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第1章23話【樹木地体】-3次元の幹-

19→23(イマココ)→21→次回24

一応ストーリー進行はこの感じ…いやわかるかー!



「行ってらっしゃい。」



 意識は浅く。それでも確実に沈んで行き……。




↓↓↓




  現実世界と仮想世界の違いはなんであろうか。

 それは極めて異質な問いである。なぜなら……



 暗闇から突然光源を得たかのように、瞼が橙と発光した。瞬きを何度か繰り返したのちに、瞳をゆっくりと開ける。感触を確かめるために手を目の前に挙げた。翻し、握り。その感触を自身「ヘクタ」のものへと昇華させる。

 その世界には、体が存在した。


 接続が上手く行ったと喜ぶ間などなく、イミヤ達が行動しやすいように、そして、ヘクタの行動を阻害するテキの為に。



「ーーさてと…。まずは、セキュリティホール(脆弱地)の探索だな。」



 何が起こるか未知数である仮想世界の把握が最優先なのではないか。そう考えるのが普通だろう。

 しかし今は時間が惜しいし、そんな必要はない。なにせここは仮想世界。人が認知するために構築された3次元の空間であるからだ。


 意識が在り処を問いただせば、自ずと答えが感覚で帰ってくる。利便性の追求の結果ーー「人」が理解できる空間、白い世界に水色に染まった青い粒子が紐の様に浮遊する。


 そして、この世界では歩くことも可能だ。求める答えを探すべく、目の前の粒子を目指し歩んだ。



 青い粒子に触れるように縦に二本指でなぞる。すると眼の前に斜め向きのウィンドウがスンと音を立て現れた。



 そのウィンドウを数秒とたたずして閉じ、再び歩き始める。

 表示されていた内容が望むものではなかった。というよりも玄関口である証明でも有り、システムログインなどの初歩の部分。核心に迫れるものではない。



 ーー場所を変えよう。



 今まで通りではダメだ。

 もう歩く必要などない。ただ把握すれば良い。


 オレンジ、黄色、様々な糸を巡った。市民の管理番号や、個人の利潤など。流石は『ステラ』。膨大なデータ量でも物怖じなどしない。


 戸籍の中に、ふと、気になるデータを見つけた。



「独立捜査官ストベニーツァ。……彼女の戸籍に弄られた痕跡……。辿ることはできないか。」



 アレカサンドゥリアでは有名な捜査官。中でもアーテルが突出して秀でているらしい。GHM基準だとClassはⅡ程度。しかし、アーテルは予測するに、インディゴと同じかそれ以上。ここ数年での異常な伸び……。

 何かがあったらしいが、詳細は抹消…量子掠れを起こしている。過去ログを辿ろうにも、復旧しようにも不可能なレベルにまで分解されている。


 無理な事は深追いしても仕方ない。資料から目を離そうと…



・行動記憶 LgLi(LogList)

ーー伝令・目標修正〜〜〜〜

ーー()()()()()()()()()()

ーー、、、、、、、、、

ーー、、、、、、、、、



「ッッ!」



 目を見張った。どれだけ触れようと変わりはしないウィンドウをただなぞる。


 ヴァルエが拘束された?確かに疲労は溜まっていたろう。1ヶ月の極秘任務。有り得なくはない。

 ……が、不自然なことに変わりはないのだ。ヴァルエはインディゴよりも圧倒的に腕が立つ。イミヤは…不確定要素が多すぎるから省くが…。ーーともかく、今あのグループの中では、唯一と言って良いほどアーテルの攻撃手段がずば抜けている。


 ストベニーツァがヴァルエに(まさ)っているとは思えない。となれば他者の介入…?


 否定したい。否定したいが、既に結論が出てしまっている問いの答えを書き換えることはできない。


 ストベニーツァの異常なアーテルの伸びだ。そこに何かがある。



 とはいえだ。何時迄(いつまで)も情動に浸っている場合ではない。システムを改変するには、更に深く潜らなければならないだろう。



 特定の粒子部分を探し出し、本来の目的である、ドローンのプログラム改変を始めなければならない。


 ウィンドウを生み出し、特定の地点までサーチする。そして、ドローンの行動パターンを3日ほど遅延させてやれば良い。外からの介入を不可能にし、内部からの調整でなければ動作しないように変更する。

 これでセキュリティが破られたとしても、不具合が不具合を呼ぶ。どちらにしろドローンは遅延し、本来の動作は不可能となる。



「幾つか抵抗があってもおかしくなかったが、案外楽に終わったな。」



 思った以上にすんなりと作業が進み、妨害なく、目的を終えることができた。初めは罠ではないかと警戒していたのだが、拍子抜けである。後は上がるだけなのだが………。



 興味が別のことに移り、気になって仕方が無くなるのは悪い癖だとは昔から思っていた。しかし、視界に入ったとなれば仕方がないのではないか。


 目を伸ばすと、次第にその粒子の糸は束になり始め、まるで樹形図のように変化する。

 大方一番収束している地点に最重要機密があると思われ……その曖昧な想像は確信に染まった。



 バチリっっっつ



 ただの粒子に拒絶された??だか、ウィンドウは表示されている?

 赤白い、太くとも細くとも呼べる糸。いや、幹と言った方が正しいのかもしれない。それに拒絶されたのだ。


 ハッキングと言うよりも干渉する事を粒子自体が拒む経験は初めてだった。

 

 そしてそれは、ヘクタの判断が間違っていなかったことを証明する。




ーー暗転。


 突然の出来事は認知できないと言われている。理解できてしまうのは一部の異常者、正しく人外。化け物と言わざる得ないだろう。

 目の前の認知できていたウィンドウ。差し出した手が空振り、ふぁんと(くう)が揺れる。

 静かな空間に鼓動が振動し、焦燥を際立たせる。気持ち悪いむかむかに心臓が浮く感覚。


 




「……随分と可愛らしい子が紛れ込んできたのね。………



 無機質な波が鼓膜を覆った。

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