はあってはならないわ。ゴホッ、尚更アーテルの事に関しては…ね。あってはならないのよ。」


「……何をそんなに怖がってるの?君と話しても、ほんとーの君と話してないみたいな。別の人と話してるみたい。」



 ヴァルエの感は間違ってはいなかった。彼女、ストベニーツァは何かを模倣する様に生き続けているのだろう。

 それは、親であるのか、師であるのか、友であるのか、集であるのか、はたまた『敵』であるのか。

 気付けば嫉妬していた。気付けば渇望していた。気付けば真似していた。



「かひゅぅ。はふっ、ーー実の私?この姿こそが、私だけの私。私だけのアーテル。そして……。」



ーー私だけの彼。なんて、ストベニーツァは言える訳が無かった。言いたくも無かった。彼が望まないだろうから……。



「ーーそして?……夢は見るためにあって望む物じゃないんだよ?まぁ〜いいなぁって思う事はあるかもしれないけどね。」



 足先から細長い手先までの身体を纏いし、蒼く連なる焔。その色彩は色褪せる事無く、発色し、生命の鼓動を耳元で聞く様な若々しさがあった。

 圧倒的なアーテルの本流。彼女から流れる様はホンモノのそれであり、嘘偽り無い彼女自身の物であった。



「えぇ、お前には分からないわ。分からなくて正解よ。理解(わか)る筈が無いもの。」



 彼氏に望まれなくとも、求めて欲しくて、望んでほしくて。



「ーーそろそろ、飽きたしお終いでいいよね?だってその身体じゃ〜もうこれ以上、私と戦えないでしょ?……あ〜〜、早くイミヤちゃんを独占したいなぁ。、、だから、ね?この位の壁なんて……」



 此方に蒼く輝く瞳を向けーー。

 ーー刹那、捉えたモノは、細い棒に、眩く淡い光が灯っていて。



 バシャッ。



 一瞬の事、その細い棒は直ぐに消え去り、視界は白黒と点滅…いや、幾度と無く瞬きを繰り返し、その状況をハッキリとさせる為に。



「ーー壁にも満たないんだよ。」



 胸中を貫かれたのだと、静かに悟った。

ヴァルエだから割と支離滅裂に書いた気がするんだけど気のせいか。


 理性を放棄する事がなかったヴァルエ。それは、理性を従えたのだろうか、それとも……。


 因みにストベニーツァの撃破にはギミックがあったので本来であればとある過程を踏む必要があるんだよね……。まぁ、ヴァルエが力技で解決しちゃった訳だけども。

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