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番外編特別話【Ⅱ】-バレンタイン-

え?15日?細かいことはいいんだよ。



 今年もこの時期がやってきた。

 ーーとは言ったものの、書類仕事の山で埋もれてしまうのが日常だ。


 こちらはえぇーと損耗機器の確認及び補充の内訳で……。そちらは……期日が今日?一部施設の借用書?んんー、、艦長に許可を貰いに行かないと……。んー?こちらは……。


 カレンダーを見ることのない生活に慣れてしまってからはイベント行事にも疎くなってきていると自覚がある。特段嫌いなわけでもないイベントを忘れることも、忙しかったら多々あるだろう。

 ならどうして気づいたの?って?それはですね……。




「いーみーやーちゃーーーん!!」



 遠慮なくドアを乱雑に開けられ、第一人者は突然イミヤの前に現れる。

 慣れてしまったと言えば聞こえは悪いが、それ程信用している証でもあると私は思っていた。



「どうかしたんですか?ヴァルエさん。」



 少しそっけない態度を取ってしまったが、仕方ないだろう。……なぜならこれ程の書類の山が視界の端に写り続けているのですから…。

 仕事をやってもやっても終わらない。まさにデスマーチ……。と言ってもGHMは基本的には規則には厳しい。つまり、ブラックな環境は許されてはいない。何せ世界に名だたる組織なのだから。ホワイトでなきゃ困る。

 とは言え、そうは言ってられないのが中枢部分。要するに少数精鋭の負担は尋常なく多い。その代わりと言ってはなんだが、娯楽や商業、福祉施設など様々な特権も多い。勿論給金も他より大きな差があるだろう。


 ですけれど……使えるタイミングが無いんですよね……。とにかく暇がありません。休もうにも、右へ左へ、期日が当日のものも増えてきています。

 やってもやってもおわらない…。うぅ。



「だいぶお疲れのようだね〜。ーーそんなイミヤちゃんに朗報!!なんと今日は!!バレンタイン!!」



 ガタン!


 いたい!机の角に手をぶつけた!



「……もしかして……今日ですか?」


「そーだよ?もしかして忘れてた?んーまぁ仕方ないよね。書類仕事は全部イミヤちゃんに任せちゃってるし……。ほんとーにごめんなさいとは思ってるよ。うん。だーかーらー!今から連れ出しちゃいます!」


「行きたいのは山々なんですが……。期日が今日の仕事が………。」


「大丈夫だって!1日くらいどうって事ないよ。」


「ですけれど………。書類が…。あぁ…。」


「こりゃあだめだ。よし!お姉さんに任せてねー!」



 無理やり襟元を引っ張られてズルズルと為されるがまま引き摺られる。

 手と足をパタパタさせようにも無理矢理引っ張られるー。あぁー。



「うんうん。楽しいのが一番だからね〜。と言うわけで今年こそは手作りチョコレートを作ろう!!」


「去年も同じことを言っていたような気がするのですが……。」


「言ってないよ?今年は時間と材料が余ってるからね!作りたい放題!」


「恐らく食品衛生管理部が融通を利かしてくれたんですね。あっ!遠征時の食費などの経費予算を請求するのを忘れてました……。今からでも戻って……」


「んー?行かせないよぉ?」



 イミヤは今日ここで尽きるんだと悟った。



「そういえばインディゴさんはどうされたんですか?」



 余りにも勢いが強過ぎた為に忘れるところだった。そうだ。インディゴさんは今何をされているのでしょうか…。



「話題を出す前に今年はパスって逃げられた……。並んで歩いていた筈なのに、まさかエレベーターで撒かれるとは……。インディゴちゃんもやるねぇ。」


「私も書類仕事に戻っても…」


「それは駄目。このままイミヤちゃんが働き続けたら魂が抜けてどっかに飛んでっちゃいそうだし。」


「凄く特殊な表現ですね……。ですけど、仕事を放置し続けると、どちらにしても私の首が飛びそうなんですが……。」


「だいじょーぶだってぇ。イミヤちゃんを飛ばせるのはそれこそ艦長くらいなんだから。」


「はぁ。先が思いやられますね。」


「なんでそんなに暗くなってるの?ーーあっ!見えた材料保管庫だ!うわぁ、たっかい。これ買うとなると私の給料の何日分?この自動販売機壊れてるんじゃないの。」



 そうこうしているうちに材料を一時的に保存している区画に着いたようです。ここでは法人は勿論、個人も購入することができる所謂、卸売場と言っても良いかもしれません。

 それと…ヴァルエさん販売機をガシガシ蹴るのは止めてください。



「えぇと何を買いに来たんですか?」


「そりゃぁ勿論チョコレートと生クリームでしょ!沢山いるからね。」


「どれどれ……。ピャッ」


「あちゃーイミヤちゃんフリーズしちゃった。んんーでも確かに高いなぁ。流石原材料仕入れているだけのことはあるねぇ。チョコレートはグラム毎で820円か……。生クリームは……430円。これもはや武器とかの方が安いんじゃないの。」


「人件費は掛かっていないのにこの値段ですか……。これだと市販のチョコレート菓子の方がどれだけ優しいか痛感させられますね。企業努力痛み入ります。」


「それもあるんだろうし、場所も場所だからかな?」


「はい。この地で嗜好品を一時的に耕作してくれた事に感謝しなければなりませんね。それでどうしますか?チョコ作り続けますか?」


「わ、私はだいじょーぶだよ。うん。節約すればなんとか…。うん。半月は持つかなーって。」


「ヴァルエさんは貯金しないんですか??駄目ですよ。いざという時があるんですから。」


「ごめんごめん。わかってるって。それでーそのー。」


「ーーはぁ。仕方ないですね。はい。分かりました。私が払います。」


「ありがとーさっすがイミヤちゃんー。可愛い最高世界一!」



 思いっきり抱きつかれ、息が、、、。く、苦しい。

 手をヴァルエさんの肩にトントンと叩くと、ようやく気がついたのか手を緩められた。


 ふぅと一息つく。



「私達は社員なのである程度の負担をGHMが補ってくれると思うのですが…。大丈夫そうですね。」


「社員への配慮かぁ、流石GHMやっさしー。」


「どちらにしても、これ程の量買うのでしたら」



「私調理をしたことないんですけれど…うまく作れるか不安です。」


「大丈夫。大丈夫。私も料理なんてしたことないし。まぁ、昔ちょこっと手伝ったくらいで。それこそ、前わちゃわちゃしてた時にイミヤちゃんとインディゴちゃんとミスリーで作ったっきりやってないし。」


「懐かしいですね。確かにあれが最後だったかもしれません。料理してみたいとは思うんですけれど、何せ皆さん忙しいですからね。私も落ち着いている時期があったかどうか…。」


「そんなこといっちゃって~実はあいつに食べさせようと密かに練習してるんじゃないの~??」


「いえいえ、、してませんよ。そんな暇ありません。」



 トクトクと小刻みに揺れる拍動を両手でひたすら隠しながら、頬を赤らめる。

 ふーんとニヤニヤしながら顔を近づけるヴァルエさんを押し返すと、両手を上げ降参降参と言わんばかりに調子よくバックステップを刻んだ。



「そういえばチョコを買ったのはいいんですけれどどこで調理するんですか?自室にキッチンはありませんし……。」


「だいじょーぶだって。料理できる場所を申請しておいたから。」


「えーーっと、その場所ってもしかして、、」


「そう!この目の前の料理室!棟全体も貸し切れるみたいだから申請しておいたんだ!誰にも見られちゃだめだからねぇ~。ほら見てて。」



 そう言って目の前にあるカードリーダーに職員カードをかざそうと手を伸ばすと


 ビー



「あれっ」



 ビー



「こわれちゃったのかな??」


「えぇーとそのヴァルエさんその申請はどちらで……?」


「あーっと戦略科宛てだから…あっ……。」


「まだ書類の山に埋もれてますね…。」


「えーーーーー。」



 ヴァルエの尻尾がシュンと垂れ下がる。見るからに寂しそう。


 どうにかできないかとイミヤ思考を巡らせる。うーん。替えの部屋はキッチンが使える部屋となると…厳しいですね…。



「あっそうだ!」



 何かをひらめいたのかぱぁっと顔が明るくなるヴァルエさん。



「イミヤちゃん!」


「はい。」


「今申請すればすぐに使えるようになる?」


「おそらくですが、他の予約がなければ数分で使用できるようにはなると思いますよ。」


「よし。じゃーあー。インディゴちゃんを探しに行こう!」


「インディゴさんを呼んでどうするんですか。」


「申請した書類を見つけ出してもらうんだよ~」


「確か断られていませんでしたか?」


「断られたのはチョコ作りだから頼み込めばなんとかなるって。私探してくるからイミヤちゃんは書類よろ~」



 人差し指と中指を合わせておでこから弾いてみせると、有無の返事をする前に跳ね去ってしまった。別に構わないのだけど……。考えても仕方ない好きにさせよう。



「さて、私は自室に戻りますか。」



 とはいえ探さないと始まらない。確かヴァルエさんが来た時に見たような…。うーん。どこにやったかなぁ。



「これも違いますし…、うーんこちらの資料も違う…。」



 はぁ、悩んでばかりですね。気晴らしになれば良いと思ったのですが、逆効果だったでしょうか…。

 そうこうしているうちにある程度時間が経ったのだろうか、ドタドタと廊下で騒ぐ音が次第に大きくなり、パシュッとドアが開かれた。



「連れてきたよ〜。」


「無理矢理連れられてきた。」



 物凄く嫌そうな顔で首を傾げながら斜め上を見る彼女は、仕方ないかと既に悟っているようだった。



「すみません。インディゴさん。お願いできますか?」


「はぁ。仕方ない。少しだけ手伝って上げる。それ以外はもう干渉してこないで。」


「ありがとうございます!」


「棟借用申請書類で良いの?」


「そうですね。お願いします。」


「いやー、どうなるかと思ったけど、助かっちゃったね〜。」


「ーー首元を引き摺られたことは忘れてないから。」


「……ヴァルエさん?」


「ん、んー。急いでたからね。仕方ない仕方ない。」


「はぁ。取り敢えず書類が見つかるまで………『あった。』」



 気のせいだろうか。あれ程慎重に丁寧に迅速に探したのにも関わらず、もう見つけたと言うのだろうか……。

 少しショックを受け口を開くことすらできないイミヤであったが、ヴァルエの歓喜の声で氷が溶けるように動き出す。



「流石インディゴさんです。お早い…。」


「早く申請した方が良い。ここで留まるべきじゃない。」


「そうですね。ありがとうございました、インディゴさん。」


「ありがとー。ほんっとーに助かったよ。じゃねー。また会ぉ〜ね〜。」



 申請書を出して、許可を貰って、ふぅ疲れました。これでようやく作り始める事ができます。



ピッ



 カードキーも上手く作動したようだ。



「それじゃあ後は何ができるかお楽しみ!ってことで!」





 昼は沈み、もう夕方。流れるように時間が過ぎて行き……。




「ヘクタっ!!」



 トテトテーっとヘクタによる影があり…、その影はとても良い小さくて、可愛らしくて……。



「イミヤか。今日一日見かけなかったが何処にいたんだ?」


「それはですね……!!見てくださいこれを。」



 彼女の丸っこいポーチの中から出てきたのは……。


 四角く白い箱に赤色のリボンで……。








-\HAPPY VALENTINE/-

それはとても可愛らしい和かな笑顔だった。


本編書けって?うるせぇ!癒されたいんだ!!あと、時間と文字数が足りねぇ!また書き直してやるからな

因みに次話は推敲するだけなので今日投稿できなくもない…。んー気のせい!


後本編が全く進んでないから出せるキャラが限られすぎてる!!

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