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第1章31話【月華蒼輪】-慣れない光景-




 その知らせを、事実を聞きつけられたのは早朝5時のことだった。

 ヴァルエさんの裁判前日。あまり眠りにつけなかった私は、用意された部屋の中。その片隅に用意されたテーブルと椅子に腰掛ける。夜に照らされたテーブルは、影を描き、カタチを保つ。

 窓の枠に肘をつき、顎の一部分を軽くのせた。頬杖をつきながら外の一望をぼんやりと眺めることしかできない。物憂気。そう表現するにはやや不適当で。



「ヴァルエさん…。」



 その一言は彼女(ヴァルエ)の耳に届かない。届けられない。

 月の光に照らされた室内は、仄かな冷たさを秘めていた。だが、人であり、感情に支配されるモノである限り、その冷たさは(しの)ぐことができる…。



「……りぃーだー。」



 眠気まなこを解くように擦る彼女。意識を完全に覚醒させることはなかれど、話半分聞いてあげると言った態度であった。

 そんな気遣いができるインディゴさんに感謝しつつ、イミヤは首を振る。



「いいえ。大丈夫です。ーー大丈夫なんです。インディゴさんもお疲れだと思います。今はゆっくり休んでください。」


「…ん。……リーダーも早く寝た方が良い。」


「ーーそうですね。そうします。いつまでも眺めても仕方ありませんよね。」



 月に照らされた影が大きく動く。手をなだらかに伸ばし、ゆっくりと腰を上げた。



「確かに月は珍しい。」



 インディゴさんの端的な発言はイミヤの瞳を揺らがした。ーーそれから目を細め……。



「えぇ。」



 そう静かに返答したのであった。





→→→





 パサリと静かに布団をめくり、身体を捻じ込む。左手で布団を胸元まで掛けると、天井を見上げだ。いや、自然なことであろう。見上げたと言う表現よりも目が合ったと言ったほうが適切なのかも知れない。それ程自然と焦点が合ったのだ。



「………大統領が知事に移冠することはそれほど珍しいことでもない。」



 呟きとも取れる一言がすっと耳を抜けた。その言葉を解釈するにはそれほど時間がかからない。なぜなら………。イミヤも理解しているからであり……。



「ですが……。それは、やっぱり私には分かりません。人の上に立つべき人はそうやって選ばれるべきでは無いはずです。それに、まだ飽く迄『噂』です。信憑性に欠けると私は思います。」



 拒絶であった。理解したくないと言う拒絶。わかりたくもない。それが彼女の結論であった。しかし、それは変わらぬ現実でもある。諦めの悪い彼女は意地になっているのかも知れない。



「どう考えるのも自由。私は否定しない。」



 インディゴはそう端的に告げる。開けていた薄い片目を閉じると、スゥッと寝息をたて始めた。

 上下に揺れる布団。深い眠りに着いたのだとイミヤは感じた。「無理をさせすぎてしまった」とちょっぴり申し訳ない気持ちでイミヤも瞳を閉じた。


 くるくるくるくると回る頭は、まだイミヤを寝かせるつもりは無いらしい。考えなければならないこの先の事も、溢れてしまいそうな出来事も、今のイミヤにすぅっと全身に染み込んで行く。


 今も1人でいるヴァルエさんの事。途中逸れてしまったミスリアさんの事。そして、今も尚出会えていない名前無きあの子と、ヘクタの事も。


 イミヤは布団の中にうずくまった。ポタポタと溢れて行く意識の中………。


へくたのことも……….






 月下。いや、月華。再び咲く蒼い華。静まり返った部屋に二輪。淡く凛と灯り続けた。







↓↓↓






 裁判当日。a.m.5:00


『今朝未明、ダーター大統領辞任の意向が明らかにされました。突如として発表された辞任の知らせに、現地は大混乱となっています。そのダーター前大統領によりますと、後任にはプレスト氏を推すとの発言も垣間見れました。それに対してプレスト州知事は、……』



 ずっと考えていた。瞳を閉じながらも。私のすべき事を。それは私にしかできない事で。私だからできる事を。

 考えても考えても掴むことができなかった。綿を掴むような感触に溺れた。中身が詰まっていない綿。溢れてどこかへ行ってしまう。自然に瞳は落ちて行き…………。



「おはようございます。インディゴさん。」


「ん……おはよう。」



 気が付けば朝だった。



「よく眠れましたか?」


「問題ない。それよりも……。」


「ええ。インディゴさんの思惑通りでした。………。私は、今日どうすべきかまだ分からないんです。ヴァルエさんに、「頑張れ」って励ますことも、プレスト氏に再び交渉の場を設けてもらうことも。」


「大丈夫。イミヤならできる。」



 その言葉は、優しさに思えるだろう。しかし、時には残酷で、(ヤイバ)にもなり得ることをインディゴは知っていた。

そろそろヴァルエも出てくるでしょ(適当)。まぁ、実際のところ次は裁判だろうから、ね。魅せ場って事かな。


 やっぱ陰ながら見護る彼女のこと考えると……。最高やわ。んー。美味。身震いしちゃう。

 監視社会とサブタイトル悩んだけどやっぱこっちっでってなったよね。個人的には今回の目線は斜め上からの視線と、彼女らの心の視線の二つがメインだからね。

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