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第1章30話【心呪方約】-見つけた-






「はぁ。頭がキレる奴ほど先を見通すことを求める。……今回の奴は、その上意外と活発。隅で潜められるよりよっぽど楽だ。」



 次の対処は、脳が理解する。何万何千通りの最善策は、全ての人に平等に与えられる。ただ、人によって取れる手段が異なるだけ。雑音に掻き消される前に一つでも多く掴み取れた者が最後に全ての権利を与えられる。



 正面に相対するフードを深く被る奴は、身分を隠すようで…。その顔を覗き見ようにも、空間が歪んだような独特な錯覚により、叶わない。



 刺突。


 身を翻し、交わす。そのナイフを握る腕は、翻しと共に瞳を引き裂くかのようーー狙いすまされた。距離を置くわけではなく、すぐさま次へと繋げる技量。それが奴にはあった。しかしそれだけでは終わらない。


 振り上げられたナイフは、躱されたと奴が理解したと同時に光り輝く。

 それは、アーテルによる攻撃ではなく………



 ーー閃光っ!?!?






 ↑↑↑





 ヘクタは、なぜ戦っているのだろうか。真に身を挺して守るべきものは存在しているのだろうか。そんな疑問が時折頭の内を木霊する。

 あの日のことを消し去りたいと彼自身が心のどこかで思ってしまっているのかもしれない。

 

 ヘクタは、いや、私はサタブラッドをこの世から消し去らなければならない。それが私の役目である。その認識で生きなければならないと。

 その過程で六大器は全て消す必要がある。


 砂塵を掬うかのような難解な作業。先の見えない問いは彼の心に焦燥をもたらした。


 そして、月日流れ、『六大器の1人(ノウン)』を討ち取った。しかし、ヘクタには実感が湧かなかった。「生きている。目的を遂げようとしている。」と言う実感が。

 イミヤ達と共闘して、最終的にヴァルエが殺した。

 独りで成し遂げなかったから?



 実行と失敗を繰り返すしか方法を知らない彼。いや、他の手段を自力で生み出せない程に思考が凝り固まった彼は、独りなのだ。


 そしてヘクタは、違和感を現実のモノにし、今日も這う。



 それが今、彼の戦う理由であった。




 ↓↓↓




 閃光ーー。眩く光るそれは攻撃の手段などではなかった。

ただの目眩しだ。


 強襲兵。一つ一つの判断のミスにより、相手を崩しに掛かるタイプと言うものが、世には存在する。



 ぼたたっ。


 三つの円が重なり描くように広がる。



 たらりと垂れる液。どろりと滴る液体は、ヘクタの左腕から流れ出たものであった。

 激しい痛みが、熱さが、脳をガンガンと刺激する。これ以上ない程に意識の覚醒を促すように。


 長くも短くもない細長く鋭い針はヘクタの腕を(いと)も容易く貫く。

 心臓への急所を的確に狙った一撃。彼の身体に貫通したと言う事はアーテルを乗せたと言う事。


 そして、その渾身の一撃はヘクタの心臓を止めるには至らなかった。


 小賢しい手段を使う奴だ。だが、目に見張るようなアーテルは持ち得ていない。それを逆説的に証明してしまった。奴が私と争うには急所一点の刺突以上のアーテルによる直接攻撃しか手段が残されていない。

 なぜなら、ヘクタは一度見た攻撃の対処を間違える程愚かではないからだ。


 しかし、ヘクタには決定打が欠けていた。それは向こうも同じことであろう。

 長い時の間が生まれたような錯覚が、空間を支配する。それは隙を狙うためであろう。お互いが呼吸を測る。そして、その決着をつけるために………………。



「ミスリアっっつ!!いるなっ??」



 響くはずのない声が、良く耳に通る感触を味わう。バサリと舞う服の端は、彼の動きを目で追うかのように追従する。

 既に彼女らと別れてから数分。本来なら、いくら呼べども来るはずが無い。

 しかし、それは彼女らの身に何もなかったらの話だ。



「っ………!!世話が焼けるってのはこのことだねっ!!!」



 一線。いや、一閃と表した方が適切かもしれない。ミスリアが繰り出したそれは、音が遅れるほどの威力があった。フォンと言う風を切る音と共に流れるは輝き。

 その輝きは、きっとアーテルにしか出せないものであろう。

 見開いた瞳孔に映るその淡い光は、ただただ、美しいと、そう表現するしか今のヘクタにはできなかった。








↓↓↓










 ミスリア達と別れてどれほど経っただろうか。特段心配しているわけでもないが、それなりに共に過ごした仲だった。気にならないはずもない。


 しかしその意識の流れも、永遠には続かない。



 突如視界を奪うかのよう。いや、実際には緩やかな闇。それを知覚すると同時に、思わず腕を震わせる。

 昼は焼けるような(あつ)さアレカサンドゥリアの気温は、地下深くまでは届かない。それは熱に限っての話であると。

 熱を吸収し続けるその環境は、常人ならその場でかがみ込んでしまう程に冷たかった。しかし、彼女(ステラ)は人よりも温かみが強い彼女にとって非常に適した場所であった。

 それ故の地下。



ーー本当にそうであろうか?彼女は温かさ、温もりを知っている人間であると、あの時ヘクタは感じていた。そんな彼女が独りで恒久とも思える時間を過ごせるのだろうか。


 『できる訳がない。』ヘクタはそう結論付ける。では、なぜ、あの場に留まっているのか。契約。約束。それらは意味を成さない。其れ等は彼女を縛り付けるには効力が弱過ぎるからだ。


 であるならば、呪約。


 考えられる可能性。一つはステラよりも上の存在(アーテル)による縛り。二つはステラが自身に課した罰。三つはステラの意識的な敗北。


 しかし、どれも彼女が利用されるだけの存在理由にはならない。


 理解できない。理解し難い。何故。分からない。



 ヘクタは理解したくない。彼女の生き様を。










 ーー特段特別な場所でも無かった。入り組んだ路地を抜けた先。


 他にも隣接するモノがあると言うのに。たった一つの建物が、視界という画面を覆い尽くす。周囲には人影が無く、人の気配もしない。危険区域でもないし、立入禁止区域ですらなかった。


 そう、なんの痕跡も無い。だからこその違和感。



 扉を開ける。



 彼女の居る場所は、どうにも窮屈で。冷やされた鉄板の上に手を乗せるとキュッと拒まれるような感覚、私と貴方は他人であると言う認識。冷え切っている。

 そんな感想を抱いた。





ーーーー「余計な事を。」





 その声は、暗く、黒い、意識を触るような、脳をずるりと優しく撫でるような感覚。身の毛がよだつ、気持ちの悪い感触だった。


 そして、、、



ーオマエハダレダー


 ヘクタの意識を血で染め上げた、

と言うわけでヘクタ視点はこれで殆ど終了です。あとは問題が片付いてからのヘクタ視点くらいだね。

 イミヤちゃんを早く見たい

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