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第1章28話【零拍対談】-イミヤの道筋-

→→→



 人工的な樹々の香り。鼻に付くと言ったら少し気が障るかもしれない。

 用意された舞台は、脚光を浴びることは無い。しかし、着実に事象は進む。




「ーー多忙な時期に態々時間を取ってまで開いた面談。招待を蔑ろにされた不義理を大々的に報じ上げようとしたのだが……。ふむ。上手くいかないものだな。ーーさて、そちらのお嬢さんは何についてのご用件かな。」



 老らしい黒を基調としたそれなりの机に並べられた資料(ゴミ)。それらを払い除け、彼はゆったりと顔を上げた。


 対面する少女。コツリと、足を小さく開く音が響く。



「私たちをワーマナへと送り返すための運送機離着陸、共に許可を求めます。」


「それが望みだと?」



 彼、プレストはその少女と対面する。小柄なその身体は、何をもたらすのだろうか。



「はい。私、イミヤを含め計6名はこのまま北東に飛ぶ予定です。ですので、出国許可と通行許可、及びに運送許可を貰いたく、この地に赴かせて頂きました。」



 イミヤはこの地での役割と目的を告げ、話を円滑に、効率よく進めて行く。もし仮にこれが刹那的な商談であるとするならば、素晴らしい出来合いだろう。


 だが、これは擬似戦争であることを忘れてはいけない。既に戦火が燻り始めた……いや、戦火が燃え上ろうとしている今。果たしてその判断は正しいのか。



「6名?5名の間違いではないかな?」


「いえ、6名です。ワーマナ戦略部実務課指揮作戦遂行責任者ヴァルエも含めてです。」



 その水流のような瞳で彼に光を当てながら問う彼女。その瞳は確固たる意志。確固たる決意。確固たる行動。

 今を流れる彼女にプレストも息を呑み、思わず正面から向き合った。



「……何を言い出すかと思えば。君たちも知っての通り彼女は今現在、西部国際軍事裁判にかけられている。そのことを忘れたわけではあるまい。」


「私達は、組織国際法に関しては何も違反をしていません。むしろそちら側が、議決権の乱用で罪に問われるべき事案です。」



 イミヤは引き下がる事はなく、言葉を続ける。怖気付き、後悔するでは遅いことを知っている。

 ーーだが、強い言葉には、当然棘が用意されている。



「ほぅ?ワーマナの一部所如きが、ヒト一人の『命』よりも滑稽なルール(組織国際法)を優先すべきであると?」



 イミヤは常々思う。人はどうしてこうも通じ合え無いのかと。


 しらじらしい。既にプレスト州知事が定義する殺し合いで済む問題ではないというのに。ーー彼女の強張る顔は、彼の口から綻びを得るには不十分であった。


 彼女は昔から向けられる悪意をうまく対処出来る人柄ではない。しかし、向き合わなければいけない時がヒシヒシと迫ってきているのだ。



「今、各地で既に暴動が起きていますよね?それを知っていてあなたは、彼らが殺される様を優に見殺しにした。そんな貴方に命の価値を問う資格などありません。」



 彼女が見て、感じて、触れ合って。そうして得たイミヤなりの見解だった。


 その答え(出来事)を、これは参ったと、んーと肩を下す、プレスト。どこまでも人を馬鹿にする、見下す態度。イミヤはそれが気に食わなかった。

 とはいえ、表に出すべきではなかったと反省はする。心内で小さく。



「時にイミヤ君。君は特に信頼する部下を持ち得ているのかな?」


「………?質問の意図を理解できません。」



 突然虚を突かれたかのように、表情が固まる。思考外のことを叩き付けられた彼女は、回らない頭を順序よく回転させ、その質問の意図を読み取ろうとーー。



「いやはや、優秀な『駒』というものはどうも扱いづらいことが多い。予想外の結果を生み出されることに私は不慣れでね。」



 と、チラと口をつぐみ続けていたストベニーツァを横目に、問いかける。



「とは言えだ。その報告が芳しいモノであればあるほど、喜ばしいことはない。そうは思わないかね?」


「ーーーーえぇ。私は歓迎する……。と、そう思います。」


「しかし、困る者もいるのだよ。欠損する物事は、幾分様々な可能性を生み出す。それを私は不完全であり、拒絶するべきものであると考える。………さて、君は手立てを再び用意するかね?」


「私はまず、歓迎します。誉めて、喜びを共感し、見合った報奨を支払う。それが、今の私達であり、そうあるべきです。」



 それはイミヤの本心だろう。喜びを協調したい。分かち合いたい。繋がっていたい。それは、願望で有り、イミヤの望む結果、結論。終着点でもある。


 その答えを聞き捨てた彼は、嘆息した。くだらないとそう見切った。



「……ふむ。少し興が乗り過ぎたな。年甲斐もなくすまない。それとして、公判は出席するのだろう。少し便宜を図ってやろう。」



 心にも思っていない彼に、イミヤは不思議と少し苛立ちを覚えた。そう。苛立ちだ。苛立ちを感じたのだ。しかし、元の話から逸れ過ぎたのは問題であり、今はそれを深く追求している暇はない。



「我々は、この裁判を認めません。」


「もうその話は終わった。議決権については、本部に確認すれば良い。君たちが帰る便の手筈は整えてやろう。当然公判後ではあるがな。」



 一瞬で物事が決まる手筈の良さ。


 ……内通者が存在する?ーーーーそんな思考を打ち切り、イミヤは前に進む。手段は限られている。ならば限られた中で出来ることをするだけだ。



「我々は最後までやるべきことを各自やらさせていただきます。」


「好きにしたまえ。これ以上我々がお嬢様方に関わることはない。」



 閉まる扉。イミヤの背。


 インディゴが口を開くことはなかった。




 →→→




 『適時・投票総数推移に関する簡易報告書』プレストは軽く開けるとそのまま閉じ、端へと追いやる。



「ふむ。本当に物事は理論通りに進まぬものだな。………さて。今から戯言を聞くつもりは毛頭無いわけだが……。ストベニーツァ?君は何をしていた。」



 その声色はプレストの張り付いた笑顔とは裏腹に何者からも切り離すかのように凍りついていた。



「………はぁ。そんなつまんないことに手を出さない。私は言われた通りとっ捕まえてお話しただけ。それ以上は関与してないし、逃したんならそっちの責任でしょ?」



「口の聞き方には気をつけたまえ。これからは以前のように気の利いた説得ができると思わんことだな。結論は民衆が勝手に着けるだろう。」


「身に覚えのない濡れ衣なんてコワァイ。着衣は今ので十二分に間に合ってるわぁ。ーーそれに、私はまだ『プレスト州知事』の任務が残ってるからお暇させてもらうわね?」



 見合わぬ音を置き去りにし、メインディッシュ(????=?????)を目前とするストベニーツァは静かに嗤った。

3月らすとぉおおお。いや早いて。

んで、話ついてこれてるかな?なんか付け足した方が良いものってあったりするかなと、悩む今日です。


因みに現在は、アーテルによって、個人の重みが変化した。複数よりも単数の時代って訳よ。

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